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死後(デッドイン)  作者: 糞袋
第三章・悪人
33/113

最終見学地点

嗚呼、ラムネが食べたい。それが駄目なら綿菓子食べたい。


 監視室から出た後、ダイゴとニゾウの二人は獄牢内のエレベーターに乗った。

 エレベーターの中で、ダイゴは何とはなしにエレベーターのボタンを見て、ある事に気付く。

「あれ?・・・階のボタンが9つ?・・・獄番って、八階までじゃ・・・」

「良い事に気付いたね〜ダイ坊〜」

 ダイゴの呟きに、ニゾウは穏やかな笑みのまま言った。

「え?良い事に?」

 ダイゴは問う。

「儂等が今から行く場所と、とても関係がある事なんだよ〜、その『9つ目のボタン』はね〜」

 ニゾウはそう言うと、その一番下のボタンを押した。


 ゴウンッ


 音を立て、エレベーターが動き始める。

「・・・ニゾウさん。俺達は、何処に向かってるんスか?」

 その無機質な駆動音に、何となく不安になり、ダイゴがニゾウに問うと、ニゾウはにこやかに答えた。

「・・・そうだね〜、まあ簡単に言えば、実戦での戦闘訓練をする為の場所かな〜」

「・・・つまり、筋トレ以外のトレーニングをする場所って事っスか?」

「ん〜、まあダイ坊に理解しやすいように言えばそう言うとこかな〜」


 ゴウンッ


 ニゾウの応答が終わるのと同時に、エレベーターが音をたて、停止した。

(・・・一体ここは何階なんだ?)

 ダイゴはエレベーターの階数を確認する。

(地下一階、か。成る程、だから9つボタンがあったんだな)

 そんなことを思っているダイゴに、ニゾウが言う。

「じゃあ行こうか〜。儂等の訓練場へ〜」

「オッス!」

 ダイゴがそう返事をすると同時に、エレベーターの扉が開いた。


 扉から出る二人。ダイゴは、そこから数歩進んでから、ぐるりと周囲を見渡して、ぽつりと言った。

「・・・ありゃ?・・・何も無い?」

 ダイゴの目の前には、獄犬の八階と同じ、黒色の空間が広がっていた。天井部には、点々とライトが設置されており、空間を部分的に照らしている。

 そして、ダイゴが言ったように、その空間には、黒い空間と、その空間よりも更に黒い、所々に偏在する影しか無かった。

 殺風景という言葉すら、まだ賑やかに感じる程何も無いその空間に困惑するダイゴに、ニゾウが言う。

「ははは〜、ダイ坊〜あの影の部分に近付いてごら〜ん」

「影の部分?」

 その言葉通り影の部分の一つに近付くダイゴ。そして、一歩、また一歩と近付いていくうちに、ダイゴは影の中にあるものを発見した。

「・・・扉だ」

 それは、影の中に溶ける、黒い扉であった。

 周りを見れば、同じような影色の扉

が幾つも有るのが確認できる。

 ダイゴは、後ろに着いてきていたニゾウに問うた。

「ニゾウさん、こいつは・・・」

 ニゾウが答える。

「これがその訓練の場所に続く扉さ〜。ま〜、開けたら分かるよ〜」

「・・・それもそうっスね」

 ダイゴはニゾウの言葉に頷くと、その黒い扉を開けた。


 瞬間、ヒュンッと風を切る音が耳に届く。


 そして、その鋭い風斬り音と共に、黒い鎖が、凄まじい速度で伸びてくる様子が、ダイゴの視界に入ってきた。

(はい?え、あれ?俺、死ぬ?)

 その鎖の勢いに、ダイゴはスムーズに死を覚悟する。が、


 その鎖は、ダイゴの顔に叩き込まれること無く、目前で細切れになって宙を舞った。


「え・・・?は・・・!?」

 色々と訳の分からない事が起こりすぎて、動揺するダイゴ。その時だった。

「・・・あー、すまねぇ。怪我ねぇか?」

 ダイゴに対して、何者かが声をかけてきたのだ。

「え!?いや、大丈夫っスよ!」

 反射的にそう返事をして、ダイゴは声の方に意識を向かわせる。するとそこには、

「そうか、良かった。いや、肝を冷やしたぜ。何せ攻撃の射線上に扉があって、その扉が急に開くもんだからよ」

 "黒い鎖をシュルシュルと掌に呑み込み"ながら話す黒人の青年と、

「何はともあれ、無事で良かった!組み手で第三者が被害を被るなんて、笑い話にもならんからな!」

 そんなことを言いながら腕を組んで笑う、黒髪の青年が居た。




 

 

 




それすら駄目なら杏仁豆腐食べたい。

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