第91話「国境警備隊長は不在」
翌朝、パッと見ただけで、上機嫌なエミリーさんが早々にやって来た。
「ノノ、ルイさん、おはよー!!」
「あーはいはい、おはようございます」
「あ、エミリーさん、おはようございます」
あまりのテンションに、私はちょっと引く。……ルイさんはいつもどおりか。
「朝からテンション高いですね。大丈夫ですか?」
「いやー、今晩が楽しみでさ」
すっごい良い笑顔で言われる。
「レミとシンシアから、早々に追い出されたのでござる」
ん、ござる?
「ああ、ゲンジさんか」
エミリーさんしか見えてなかったよ。
「ノノ様、おはようございます。エミリーの監視役としてレミに頼まれ申した」
「おはようございます。監視役とは?」
え、どういうこと?
「何故?」
「昨晩から、あの状態でな」
え、グラインさんもこっち来た?
「グラインさんまでこっちに来たのですか?」
「ノノ様、おはようございます」
「あ、おはようございます」
ゲンジさんは兎も角、グラインさんまでこっちに来るとは、何事かあったの?
……ルイさんは危険を感じたのかちょっと離れていった。何故?
「ノノ様、エミリーから話は聞きましたが、お二人だけで大丈夫なのですか?」
ああ、あれか。
「人数を絞った方が賊には見つかりにくいでしょう。それに不意打ちで魔法を使うなら、今のエミリーさんなら過剰戦力ですよ」
不意打ちで魔法を打ち込むだけの簡単な仕事ですからねー。まあ、過剰戦力だよねー。
「ノノは魔法使わないの?」
「え、私は場所の特定だけに徹するつもりですよ?」
エミリーさんは私も魔法を使うと思ってたみたいね。
「まあ、いっか。それでグラインは何が不安なの?」
ふたりというところが不安なんだと思うけどねー。
「賊の数が分からんし、居場所も不明。平地であれば確かに魔法で焼けば良かろうが、そうでない場合、二人で対処出来るのか?」
平地かどうかとか、あまり問題ないんじゃ無いかな?
「ちょっと、グライン、仮に賊の拠点が洞窟的な場所だったとしたら、出入り口を塞げば良いだけだから、そっちの方が楽よ」
エミリーさんの言うとおり、洞窟を拠点している場合は、そこを塞げば良いね。
「いや、その出入り口を塞ぐ方法がないだろう? エミリーは土魔法とか使えないじゃないか」
ああー、確かに。火で焼くにしても中までは無理か。……中に向かってのフレアも使いにくいしね。
「グライン、そこはノノが居るから大丈夫よ」
「いや、ノノ様は司祭様なんだから、そんな……。あ、違うか!」
グラインさんが何かに気付いた。
「グライン、私が一緒に行くのは『司祭ではない』魔導師のノノよ。剣術の腕前も知ってるでしょう?」
まあ、確かにこの服で行くわけにはいかないね
「なるほど、魔導師のノノさまか。その間の身代わりはルイさんが演じるということか?」
演じるというか、夜中に行くから、寝てるだけだからねー。
「ノノ様、私が身代わりですか?」
あ、ルイさんが戻ってきた。
「夜中に行くから、身代わりの必要は無いかな」
「夜中でしたら、眠ってますね。それに国境門の傍でしたら襲われることも無いですね」
ルイさんとそんな話をしていると、エミリーさんとグラインさんの会話が耳に入ってきた。
「ああ、そうか。そうだったな。俺の認識が間違ってたわ。逆にエミリーが足手まといになりかねんな」
ニヤリと笑いながらグラインさんが私を見ながらそう言う。……ゲンジさんはその後ろで頷いている。
「私の方が足手まといって、まあ、そうかもだけど、私が行くことでカモフラージュにはなるわよ」
エミリーさんが、一瞬、こっちを見てからグラインさんにそう答えた。
