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勇者の手紙  作者: NoKKcca
第三章
38/71

36.バルド

「おう、遅かったなルカ!」


 アルマの案内で剣聖の屋敷の外に出ると、一人のがたいがガッチリした灰色の髪をした青年が待っていた。


「誰よあんた?」


 怪訝そうなアイシャ。

 ルカは一瞬驚いた表情になった後、破顔し嬉しそうに言った。


「バルド! 何でこんなところに!?」

「へへっ、言っただろ。必ず付いて行くってな!」


 サプライズが成功して嬉しそうなバルド。


「彼はバルド。幼なじみで、砦村では一緒にハンター仕事をやってたんだ」

「おう、初めましてエルフさん。バルドだ。よろしく!」

「初めましてアイシャです」


 ルカがアイシャに紹介する。

 アイシャは人見知りをしているのか、単純に180cmに近い彼との身長差で圧を受けているのか分からないが、やや他人行儀だ。


「…………」


 レミッサがいない。そういえば先ほど部屋を出た際に一緒にいただろうか?


「皆さんお待たせしましたー。あれどちら様ですかー?」


 屋敷の方に振り返るとようやくレミッサが外に出てきたところだった。

「……えーと、彼はバルド。砦村で一緒にハンターをやってた僕の幼なじみ。で、バルド、こっちは神官のレミッサ。教会から紹介してもらって彼女もパーティーメンバーだ」

「よろしく! レミッサ!」

「はい、よろしくお願いしますーバルドさん」

「で、レミッサ遅かったけどどうしたの?」


 (いぶか)しげな視線でルカがレミッサに問う。


「もう、ルカさん! 乙女に聞いちゃだめですよ。 お花を摘み――――」

「嘘よ。剣聖様と話してた時、寝てたでしょ。敢えて起こさなかったんだから。(たま)には恥をかきなさい」


 ジトッとした目でアイシャがレミッサに言う。

 皆が退出した後も寝ていたため、剣聖に追い出されたらしい。


「まあ、そんなことだろうと思った……」


 ルカの視線もジトッとしている。


「勇者様。バルドなんですがね。勇者パーティーでもやっていけるくらいに鍛えてほしいと入門してきまして。今は彼もここで修行をしているのですよ」


 そんな弛緩(しかん)した空気をアルマが元に戻す。


「バルドお前……」

「旅立ちの時は、母ちゃん泣かせちまって付いてけなかったからな。あの後、ちゃんと実力を付けた上でならルカに付いて行って良い、って説得したんだ」


 バルドの母からすれば、田舎に住むただの息子が魔王退治に行こうとしているのだ。死地に行くも同然である。それは必死になって止めるというものだ。


「で、その後、実力を分かってもらうために国内の剣術の大会とかに片っ端から出場してさ。運良く優勝できて、ここの推薦状を貰えたんだ」


 元々バルドは体格が良く、盾と大剣を使った戦闘は堅実で、ルカが旅立つ時点ではルカより強い程だった。そのため、客観的に母を納得させるには実績が必要だったのだ。


「ルカ、お前の剣は軽いからスピードと手数。オレの堅実な守りが必要だろ?」


 ニカッとルカに笑いかけるバルド。


「バルドが一緒だと心強いよ。よろしくバルド」


 お互いの拳を短く合わせるルカとバルド。


    ●○●○●


 バルドはまだ今日の鍛錬が残っているとのことで、剣聖の屋敷の前で別れ、ルカ一行はアルマの案内で当初予定の通り、宿泊所に案内された

 部屋は二人部屋で、ルカとバルド、レミッサとアイシャが同室になった。


「意外と片付けてるなあいつ……」


 ルカは案内された部屋に入る。バルドと同室ということで彼の私物があるが、意外なことに整理整頓されていた。砦村で入ったことのある彼の部屋とは大違いだ。

 武術の鍛錬は心の乱れも鍛えられるのであろうか? など考えながらルカも背負っていた荷物を出していく。

 替えの服に、応急処置セット。解体用のナイフにメンテナンス用の砥石や油。後は簡易食料の乾パンや干し肉など。途中で出てきた獣の素材もあるがこの里では売れるかな? と素材は脇に除けながら備え付けのクローゼットに入れていく。今回はどれだけ滞在することになるだろうか。

 これで、聖ソルティス神国で学んだ魔法、そしてこれから剣聖の里で修得する武術。勇者として一通りの力を得ることができることになる。後は実践で学んだことを昇華していくことになるだろう。

 魔物との戦闘である程度、自分の力が通用することは分かったが、自惚(うぬぼ)れる訳にはいかない。大軍で攻められてしまえば、今のルカが取れる手段は少ないのだから。


    ●○●○●


 翌日から鍛錬が始まった。

 ルカはバルドと一緒に、剣聖の指導の下、多数の敵からの同時攻撃を想定した鍛錬に従事した。

 アイシャは元々途中から付いてきただけなので、鍛錬は目的としてなかったが、里に居た弓の名手と気が合ったようで、そこでお世話になっている。相手はかなりのご高齢だが、年齢で言えばエルフのアイシャとはそう変わらないのかも知れない。

 レミッサは近接戦闘では聖杖を武器としているので、槍の師範に教わりつつ、里の救護所で怪我人の治療に当たっている。治癒の神聖術も使うほど能力が伸びるそうだ。


 ――――そんなこんなで一ヶ月が瞬く間に過ぎていった。

次回更新は4/5予定です。

【ざっくり設定集】勇者パーティ 第三弾

 ・ルカ  (勇者):人族、ごく普通の若者

 ・レミッサ(神官):人族、残念美人、血塗れの聖女、のんびり

 ・アイシャ(射手):エルフ族、サバサバ、気が強い

 ・バルド (戦士):人族、ルカの友人、大雑把

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