回想的なものを入れたら何かそれっぽくなる気がする
気がするだけなら自由です。
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『大悟。どうして泣いてるんだい?』
・・・あ、父ちゃん。・・・っつー事は、また走馬灯見てんのか俺。
『っだっでよぉ・・・!おれ、なにやっでもうまぐいがねぇんだもん・・・!!』
うお、今回の走馬灯にはガキの頃の俺も出てんのか。見たところ小学三年の時くらいか・・・。あーらら、顔ぐしゃぐしゃにして泣いちまって・・・。
『うーん。まあ、そんなもんだよ。子どもの頃は誰しも、ね』
『だげどざぁ・・・!がげるはっ、おれどぢがっでずげぇあだまいいじざぁ・・・!!ひろがだっで、あだまもいいじ、うんどーもできるじっ、・・・ぐらずのっほがのやづらも・・・なんがっとぐいなごどがあんのにっ、・・・なのにおれはっ・・・!!』
あー、何か思い出してきたな。確かこの頃の俺は、勉強も駄目運動も駄目その他の教科も全部駄目な完全無双駄目ボーイで、家に帰ったらどっかに蹲って泣いてたっけ。しかも、そんな俺と比べて妹の広華は何でも出来ちまう完全無欠優秀ガールで、その事が更に俺の劣等感を加速させてたんだよな。
『気にすることはないよ。大悟には大悟の良いところが沢山あるって、父ちゃん知ってるし』
・・・この頃は父ちゃんも母ちゃんも婆ちゃんも、俺を良く励ましてくれてたっけ。・・・でも、こういう時の優しさって、ナイフになるんだよな・・・。
『っでも・・・!!おれには・・・なにも"ざいのー"なんでないじ・・・!』
・・・いや、どこから聞いてきたんだよそんな難しい言葉・・・。・・・まあ、確かに当時の俺の悩みを要約すれば、その言葉がピッタリなんだけどよぉ・・・。
『・・・大悟、一つ、父ちゃんの昔話をしても良いかい?』
・・・。
『・・・?むがじばなじ・・・?』
・・・・・・。
『うん。昔話。・・・父ちゃんもな、大悟と同じくらいの時に、同じ悩み抱えて、家の納屋で膝抱えて良く泣いてたんだ。"どうして俺はこんなに駄目なんだろう"って。・・・でも、そんな時に、父ちゃんの父ちゃん、つまりは大悟の爺ちゃんが父ちゃんの側に来てさ、言うんだよ。"・・・俺もガキの頃はお前と同じ理由で泣いてた"ってね。・・・爺ちゃんが子どもの頃は、俗に言う戦後って奴でさ。今よりもずっと貧しくて、しかも先の大戦で爺ちゃんの兄弟や父ちゃんは皆死んでしまってたもんだから、爺ちゃんがその分しっかりしないといけないもんで、その分たった一人の家族である爺ちゃんの母ちゃんから厳しく躾られてたみたいで、・・・毎日が凄く辛いかったらしい』
・・・・・・・・・。
『・・・』
あら、ガキの頃の俺も黙っちまった。・・・ま、今でもつい聞き入っちまってるし、仕方ねぇか。
『・・・だけど、それでも爺ちゃんは"将来偉い人間になって、母ちゃんを楽させてやりたい"って一心で、凄く努力したそうだよ。家の手伝いしながら教科書を読んだり、家の手伝いや学校の合間を縫って新聞配達のバイトをしたり、靴磨きのバイトをしたり・・・。・・・あと、何故か体を鍛えたり』
いや、どうしたんだよ爺ちゃん。何故いきなり体を鍛え出したんだ。
『・・・』
うん、まあ突っ込む脳味噌も無かったけどよ、この頃は。
『・・・それでね、そんな生活を続けて、爺ちゃんが16歳になった時に、爺ちゃんは思ったらしいんだ。"折角体を鍛えてんだから、この体を活かせるような仕事がしてぇ"ってね』
爺ちゃん・・・。いや、もう何も言うまい。
『・・・で、そんな理由で爺ちゃんは紆余曲折あった後、警察になったんだ』
いや、そこはしょらんといて!!重要だから!!
『じいちゃん・・・すげぇ!!』
子どもって単純!てか泣き止んでるし!!