「紅蓮の魔導師がカモフラージュ、何が恐ろしいって、それがあながち嘘では無いことでござろう。ところでノノ様、お二人で行くのは分かり申したが、その、エミリーの魔法で人が焼ける匂いは……、大丈夫なのですか?」
ん? ああ、そっちか。
「肉の焼ける匂いに何が違うんです?」
人であろうと魔物であろうと何であろうと、肉の焼ける匂いは変わらないんですけどね。
「ノノ、だね」
「ですな」
「ですね」
何だかなぁ。ちなみに最後はルイさんで、ゲンジさんは頷いてた。
「ところで、こんなところで油を売っている暇は無いと思うんですけど?」
そう、そろそろご飯を食べないと、出発に間に合わなくなる。
「あー、イカン、エミリーとゲンジはいいが、俺は戻るわ。エミリー、遅れんなよ」
そう言って、グラインさんは戻っていった。
私はいつもどおりに、魔法の鞄から朝食を取り出す。
「今日はゲンジさんの分もありますからねー」
そう、監視役のゲンジさんの分も用意する。
「ノノ様、かたじけのうございます」
そう言って、ゲンジさんはお椀のお味噌汁を手に取った。
「……グラインさん、何しに来たんだろう?」
ふと、口に出してしまった。
「ノノの様子が知りたかったんでしょう。急な話だったしね」
漬物をハムハムしながらエミリーさんが答えてくれた。
ふむ、そう考えればそうかも知れない。でも何故?
「腑に落ちない顔をしてるけど、一応、司祭さま、なんでしょう? そこを忘れてない?」
なるほど、確かに司祭として扱うなら、心配にもなるか。それにしても……。
「ところで、エミリーさん、私は魔導師として行くのでしょうか?」
別に魔導師で無くてもいいような気がする。前衛で行った方が、バランスがいいと思うんですけどねー。
「んー、そこは私がノノの魔法が見たいというだけの話だから、ノノの好きな方でいいよ。よくよく考えたら、私と行くから、あなた、火属性の魔法しか使わないでしょう?」
エミリーさんが味噌汁をすすりながら、そう答えてくれた。
「ところで、エミリーさん。そもそもの話ですけど、紅蓮の魔導師と司祭がいる商隊に襲いかかってくるんでしょうか?」
さすがに司祭がいる商隊を襲うとか、ないんじゃないかな?
「私を討ち取りたい盗賊は多いのよ。私を討ち取ったとなれば、盗賊の間でも扱いがかなり変わるでしょう? そこと司祭ごと殺してしまうこととの天秤次第だと思う。……司祭も恐れぬ盗賊団とか、死んだあとを考えない連中なら来るんじゃない?」
「そうですな。あとは司祭がいたという事実を揉み消せれば、問題ないとも言えますな」
味噌汁をすすりながらゲンジさんが最も嫌なこと言う。
「それは、国境警備隊の偉いさんが盗賊団の一員じゃないと無理なのでは?」
実際のところ、どうなんだろうね。
「行ってみないと分からないわね」
「国境門で答え合わせですか。……どうなんでしょうね?」
朝食から物騒な会話だなぁ。ふと、横見ると、ルイさんが静かに食べてた。
「ふぅ、ご馳走様でござる」
食事が終わった、ゲンジさんが両手を合わせている。
「ノノ、ご馳走様。それじゃ、私は商隊長のところへ行ってくるわ」
そう言って、エミリーさんは商隊幹部のいる方へ向かって行く。
「それでは、ノノ様、某も持ち場に戻ります。では、また、後ほど」
ゲンジさんも去って行った。
さて、片付けるか。魔法でちゃちゃっと終わっちゃうけど。
「ノノ様、国境警備隊の人たちが盗賊団と繋がっていること何てあるんでしょうか?」
食器類を魔法の鞄に入れ終わった頃にルイさんが話しかけてきた。
……もしや、待ってた?
