↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壊れた僕は、今日も笑う。  作者: ニィギンヤ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/78

壊れる音

朝。


---


「神代!」


---


 教室へ入るなり肩を叩かれる。


---


「今日から合同実戦だって!」


---


「らしいね。」


---


「楽しみだな!」


---


「……そうだね。」


---


 笑う。


---


 自然に。


---


 いつも通り。


---


 その笑顔を。


---


 朝倉澪だけが静かに見ていた。


---


 グラウンド。


---


 一年生全員が集まっている。


---


 教師が前へ出た。


---


「今日は魔獣型ゴーレムを使った実戦訓練を行う。」


---


 空気が引き締まる。


---


「危険はない。」


---


「落ち着いて対処しろ。」


---


 地面が揺れる。


---


 土の中から。


---


 三体のゴーレムが現れた。


---


「開始!」


---


 各班が一斉に動く。


---


「神代!」


---


「右!」


---


「了解!」


---


 仲間の声。


---


 僕は前へ出る。


---


 ゴーレムが腕を振り下ろす。


---


 避ける。


---


 懐へ入る。


---


 一撃。


---


 鈍い音。


---


 ゴーレムが後退した。


---


「すげぇ!」


---


「神代!」


---


 歓声。


---


 その瞬間だった。


---


 ゴーレムの腕が。


---


 偶然。


---


 赤く染まって見えた。


---


 一瞬だけ。


---


 視界が歪む。


---


 赤。


---


 床。


---


 鉄の匂い。


---


 誰かの叫び。


---


(やめろ)


---


(見るな)


---


(まだ)


---


(終わってない)


---


「神代!」


---


 体が動かない。


---


 ゴーレムが拳を振り下ろす。


---


 避けられない。


---


 そう思った。


---


 その瞬間。


---


 世界が。


---


 止まった。


---


 音が消える。


---


 風が止まる。


---


 時間が遅くなる。


---


 見える。


---


 全部。


---


 ゴーレムの拳。


---


 砂の流れ。


---


 先生の表情。


---


 仲間の呼吸。


---


 全部。


---


 鮮明に。


---


「……っ!」


---


 気付けば。


---


 拳を突き出していた。


---


 次の瞬間。


---


 ゴーレムが砕け散る。


---


 爆発したように。


---


 一撃で。


---


 粉々に。


---


 静寂。


---


 誰も動かない。


---


「え……?」


---


 クラスメイトが呟く。


---


「今の……。」


---


 先生も目を見開いていた。


---


「神代。」


---


「お前……。」


---


 しまった。


---


 やりすぎた。


---


 鼓動が速くなる。


---


 息が苦しい。


---


 笑え。


---


 早く。


---


 笑え。


---


「あ。」


---


 口角を上げる。


---


「ま、まぐれです!」


---


 誰も笑わない。


---


 先生だけが。


---


 静かに言った。


---


「……後で職員室に来なさい。」


---


 その一言で。


---


 訓練は終わった。


---


 放課後。


---


 屋上。


---


 フェンスにもたれる。


---


 風が冷たい。


---


「また。」


---


 小さく呟く。


---


「またやっちゃったな。」


---


 空を見上げる。


---


 青空。


---


 平和な景色。


---


 なのに。


---


 頭の中だけが。


---


 あの日から。


---


 一歩も進んでいなかった。


---


「……帰ろ。」


---


 笑顔を作る。


---


 誰もいないのに。


---


 誰に見られていなくても。


---


 もう。


---


 笑わない自分が。


---


 どんな顔だったのか。


---


 思い出せなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。