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Trigger No.003 禁断の湯気

我は、傍観者である。名前を貰えることは夢である。


 深夜二時、静まり返った部屋に突如として、不穏な「気体」が漂い始め、鼻腔をくすぐるにんにくの香りと脂の匂い。その刺激に我は深く沈んだ眠りから呼び出された。


薄目を開けて下を見れば主人がキッチンで何やら、やっている。カップ麺の蓋を少し開け、熱湯を注ぎ時間を測り静かに待っている。


 「あれあれ、こんな時間にそんなものを・・・食するとは、明日鏡を見て、刃肌が荒れていても我は知らぬぞっ・・・ 昼間のストレスを夜のカロリーで消化する、実に不健康な生き物だねぇ 我は心配だぞ」


本棚の上からズルズルと麺をすする主人の頭頂部を凝視した。


 「ねぇ、主人、身体中に"毒"をため込んで楽しいかい?睡眠は削らないことを推奨するぜぃ~」


主人は最後の一滴までスープを飲み干すと罪悪感に満ちた重いため息をついた。


その時上を向いた主人と我の視線が衝突(ぶつ)かった。


 「んっ?、起きたのか、起きていたのか?そんな顔しないでおくれ、息抜きが欲しかったんだよねぇ・・・」


 「そーじゃなくてさ、大事なものを忘れてないか?匂いをちりばめておいて、我の取り分はないじゃろ、塩分は要らぬが、代わりに『おやつ』が欲しかったのぉ」


我は嫌みのつもりで"ニャーオゥー”と鳴いてみせた。



 この夜の共犯者は、"誘惑"ということばじゃないかなぁ?






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