「それはなんとも言えないねー。割とありがちなのは盗賊団の方が数が多いとかだと、国境警備隊に潜り込んでるとかがあったりするんだけど、ここ最近っぽいから、お金貰って情報を流しているのがいる程度じゃないかな」
まあ、どれくらいの人数で、どんなものを運んでるかぐらいは流してそうなんだよ。
「そんなことがあるんですか?」
「お金って人を惑わすのよ。特に下級兵士はお給金も安いしね。ちょっとした小遣い稼ぎぐらいにしか、思ってない人もいるよ」
「お小遣い稼ぎですか……」
ルイさんは純粋だから仕方ないか。……純粋? ふむ。まあいいか。
「ルイさんはこんなこともあるんだ、ぐらいには覚えてくと良いよ。そーいう人は一定数はいるからね」
貴族のお嬢様だったからか、その辺が抜けている。……まあ、教会でも寄付が続く限りは、同じような扱いなんだろうけどね。
「ノノ様は、そういったこともお詳しいのですか?」
「旅を重ねれば、普通のことですよ。……ルイさんは、うちに来たら、司祭と魔法使いのどちらかを選ぶことになると思うけど、こういったことはうちでは学べないから、エミリーさんにお願いしてもいいかもね」
エミリーさんのところなら、ルイさんも馴染めるだろうし。
「エミリーさんのところというと、残月さんですか?」
「そそ。真っ当な傭兵団とはちょっと違うけど、悪いことはやらないし」
「そうですね、団長さんが領主の血筋の方ですしね」
残月ならいろいろ学べるでしょう。司祭としてなら、オーガスチンさんとレミさんもいるしね。魔法使いならシンシアさんかな。エミリーさんはちょっと、ねー。
「ノノ様、何故苦笑い??」
ハッ! いかんいかん、エミリーさんを思い浮かべて苦笑いしてたわ。
「……そろそろ出発かなと思ってね」
「あ、確かにそうですね」
いつもどおり、ルイさんは荷馬車の後ろに座る。
私は驢馬に跨がって、母様から受け取った聖書の続きを読む。むぅ、全編古代神聖語の聖書とか、どこに需要があるのか!とか思ったけど、これ、ちゃんと読んだら魔導書と言った方がいいかも。確かに内容は神聖語の聖書と違いは無いけど、いちいち記述が魔導書のそれだ。
……じっくり読んではなかったけど、最初から見直した方がいいかも知れない。
「あら、ノノ、その聖書を読んでるのは始めた見たわ」
エミリーさんが現れた。まあ、商隊は出発してるから戻ってきたんだろうけど。
「エミリーさん、今日の予定は決まったのですか?」
「昨日話したとおりよ」
そう言って、エミリーさんは肩を竦める。
「夕方に国境門、ですか」
「いえ、もうちょっと早く着くと思うわ。手続きが終わらないと国境を越えることが出来ないからね。そこら辺も計算して、夕方より早めに着くことになる。国境を越えたら、そこで一端休憩。昨日、話した手筈どおりよ」
ふむふむ。国境門が見えてきたら、索敵魔法を軽く流しておこう。
「さすがに国境門付近では、事を起こさないでしょう。そして、朝一で出発となる、という話を国境警備隊にするそうよ」
盗賊が出ると噂のある地域を日があるうちに抜けるというのは、筋の通った話だし、何もおかしい点は見いださせないか。
「夜は安全な国境門付近、移動は見通しの良い昼間。安全対策としては他にやりようがないですね」
あと出来るとすれば、傭兵の数を増やすぐらいだろうか。
「やれることはやっておく、そうすれば向こうも油断する」
エミリーさんの方を見る。
……何故か、ウインクされた!
