今日も世界は廻ってく
デュエルマスターズが、子どもの頃大好きでした。コロコロドリームパック7だったっけか、とにかくそんなノリの名前のパックで当てたへヴィ・デス・メタルを軸にしたデッキを使ってました。でも友人の黒月の古城 オリジナル・ハートを起爆剤にしたゴッドばっか入った謎のデッキにいつも蹂躙されてました。瞬く間に五体神や四体神が相手の場に揃っていくあの光景は今でも忘れられません。特に五体神のダークインドラが僕のマナを焼き払っていく光景がトラウマです。ヴァジュラかあいつは。
「……うう、ん。……ん? あら、もう朝?」
店員達が寝泊まりする部屋の窓から差し込む朝の日差しの中、マリオはぼんやりと目を開いた。
目覚めた直後なので、今いち意識がはっきりしないマリオだったが、微睡めていたのもつかの間だった。
「……気配がするわね」
扉の向こう、つまり店のカウンターの方に、マリオは何者かの気配を感じたのだ。
「……」
部屋にある時計を見るマリオ。その針は、六時を示していた。
(……家のお店は夕方から開店だから、お客さんという可能性は低いわね。かといって、店の子でもなさそう……)
周りを見渡すマリオ。周囲には、店員のオネェ達が布団にくるまり、グースカ眠っていた。
それを確認して、マリオは思考を再び巡らせる。
(……泥棒かしら)
そこに思考が行き着くと同時に、マリオは音を立てずに素早く起き上がり、息と足音を殺して扉に近付いて、聞き耳を立てた。
(……確かに居るわね。誰かが)
扉一枚隔てた向こうから、何者かが発した物音が聞こえてくる。
(部屋を見る限り、昨日この部屋で寝た店の子は一人も欠けていない。じゃあ相手が店の子を人質に持っている可能性は無いわね。……外から人質を持って侵入してきたんなら、外が騒がしくなる筈だし、その可能性もかなり低い。となれば……、少し強引に突入しても良さそうね。よし!)
マリオは扉を勢い良く開け放った。
ゴッ「ぎゃーす!!!!」
その瞬間、扉を通して、確かな手応えを感じた。
「え?」
すっとんきょうな声を上げるマリオ。何故なら、手応えと同時に聞こえてきた断末魔にマリオは聞き覚えがあったからだ。
「……」
恐る恐る開かれた扉の裏側を覗くマリオ。そこには、
「……あ、ダイゴちゃんが泊まってたの忘れてた……」
鼻血を出して気絶しているダイゴの姿があった。その手には、恐らく店の何処かから取り出してきたのであろうモップが握られていた。見れば近くには、モップを濡らす為のバケツも置いてある。マリオは、全てを悟った。
「……朝早くから、自主的に店の掃除をしてくれてたのね」
『俺、ガキの頃から婆ちゃんの手伝い良くしてたっスから、手伝いに関しては定評があるんス!』
昨日のダイゴの台詞がマリオの頭に浮かんでくる。
「ダイゴちゃん……、あの時は……、ダイゴちゃんの言葉を信じてあげられなくて、ごめんなさい……!」
懺悔するマリオ。しかし、既にその言葉は、物言わぬ骸と化してしまったダイゴには届かない。
「……この世界は無情よね。いつだって、良い子から死んでいく」
「……あの、生きてるんスけど」
「知ってた」
ムクリと起き上がるダイゴに、マリオは答えた。ダイゴが死界で初めて迎えた朝の出来事である。
この場を借りて、あのゴッドばっかデッキを使っていた友人に謝っておきたいことがあります。ごめんな友人、へヴィデスメタルって、スレイヤーでも普通に死ぬわ。選ばれないって効果、そこまで万能じゃなかったわ。
あ、そういえば、先週出したレポートが今日返ってきました。評価上がってました。嬉しいです。




