欠けた記憶
写真を持つ手が震える。
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「……なんで。」
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何度見ても。
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写っているのは。
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幼い自分。
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そして。
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幼い如月零。
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二人とも。
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笑っていた。
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こんな笑顔。
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僕は知らない。
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「覚えて……ない。」
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写真の裏を返す。
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黒いマジックで。
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少し滲んだ文字。
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『また三人で遊ぼう』
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三人。
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「三人……?」
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如月はいる。
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僕もいる。
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じゃあ。
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もう一人は。
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写真の右端。
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そこだけ。
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不自然に切り取られていた。
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「誰なんだ。」
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その瞬間。
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頭の奥が軋む。
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ズキッ。
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『悠!』
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知らない声。
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でも。
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涙が出そうになるほど。
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懐かしい声。
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「……っ!」
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写真を落とす。
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呼吸が乱れる。
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胸を押さえる。
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「思い出せない……。」
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◇
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翌日。
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教室。
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「神代。」
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担任が声を掛ける。
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「校長先生がお呼びだ。」
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「僕が?」
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「理由は聞いていない。」
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教室がざわつく。
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「何したんだ?」
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「昨日の件じゃない?」
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悠は苦笑した。
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「行ってきます。」
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◇
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校長室。
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「入りなさい。」
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静かな部屋。
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壁には古い賞状。
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本棚。
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そして。
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校長の向かいには。
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もう一人。
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如月が座っていた。
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「……。」
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悠の足が止まる。
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「座りなさい。」
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校長は穏やかだった。
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二人は向かい合って座る。
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「神代君。」
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「昨日の件について聞きたい。」
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「はい。」
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「君は。」
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「如月君を見て。」
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「何か思い出したかね。」
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沈黙。
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「……写真を。」
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「見ました。」
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校長の表情が変わる。
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「写真?」
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「僕と。」
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「如月が写っていました。」
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「でも。」
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「もう一人だけ。」
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「切り取られていました。」
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部屋が静まり返る。
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校長は。
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ゆっくり目を閉じる。
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「……そうか。」
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その一言だけだった。
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「先生。」
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悠は顔を上げる。
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「僕。」
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「昔。」
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「如月と会ってたんですか。」
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校長は答えない。
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代わりに。
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如月が口を開く。
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「会ってた。」
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「毎日。」
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短い返事。
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「嘘だ。」
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思わず声が漏れる。
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「そんなはずない。」
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「覚えてない。」
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「だから。」
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如月は静かに言う。
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「忘れたんじゃない。」
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「忘れさせられた。」
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空気が凍る。
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「……え?」
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「それ以上。」
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校長が遮った。
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「如月君。」
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「今はまだ話すな。」
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「ですが。」
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「まだ早い。」
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如月は悔しそうに唇を噛む。
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「……分かりました。」
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悠だけが。
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取り残される。
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「何ですか。」
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「何なんですか!」
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思わず立ち上がる。
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「僕だけ。」
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「何も知らないじゃないですか!」
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初めてだった。
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先生に。
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感情をぶつけたのは。
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校長は静かに立ち上がる。
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悠の前まで歩く。
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「神代君。」
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「君を守るためだった。」
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「……。」
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「だから。」
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「もう少しだけ。」
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「待ってほしい。」
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守る。
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誰から。
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何を。
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何一つ分からない。
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◇
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校長室を出る。
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廊下。
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悠は立ち止まる。
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壁にもたれる。
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「守るって……。」
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「何だよ。」
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笑おうとする。
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でも。
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笑えない。
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その様子を。
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少し離れた場所から。
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朝倉が見ていた。
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悠は気付かない。
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朝倉は。
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初めて見た。
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神代悠が。
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誰にも見せない顔で。
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静かに涙を流している姿を。
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その涙は。
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声もなく。
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ただ一筋だけ。
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頬を伝って落ちた。