「エミリーさん、まだ、昂揚感が収まってないんですね」
「もう、ずっとこうよ」
レミさんがやってきた。
「ノノ様、お二人だけでと聞きましたが、この状態のエミリーでも大丈夫でしょうか?」
「悲壮感漂うエミリーさんよりは、良いんじゃないかな?」
「……確かにそうですね。後ろ向きよりはマシですね」
相手の数も分からないから、不安がないといえば嘘になるけどね。実際、傭兵崩れだったらとか、実は女子供も居るかもとか、考え出したらキリがない。
……エミリーさんはそこら辺どう感じているんだろうと、思わなくはない。聞かないけど。
「レミさん、これまで退治してきた盗賊には、女子供は居なかったんですか?」
レミさんに聞いてみた。エミリーさんに聞くと答えがちょっと怖くてね。
「人質とかが居るときね、そういうときは先に救出をする部隊を送り込んでからね。盗賊を見つけたら、奴らが不在になるか、見張りが手薄になるまで監視が基本ね。今回はそういうわけにもいかないけど」
盗賊だものね、稼ぎに出かけるときは見張りも手薄になるか。
「……結構忍耐強いですね」
「人数は居るから、中には特殊な能力を持った者や役立つスキルを持ってるのも結構居るのよ」
ただ焼いて回ったわけではないということかな。
「今回はどうなんでしょうね。聞いてる範囲では女・子供も容赦なく、みたいな話でしたが」
「捕虜とかがいない分には気兼ねなく、焼けるわ!」
エミリーさんが聞いてたようだ。
「エミリーさん、そんなに焼きたいのですか?」
「盗賊に身を落とすようなのを更生させる余裕はないのよ。魔王軍という敵が居る今なら盗賊みたいな事をしなくても、軍絡みなら兵士として、それ以外でも後方支援で物資輸送とか職を選ばなければ仕事はあるんだから。別に鉱山で重労働しろとは言ってないのよ。それでも自分の力を使って悪いことしかしない輩は、もう、燃やすしかないと思うのよ。ふぅ……」
そう言って、儚げにため息をつく。いや、何だろう、言ってることは分かるけど、何故儚げに言うのか? 最後ため息は何?
「エミリー、みんな引いてるからね。正論ではあるけど、最後に台無しになってる!」
レミさんが冷ややかね目で見ながら、そう突っ込んでる。
「それに、儚げに言ってもここに居るのは残月の関係者だけだから!」
「普通にしてたら、美人さんなのにねー」
ルイさんに話を振る。……ルイさんも見ては居たけど、固まってたから。
「ほら、エミリーさん。ルイさんも固まるぐらいに困惑してるから、普段どおりにして下さい」
「わかったわよ、いつもどおりに戻せば良いんでしょ。はいはい。……ルイさんごめんね」
そう言って、ルイさんに頭を下げてる。
「なんか、結構時間が経った?」
「何かありましたか?」
エミリーさんの視線の先を見ると、朧気に国境門らしきものが見えてきた。
「あー、国境門ですね。結構早く着きましたね」
「そうでもないわよ。予定より、ちょっと早いぐらいではあるけど」
エミリーさんがそう言って、太陽の方を見るので釣られて見てみる。
「ああ、確かに。昼は過ぎてますね」
どうでも良い会話で意外にも時間が過ぎていたようだ。とは言っても、もう1時間ぐらいは係りそうだが。
「門がでかいのよ。見えてからもそれなりに時間が係るわ」
暫くすると、ようやく門についた。
「エミリーさん、どうしたんですか?」
門の前でキョロキョロしてたので、聞いてみる。
「ここの警備隊長とは顔見知りなのよ。……おかしいな、見たらないし、人数も少なく思える」
ふぅむ。何かあったのだろうか?
そうこうしているうちに順番が回ってきた。
「なんか人数が少ないようだが、何かあったのかい?」
何故か先頭にグラインさんが居る。……今の残月はエミリーさんが一番偉いハズなんだけど?
「ああ、盗賊団が出たと知らせがあってな、隊長が半数ほど率いて、討伐に向かってる。上手くいけば、盗賊を気にすること無く、町まで行けるようになるかもな」
警備兵がそう答えている。
「そうか、そうなれば俺たちも楽なんだがな」
グラインさんがそう言って、入国の手続きを始める。
「お、残月か。残月というと紅蓮の魔導師も一緒なのか?」
警備兵たちがこっちをガン見してきた!
