第312話 睡魔は代償
ニャーぷるらしいと思いませんか?
「ふはぁ~」
大きな欠伸をするニャーぷる。
もう限界を迎えてしまったようで、体がグッタリ折れる。
地面に座り込んでしまうと、そのまま丸くなって眠りに落ちる。
「ニャーぷる、大丈夫?」
「ふにゃぁ~」
自分の意思とはまるで関係がない。
圧倒的な睡魔が襲い掛かると、ニャーぷるの思考力を停滞させる。
「ニャーぷるさん、眠たそうですね」
「そうだねー」
「こんな所で眠ると危ないでしょ? ほら、ニャーぷる、立って……重っ!?」
ミュージュはニャーぷるを立たせようとする。
しかしダメだった。あまりにも重い。
まるで石でも持っているみたいで、逆にミュージュの腕が持って行かれる。
「どうなってるのよ、これ?」
「あはは、そんな訳ないでしょ? って、本当に重い」
ニャーぷるを持ち上げようとするフェスタ。
確かに重い。力自慢のフェスタでこの反応だ。
何とか背負うことは出来たものの、とんでもない荷物になっていた。
「どうしたらいいんでしょうか、グリムさん?」
「ここに放置する訳にもいかないよね。でもこうなった以上、街まで戻ろうか」
グリムの判断は早かった。
一人がダウンしてしまった以上、
おまけにここ、コモレビの森はアップデートを繰り返し、モンスターのレベルも質も上がっている。それを身を持って体感すると、速やかに退散することを選んだ。
「フェスタ、転移装置まで、ニャーぷるを運べる?」
「うん、行けるよー」
「ありがとう。それじゃあ急ごうか」
グリム達は近くの転移装置まで急ぐ。
幸い、Dが警戒してくれているおかげで、モンスターの接近には気が付ける。
グリム自身も【超音波センサー】を頼りに警戒を怠らなかった。
「それにしても、ニャーぷるも大アルカナの呪いの装備を持っていたなんてね」
「はい。驚きましたね」
「まるで引かれ合っているみたいよ。気持ちが悪いわ」
ここに同系統の呪いの装備が五つ揃った。
ミュージュの言う通り、気持ちが悪いと言える。
けれどこれも惹かれ合った必然。そう思えば何か縁を感じた。
「でもさー、ニャーぷるのデバフってなんなのかな?」
フェスタは気になっていたことを口走る。
呪いのアイテムは装備を含め、強力なバフやメリット効果の代わりに、デバフやデメリットが付き纏っている。
装備を外せないだけでも厄介だが、グリムのように敵味方問わず、バフもデバフも受けられない。フェスタのように武器が重すぎてまともに扱えないなど、デメリットは様々だった。
「ん~? それはねぇ」
「あっ、ニャープルさんが起きましたよ!」
本の薄っすら、瞼を開けたニャーぷる。
話が聞こえていたみたいで、かろうじて説明をしてくれる。
とは言え限界はギリギリ、いつ夢の世界に連れ戻されるか分からない。
「ニャーぷる、それはって?」
「私のぉ、呪いの装備のぉ、デメリットはぁ……これだよぉ~」
「「「これ?」」」
あまりにも漠然としていた。
一瞬戸惑ってしまうが、ニャーぷるの状況を推察する。
ピンと来た……と言うよりも、それしか考えられない。
「もしかして、睡魔?」
「そうだよぉ。私ねぇ、この装備を手に入れてからぁ、ずーっと眠いんだよねぇ。特に頑張っちゃうとこんな感じですぐに、ふはぁ~」
ニャーぷるが背負った代償はあまりにも大きかった。
ゲームを満足に遊べない体になってしまっているのだ。
これで色々と説明が付く。目の下に絶えずあった隈の正体は、夜更かしだけではなく、呪いの装備の影響だったのだ。
「すっとって、本当にずっとなの?」
「装備の力を使っていない時は、眠気も吹っ飛ぶんだけどねぇ」
「それ以外、つまり戦闘中は……」
「ずーっと眠いよぉ~。後、能力を使った後もねぇ~」
ただでさえ不摂生が祟っていた。
普段から生活リズムが終わっているせいで、呪いの装備の影響も強く出ている。
恐らくは想定内の反応だろうが、グリム達は呆れてしまった。
「これ、マジで言ってる訳?」
「だろうね」
「あはは、面白い人だよね、ニャーぷるって」
寝息を立てて安らかに眠りに付いたニャーぷる。
フェスタの背中に安心を感じたのか、信頼を寄せている。
故に無防備な状態なのだが、眠ると疲れが一気に出て、重さが増してでいた。
「うっ、これもデバフかなー?」
「フェスタ、大丈夫?」
「オケ。それよりグリム、これからどうするの?」
フェスタは苦悶の表情を浮かべた。
如何やら本当に重たくなっている。
心配したグリムだったが、フェスタは大丈夫そうだ。
「そうだね。簡単な反省会でもする?」
「は、反省会ですか!?」
Dは反省会と聞いて緊張してしまった。
とは言え、そこまでちゃんとしたものではない。
あくまでも祝勝と懇親会の意味が強めだ。
「反省会って言っても、始めて五人で連携を取ったからね。その祝勝かな?」
「場所はどうするのー?」
「いつもの喫茶店にしようか」
「オケ。んじゃ行こっか」
グリムの提案をフェスタは飲んだ。
Dもミュージュも乗ってくれると、とりあえずいつもの喫茶店へと向かう。
その間、ニャーぷるは寝息を立てて眠りに付くと、もう一つの強スキル【睡眠時自動回復】が発動していた。
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