表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の手紙  作者: NoKKcca
第二章
24/71

22.勇者魔法と実践

 ――――聖ソルティス神国、皇都、ルーシス大聖堂。


 ルーシス大聖堂を訪れてから半月が経過した。

 ルカの一日は、午前中、教会から宛がわれた神官から神聖術を教わる。午後は勇者魔法を習得するため、魔法の書かれた書物と向き合ったり、復習を兼ねて自主練をしている。

 ルカに魔法使いの素質はないため、習得できた神聖術は限定的で、剣に聖の属性を乗せたり、ハイリスが以前使っていた光の矢を放つ魔法など初級レベルが精々だった。

 一方で、勇者魔法については初級レベルのちょっとした光の盾を出すものから、上級の広範囲に光の斬撃を飛ばす魔法まで、多くの魔法を理解する事ができた。

 勇者以外の者がこの書物を読んだ場合、読んでも理解することができないと言うから、これがルカが賜った女神の祝福の力になるのだろう。

 だが、読めるのと使えるのは別の話である。初級の光の盾は早々に使うことができたが、広範囲殲滅系の魔法などはおいそれと試す訳にもいかないため保留にしている。


    ●○●○●


 今日も今日とて午後から図書館の禁書庫に籠もっているルカ、傍らには一通、封が開けられている手紙がある。これは今朝ほど届けられたエレオノーラ姫からの手紙だ。

 中身を要約すると、季節の挨拶とか敬語とか全部いらないので、もっとフランクに、友人に書くような手紙を書いてほしいとのことだった。

 前回、初めてエレオノーラに手紙を書いた際は、書いたことのない貴族向けの手紙ということもあって随分ルカは頭を悩ませた。しかし、どうやらそういった形式張った文章はいらないらしい。

 ルカ自身も書いていて、何を書いているのか途中でよく分からなくなっていたので渡りに船なお願いだ。

 一先ず次に手紙を書くときはもっと気楽に書こうと心に決め、女性に出す手紙だから何か花でも添えた方が良いかななどと考える。しかし、それは出すときに考えようと一旦棚上げし、ルカは読みかけの本に再び目を向けた。

 ルカが勇者魔法が書かれた書物を読んでいると、教皇であるホリスが訪ねてきた。初日に顔を合わせてきりであるから久しぶりである。


「どうです? ルカ君。順調ですか?」

「どうなんでしょう……あっ、神聖術の先生を付けてくださりありがとうございました。でもあんまり使えるものが無くて……」

「ルカ君は魔法使いでは無く剣士ですから仕方ありませんよ。それより勇者魔法の方はどうでしょう?」

「そうですね、いくつかは使えるようになりましたよ。例えば――」


 フォン――――


 ルカが手をかざすと、体をすっぽり覆うくらいの光の盾が現れた。


「――この光の盾とか使いやすいかもしれません。但し一日十回しか使えませんが」


 この光の盾、書物によると物理、魔法ともにシャットアウトしてくれる優れものである。

 体格の関係で重装備を身に付けられず、普段は一部に金属の入った革鎧と盾を持たない素早さに振ったスタイルのルカにとって、緊急手段として使えそうだ。


「なるほど、勇者魔法は回数制限があるのですね」

「ええ、その他の魔法についても使用後、回復までに一日、つまり二十四時間かかるようです」

「使用時に魔力の減少は感じましたか?」

「いえ、魔力は使っていない気がします」

「そうですか、教会の記録に残っていましたが勇者魔法は神聖術と同じ体系なのかもしれませんね……」


 魔法は大きく分けると二つに分類できる。神官が使う神聖術とその他の一般魔法である。

 神聖術は原初の魔法であるという説もあるが、その仕組みは未だ解明されていない。

 また二つの大きな違いは発動時の使用者が持つ魔力の消費にある。

 神聖術以外の魔法は保有する魔力を消費し発現する。魔力が尽きれば使えなくなる。

 一方で神聖術は二十四時間に使用できる回数が存在するが、習得さえできれば術者の魔力量には依存しない。


「それで……実は少し困っているのですが……中級、上級の勇者魔法が、特に攻撃魔法になると実際の効果や範囲が分からないのでおいそれと訓練場で試せなくて……」

「ふむ、それでは教会が各国と連携して行っている、魔物の討伐に同行されては如何ですか? それであれば人里から離れますし、そもそも魔物の討伐が目的ですから、ある程度自由に試して頂けるでしょう。定期的な瘴気溜り周辺の掃除ですので危険もあまり無いですし」


 魔族の領域と隣接しているアルミス帝国とコーペランテ諸国連合では、頻繁に魔物による被害が発生している。特に時々ではあるが大量発生し大きな被害が出るケースがある。そういった被害を未然に防ぐため、軍と地元のハンター、神官が連携して討伐部隊を編成し、定期的に駆除を行っている。

 聖ソルティス教会としては非常時に動ける神官を養うため、神官や神官学校の生徒を派遣し経験を積ませているのだ。

 瘴気溜りというのは魔物や魔獣の発生源とも呼べる場所で、淀んだ魔力の塊などと言われており森の中や遺跡、洞窟の中などに存在する。その周囲には瘴気から産まれた魔物や、瘴気に感化された動物が変質し魔物化した魔獣が溜まりやすい。

 これを放っておくと大量の魔物があふれ大きな被害につながる。幸いにして、ハンターの探索などにより大きな瘴気溜りの場所は分かっているため、定期的に討伐を行うことで危険を排除できている。

 副産物として、ある程度まとまった魔物や魔獣が存在することから、魔石や毛皮などの素材が手に入る。そのことから軍やハンターの臨時収入源にもなっているのであった。


「魔物の討伐ですか? そうですね、戦闘訓練にもなりますから是非参加したいです」

「分かりました。手配しておきます。詳しいことはまた後日」


 そう言うとホリス教皇は禁書庫を後にした。

次回更新は2/15予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