『そうだろう?んで、警察をやってる中で、当時勤め先の近くにあるバーの用心棒をしていた婆ちゃんと恋に落ちて結婚して、こうして俺が生まれたんだ。・・・で、ここからが本番なんだけど、爺ちゃんはその話を泣いてる父ちゃんにした後、言ったんだ。"人生において、俺みたいな奴が生きていく為には、偏に努力しか無ぇ"ってね。・・・大悟、父ちゃんは子どもの頃、爺ちゃんのその言葉を受けて、"そんなのは綺麗事だ"ってある種の反感を抱いたんだよ。それで、・・・まあ今考えてみると情けない話なんだけど、一切努力も何もせずに、毎日を適当に過ごしてたんだ。・・・でも、そんな時、ある事件が起きた』
・・・・・・。
『?あるじけん?』
・・・そうか。そういやぁこの時知ったんだよな。
『・・・父ちゃんが16くらいの時に、爺ちゃんが死んじゃったんだ。ある犯罪者を逮捕しようとした時に、そいつに刺されてね』
爺ちゃんの死因を。
『・・・』
あー、また黙っちまった。てか子どもにする話じゃねぇよな、今考えりゃあよぉ。
『・・・爺ちゃんの出棺の時、父ちゃん爺ちゃんの体を触ったんだ。・・・あんなに温かくてデカイ手が、凄く冷たくなっててさ。・・・実感したんだ。"ああ、もう親父は居ないんだ"って。・・・幸い、父ちゃんが一人っ子だったこともあって、仕事の手当てと保険金で我が家二人の生活には困らなかったんだけどさ。・・・婆ちゃんは気丈に振る舞ってたけど、陰で一人泣いてるのを、父ちゃんは知ってた。・・・その時、やっと分かったんだ。"親父の存在のでっかさ"を』
・・・居なくなって初めて分かるってか。・・・本当に、現実はままならねぇよな。
『・・・それで、とーちゃんはどうしたんだ?』
まあ、気になるよなぁ・・・。
『・・・父ちゃんはね、その後凄く努力したんだ。生まれつき、才能が無くて、しかもそれまで努力もしてなかったから、簡単なことじゃ無かったけど。それでも、少しでも親父に近付きたくて、ひたすら努力した。・・・努力することが親父に対する贖罪になるって、心の何処かで思ってたのも、実感の沸かない虚しい努力をそれでも続けられた理由の一つかな。・・・それで、何とかその後大学に受かり、そこで母ちゃんと出逢い、卒業してから仕事に就くと同時に結婚して、・・・それで、大悟が生まれたんだ』
・・・爺ちゃんの歩んだ人生に何処か似てんのは偶然か、それとも・・・。
『・・・とーちゃん。おれ・・・』
あ、ヤバイ。何か泣きそう。ガキの俺も今の俺も。
『・・・大丈夫。大悟は、当時の父ちゃんと比べれば凄く良い子だ。広華の面倒だって見てくれてるし、婆ちゃんの手伝いも良くしてくれてる。・・・だから、自分には何も才能が無いなんて言っちゃいけない。大悟には、"優しさ"っていう天性の才能があるんだから。・・・優しささえあれば、人間どう転んでも悪くはならないもんさ』
まあ、絶対その才能は遺伝だろうなぁ。他ならぬ父ちゃんからの。
『・・・おれの・・・さいのー・・・』
分かりやすく噛み締めてんなぁ、今の言葉。・・・まあ、今でもその言葉は俺の生き方の柱だけどよぉ・・・。
『・・・まあ、今の台詞言った矢先にこんなこと言うのもなんだけど、人間は才能だけじゃ生きていけない。オールマイティーな才能を持っている人間なんて居ないから、必ず人間には欠点が存在する。そんな時、どうすれば良いか分かる?』
ああ、分かるよ父ちゃん。この時、初めて分かった。
『・・・どりょく』
だろ。
『・・・大正解だよ、大悟。・・・今出来ないことがあっても、それを克服するために努力すれば良い。そうすれば、どんな困難がこの先有っても大丈夫。だって、その度に努力して乗り越えれば良いんだから』
思い返せば、この時からだったよなぁ。
『わかったぜとーちゃん!!!!おれ、どりょくする!!!んでもって、とーちゃんみたいにすげーおとこになる!!!!』
俺が努力を始めたのは。
『・・・父ちゃんみたいな、か。・・・じゃあ俺も大悟の良い見本になるよう、頑張んなくっちゃな!』
男の努力に終わりなしってか。ぐへへ、熱いなぁオイ。
『おっし!!おれもまけねーぞ!!こえてやる!!そのでっかいせなか!!!』
光の速さで目標難易度が上がったな。まあ、俺らしいっちゃ俺らしいけどよぉ。
『ははは!父ちゃんも負け「おーい」ないぞ「ダイゴー」な「おーい、起きろー」』
あれ?この声は・・・。
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明日ちょっとした用事があるので、その分今日は加えて一話投稿します。




