第310話 ワーウルフのキメラ
ちゃんと分かりやすいバトル。
グリム達は、ワーウルフのキメラと戦いを続けていた。
何とか、新スキル【受け流し】で応戦している。
けれど流石はキメラだ。通常のモンスターよりも手強い。
「チッ。Ritardando」
ミュージュは奏剣を振った。
ワーウルフのキメラにデバフを掛ける。
動きを少しでも遅くしようとするが、ワーウルフのキメラはそれさえ乗り越える。
「ワーフッ!」
ワーウルフのキメラは吠える。
ミュージュのデバフ効果をぶち破った。
地面を蹴って、鋭い牙を剥き出しにして、ミュージュに襲い掛かる。
「おっとっと、そうはさせないよ」
フェスタは間に割って入った。
手にしている大剣を盾のように構える。
ワーウルフのキメラを全身で受け止めるも、重みで膝が砕けそうになった。
「うわぁ、重い!?」
フェスタの体が崩れる。
〈戦車の大剣槍〉はとても重たいので、重みで体が動かない。
まさかフェスタ自身が自分の武器に襲われるなんて思わなかったが、このままではマズかった。
「フェスタ、マズいよ!?」
「分ってるけど……動けない」
フェスタは自分の武器にいいように使われていた。
本当に動けないみたいで、グリムが飛び出す。
だけど間に合わないのか、ワーウルフのキメラは爪を尖らせ、フェスタを切り裂く。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
腕を引っ掻かれた。
痛い、普通に痛い。ただでさえ軽装なせいで、肌が出ている部分がある。
幸い肩には防具が付いていた。おかげでHPは三分の一程度の消費で収まるも、唇を噛んで痛みを堪えていた。
「フェスタ!? 離れて貰おうかな?」
「そうね。援護するわ、Fortissimo」
グリムの武器にバフを掛けた。
強化された〈死神の大鎌〉は全体的に強くなる。
これをグリムの反射神経で扱えば、それだけで大ダメージ確定だった。
「それっ!」
大きく振りかぶって、大鎌を振り下ろす。
しかしワーウルフのキメラはそれをものもとしない。
体がグニュリと裂け、歪んだ肉片によって、攻撃を受け流される。
「はいっ? こんなのありかな」
「無しですよ。絶対にダメです!」
グリムもDも信じたくはなかった。
ワーウルフのキメラは渾身の一撃を軽く捻ってしまう。
瞬きものの中ワーウルフのキメラは一人ずつ、まずはフェスタから仕留めに掛かる。
「ヤバッ、これ本当にヤバいかも」
フェスタ自身も危険を感じた。
回復ポーションも飲めては居ない状況。
死を悟る中、何か足搔く方法は無いか必死で探る。
「ワーフワッフハァッ!!!」
けれど足搔く暇さえ与えてくれない。
目の前で吠え、戦意を削ぎ落し、唾を吐き掛ける。
赤く染まった長い舌が躍る中、フェスタもただでは負けない。
「タダで負けるくらいなら……わー―――――――――――――――――――――――――!!!」
けたたましく、腹の底から声を上げた。
フェスタが滅多に上げない奇声だ。
かなりのレア行動……と感心している場合ではなく、もはや足搔き、意地でさえなく、限界だった。
「フェスタ、無理しな……あれ?」
「グリムさん、あのキメラ、動きが止まっていますよ?」
「硬直しているみたいね。ニャーぷるが矢を撃ち込んだ……」
「違うよぉ」
突然ニャーぷるの声が聞こえた。
姿を隠してアシストに徹しているのだが、今回は違う。
ボウガンの矢は刺さっていないが、にもかかわらず、ワーウルフのキメラは体が麻痺して硬直している。
「もしかして、フェスタのスキル?」
「……【|咆哮】?」
如何やら新しいスキルを手に入れたらしい。
その名も【咆哮】と呼んでハウリング。
吠えることで、相手を一瞬だけ硬直させる、この状況において絶好のスキルだった。
スキル【咆哮】
条件:一定以上のデシベル数を出す。(※瞬間のみ可)
説明:叫び声を上げることで、一時的に範囲内に存在する敵味方問わず、体を硬直させ麻痺させることが出来る。
サッパリとしたスキルだった。
おまけに条件が曖昧で、入手方法は単純だが難易度は高い。
新しいスキルを手に入れたフェスタだが、嬉しい半面、現状打破には至っていない。
「見てないでさー、助けてよー」
大剣が重すぎて動けない。
グリム達に助けを求めると、いち早くグリムは動ける。
影響を受けないのがいい意味で功を奏していた。
「そうだね。せーのっ!」
グリムは大剣の下に押し潰されていたフェスタを引っ張り出す。
引き摺られる形で取り出されると、フェスタは大剣に手を伸ばし回収。
硬直状態の隙に距離を取ると、一旦固まることにした。
「フェスタ、怪我はしてないよね?」
「うーん、ちょっと持ってかれたくらい?」
HPは削れている。五分の一程度は、大剣の重さによる自滅。
それでも一撃が重たいのか、ワーウルフのキメラは油断ならない相手だ。
一旦の硬直で時間を稼いだものの、一人で相手をするのは無謀と見た。
「これは、全員で力を合わせるしかないね」
グリムは笑みを浮かべた。強敵を前にして、楽しんでいる訳ではない。
五人で協力して立ち向かわなければいけない。絶好の場面だ。
それが何よりも興奮し、チームワークを測るには最適だと思ったからこそ、勝ちたい、一人ではなくみんなでと、熱いことを思った。
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