「なあ、あの司祭っぽいのは?」
私に気付いたようだが、司祭っぽいか。ふむ。
「いや、二人とも助司祭だ」
「ああ、もう一人は確かに助司祭の格好だな。だが、あっちのちんまいのは服装でファイネル教の関係者だとは分かるが、あの青の服は見たことがない」
そう、実はちょっとだけ、ルイさんに服を似せている。何故なら、エミリーさんから警備隊長が居ないなら、相手の油断を誘った方が良いだろうと提案があったからだ。
「ちょっと田舎の教会から来たらしいからな、ちょっと違うんだろう」
「なるほど。まあ、教会関係者と揉める気は無いから、ここに名前だけ書いといてくれ」
そう言われたので、記帳をする。名前は……、そのままで良いか。
「ええっと、ノノさんとルイ・ブランドルさんか。ん、ブランドル?」
ルイさんの名前で警備兵の目が止まった。
「ブランドル家か。王都に着けば分かるだろうが、ブランドルの領地は魔王軍の支配地域になったぞ。大変だと思うが、気を落とすなよ」
それだけ言うと、次を促した。
「次は魔法使いのエミリーか。……エミリーって、紅蓮の魔導師と同じ名前じゃないか。会ったことは無いが、すげぇ怖い女なんだろう?」
会ったことは無いが、怖い女という話は聞いたことがあるらしい。まあ、確かに話だけ聞けば、ちょっと怖いな。嬉々として盗賊団を焼き払ったり、スタンビートも焼き払ったことになってるからね。それだけ聞くと凄腕のごっつい魔導師を想像してもおかしくはない。
……、ん。魔法使い?
気にはなったが、そのまま入国することにした。きっと何か考えがあるはず。
「エミリーさん、魔法使いと書いたのですか?」
「嘘は書いてないよ。警備隊長が居ないなら、わざわざ警戒されるようなことはしない方が良いじゃない?」
そう言いながら、警備兵に手まで振ってた。
「ところでノノ、どう?」
「ええ、一人、おかしな動きのが居る。ここからじゃ分からないけど、建物の陰から商隊の荷物と傭兵の様子を伺ってたよ」
パッと見では分からないところで値踏みをしているのが居る。
「で、動きはある?」
「うん、ちょっと、建物を迂回して、他の警備兵と合流したよ。一応、枝は付けておいたから見失いことは無いから、暫く泳がせておきますね」
「ノノ、魔力の枝で大丈夫なの?」
おや、魔力の枝とは言ってないんだけどねー。
「ああ、魔力の枝では無いですよ。ほらこうやって作った鳥さんです」
そう言って、一枚の紙を取り出して、そっと魔力を通す。
「チュンチュン」
「えぇー、小鳥になったよ」
「ほ、ほんとうですね、小鳥さんです」
私の周りには、エミリーさんとルイさんしか居ない。
「東方の符術ですよ。こちらでは滅多に見ないので、まずばれることはありませんから便利ですよ」
そう、東方に行けば割と見かける符術師が黄領砂漠のこちら側ではほぼ見ない。
「この子の目と意識をリンクさせることで、相手の状況をまるでそばに居るかのように把握することが出来ます。便利でしょう?」
二人が若干、引いてる気がするが、気にせず行こう!
「ノノが敵で無くて良かったわ」
「本当ですね。私はこの人の弟子になったわけですが、やっていけるのか不安だらけですよ」
「ルイさん、白魔術をキチンと覚えて貰うから、符術のことは忘れて良いよ」
そう、符術までとなると、ルイさんには荷が重い。まずは基本の魔法からだよ。
「エミリー、そろそろ野宿の準備に取り掛かるぞ」
残月の集まってる方からグラインさんの声が聞こえてきた。
「ノノ、夜までは普段どおりで良いんでしょう?」
「夜の闇に紛れてですから、まだまだ時間がありますよ」
私たちは、夜半になるまで、普段どおりに過ごすことになった。
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