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クラスにS級美少女がいるけど、A級美少女と仲良くなった話  作者: 砂糖流


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87話 捜索

 冬休みが終わり、新学期が始まった。のだが案の定と言ったところか、唯奈さんは俺に対して冷たい反応をしていた。


 否、反応どころか俺をまるでいない人かのように扱っている。


 目が合うことはまずないし、無論見られている気配もしない。


 それが俺には無理をしているのか、はたまた本当に嫌いになったのか判別はできなかった。


 美波や杏菜さん、佐藤くん田島くんとは挨拶をしたのに唯一、彼女だけはまだ挨拶をしていなかった。


 瞬間に美波からアイコンタクトで促される。


 その視線の意味は唯奈ちゃんに挨拶しに行けというものだった。


「おはよー! ユイちゃん!」


「おはよう……杏菜ちゃん……」


 杏菜さんと挨拶を交わす唯奈さんに、俺は交代順番の如く彼女に話しかける。


「おはよう、唯奈さん」


 だが無論、


「……ん」


 唯奈さんは素っ気ない態度でそれだけ言って自分の席まで歩いていった。


 なんだか本当に初めて会った時のようだ。


 もう彼女から嫌われたのだからそれは当たり前のことで、俺は空気を読んで話しかけないのが得策だろう。


 今更ながらに俺は彼女の覚悟を踏みにじる行為をしてしまっていたことに気がつく。


 もう俺からは何もしない方がいいのかもしれない。


 せっかく美波にも相談を乗ってもらったけど、それが唯奈さんの選択したことなら俺からできることはもう何もない。



 結果、その後俺たちが話すことはなく、その日の学校は初め以外一切会話せずに終わった。


 とはいえ今日は新学期だったからあるのは始業式だけで、授業は明日からの予定だ。


 ということで今日は午前で終わり、先生たちから帰ることを促されるのだが、思春期真っ只中の高校生が何も言わず帰るわけもなく。


「美波、お疲れー! この後予定ある?」


「特にないよ」


 放課後の教室内で杏菜さんと美波がいつも通りの会話を繰り広げていた。


 そこの輪にいつもの如く唯奈さんも混ざる、かと思われたのだが既に唯奈さんの姿は教室になかった。


 きっと予定があって帰ったんだろうけど、今の俺には何かあると思わずにはいられない。


 こういう何かに悩んでいる時、彼女は必ずどこかで考え事をしている。


 それでも周りの人は何ら違和感を感じていないようだ。


「なぁ、浅野。今日の白鳥さんなんかおかしくなかった?」


 否、俺以外に田島くんも気づいていたようだ。


「白鳥さんどこ行ったか知ってる?」


「ごめん。俺は何も……」


 嘘をついているわけじゃないのに、なぜか罪悪感が生まれる。


「普通に用事あんのかな?」


「うーん。どうだろ」


「俺、ちょっと探してこようかな」


「え?」


「俺この後暇だし――そうだ。浅野も一緒に探してくんない?」


「いや……俺は……」


 もう嫌われたのに探すなんてあまりにもお門違いすぎる。


「予定あんの?」


「ないけど……」


「じゃあいいじゃん。手分けして探した方が手っ取り早いだろ」


「手っ取り早いって……そもそも唯奈さんが予定あるかすら分からないのに――」


「まぁまぁ、細かいことは気にすんなって。俺たち友達だろ?」


 どうしてそこまでして俺を協力させようとするんだ。


 探すだけなら誰でもできる。他の人に相談しないのは他に何か理由があるのだろうか。


「でも見つけたら俺に教えてくれ」


 あーなるほど。今全て分かった気がする。


 田島くんは俺なら彼女の居場所が分かると思ったのだろう。

 そういえば田島くんはこういう人だった。


 まぁでも彼女を心配する気持ちは同じだし、特段デメリットがあるわけでもないか。


「分かったよ」



 そうして俺たちは帰ったのかすら分からない唯奈さんを探すため、街へ繰り出した。


 お互い別々の道を手分けして探す。


 発見したら逐一報告する約束はしたが……果たして田島くんは見つけた瞬間に連絡してくれるだろうか? というかそもそも見つかるかどうかの話なんだけど。


 とりあえず今唯奈さんが一番居そうな場所に向かう――そう。あの公園である。


 そう思ったのだが、公園に彼女の姿はなく、あるのは夕日に照らされながら走り回る子どもたちとそれを見守るお母さんたちの姿だけだった。


 今更ながらに思う。当たり前だが、今唯奈さんがいる場所は俺には見つからないような場所のはずだ。


 だからきっと――


『見つけた』


 田島くんの方にいるはずだ。


 ◇◇◇


 急いで教えられた場所へ向かう。


 俺が行って一体何ができるのだろうか。できることなんて何一つないかもしれない。


 それでも足を止めなかったのは、彼女を心配する所以だろう。


 また皆で仲良くゲームがしたい。美波たちと三人で仲良くしている姿が見たい。


 やっぱりこのままじゃダメだ。


 そんな想いが俺を彼女たちの元へと運んだ。


 教えられた場所はズバリ学校だった――唯奈さんは学校の校舎裏に身を置いていたらしい。


 とりあえず着いたら田島くんにも色々説明して、そして――


「俺と付き合ってくれっ!」


 瞬間、校舎裏へと近づく俺の耳にある告白の言葉が入ってくる。


 この声は……もしかして……。


 そのまさかだった。


 目的地の校舎裏には唯奈さんに頭を振り下ろす田島くんの姿があった。


 確実に愛の告白の最中だ。


 唯奈さんは一切表情が変わらない顔で田島くんを見下ろす。


 うん。一体これはどういう状況なんだ?

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