第311話 五人で力を合わせて
五人だと戦略の幅も広がるのだ!
「フェスタ、行ける?」
「問題無いよー」
回復ポーションを一本飲み干し、瓶が粒子になって砕けた。
失ったHPが回復すると、口元から垂れる、緑色の液体を拭った。
ワーウルフのキメラを眼前に構えると、大剣をグッと構える。
「D、魔法で目晦ましできる?」
「できます!」
「ミュージュ、フェスタにバフを掛けて。私も出るよ」
「それは構わないわ。でも、どうする気よ? まさか真っ向勝負を仕掛けるの?」
Dもミュージュも協力的だった。
とは言え、真っ向勝負を仕掛けるのは、あまり得策ではない。
何せキメラは強い。ワーウルフのキメラはパワーもスピードも高いのだ。
「そうだよ。でもねっ!」
グリムは前に押し出た。ワーウルフのキメラは待ってくれない。
鋭い爪を振りかざすと、グリムは抵抗した。
大鎌を構えると、爪を受け止めた。ジリジリ音を立てるも、言葉を掛けた。
「ニャーぷる、聞こえているよね? 私達で押さえるから、”トドメ”任せてもいいかな?」
グリムの言葉は、姿を消したニャーぷるに掛けられる。
見えているグリム達が押さえている間に、見えていないニャーぷるに、後のことは任せる。
ただ援護を任せるのではなく、アシストが決定打になるのだ。
「いいよぉ~」
本当に軽い返事だった。
ゲーマーなニャーぷるなりに、簡単で端的、分かりやすい言葉で伝える。
姿は見えないが意図は通じた。それなら後は行動にするだけだ。
「D、ミュージュ、お願いできる?」
「分かりました。【光属性魔法(中):フラッシュライト】!」
「仕方がないわね。しくじられないでよね、フェスタ!」
「分ってるってー。そいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
Dの魔法が世界を包む。眩い光により、視界が奪われる。
グリムは力を抜き、ソッとその場を離れると、魔法の硬貨範囲外に逃げた。
代わりに顔を上げたワーウルフのキメラは、魔法の影響を受けた。
視界が白一色になり、完全に潰されてしまう。
錯乱状態に陥ったのか、その場で乱心し暴れ散らす。
「(バシュン)決まった!」
それに合わせて飛び出したフェスタ。
グリムと違い、ハッキリとした強化を貰っている。
ミュージュのバフ掛けを受け、フェスタの攻撃力は増していた。
そのおかげもあり、鋭い爪を簡単に弾き飛ばしてしまう。……だがしかし、まだ止まらない。
「ヴァファッ! ヴァヴァフハァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
片腕の爪が無くなってしまった。腕をブンブン振って、地面を削り取る。
荒々しい態度。それだけ効いている証拠だ。
グリム達の作戦は間違っていないようで、後は最後……トドメを刺すだけだ。
「「「ニャーぷる!」」さん!」
全員で名前を叫んだ。森の中を声が駆ける。
サッと歯を揺らして、ワーウルフのキメラの視線が飛ぶ。
狙いを定められ、警戒のために武器を構えてみせたが、ワーウルフのキメラは背後からの凶矢に撃たれる。
バシュン!
一本の矢が命中した。先端には毒が塗ってある。
しかもただの毒ではなく、強力な睡眠効果の矢だ。
当たれば最悪死に至る。そんな矢に貫かれると、流石に睡眠耐性があったとしても、パタリと倒れてしまった。これこそが、呪いの装備との合わせ技だ。
「ヴァ……フッ……zzz」
ワーウルフのキメラはうつ伏せで倒れた。
眠ってしまったようで、寝息を立てて……居ない。
人間で言う所の項に刺さったようで、直接脳や心臓に睡眠剤が流れ込んだ。
あまりのも効果覿面だった。
そのせいか、ピクリとも動けなくなってしまった。
ワーウルフのキメラはHPが〇になる前、しばらく時間を置くとゲーム側が勝手に判断し、粒子に変わると目の前で消えてしまった。
「た、倒せたんでしょうか?」
「そうみたいだね」
「なんだか、アッサリね」
「そうだねー。結構、早かった?」
最後はとてつもなくアッサリとしていた。
終わってみれば呆気ないとはまさにこのこと。
グリム達は過程で凄まじい攻防になったが、毒の前では無力だと悟った。
「早かったというよりも、恐ろしいです」
「そうだね。毒か……これは使えそうだね」
毒を如何捉えるかによって、見え方は大きく異なる。
Dのように恐ろしいものとして捉えるか、グリムのように薬として捉えるか。
個人の価値観によるものだが、ここに居る四人の感想でもバラバラだった。
「終わりぃ~?」
そこに当の本人が姿を現した。
フードを脱ぐと、腕に取り付けていたボウガンを下ろす。
ワーウルフのキメラを倒したことを確認すると、にんまりとした笑顔を浮かべた。
「やったぁ、倒せたぁ」
強敵を無事に倒せた時の感動。
PCOにおいて、まともにパーティー戦を経験したことがない。
その達成感は、オンラインゲームで野良プレイヤーと共闘して面をクリアした時に匹敵する。
「やっぱりパーティー戦は面白いねぇ。役割があるのって、自分の存在価値を高めるよぉ」
とは言えニャーぷるの楽しみ方は少しだけ異なっていた。
役割を全うし、無事に敵を倒した。その効率的な立ち回りに手応えを感じている。
ここまでスムーズだったのも、上手く連携が取れた証拠だ。
「ニャーぷる、お疲れ様」
「みんなもねぇ。ふはぁ~、ああ、限界かもぉ?」
確かな強敵を討ち破った。
結果は如何あれ倒したことは事実だ。
五人の力を合わせて勝ち取った証を、なにはともあれ正しく受け取った。
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