第309話 この調子でレベルアップ♪
可愛くしたかった。
「そんなことよりさぁ、早く次に行こうよぉ」
ニャーぷるは調子を上げていた。
睡魔に襲われているのは変わらない。
それでも姿勢を崩さないでいると、グリム達も同意した。
「そうだね。それじゃあ行こうか」
「この調子でレベルアップだ!」
「はい!」
現時点でのグリム達のレベルは、平均して35付近。
レベルの最大は分からないが、イベントに臨む以上、もう少し欲しい。
ステータスの強化はある程度行っておきたい。イベント中はレベルが統一されるものの、スキル自体に影響は出ないからだ。
そのため、レベルを上げるついでにスキルが欲しい。
そう思って次のモンスターを探しに向かう。
ハンタータイガー以上に凶暴なモンスターと果たして遭遇出来るだろうか?
「なんて思っていたらこれだよ」
そう、グリム達は出遭ってしまった。
ハンタータイガー以上に凶暴と噂のモンスターだ。
鋭い牙と爪を剥き出しにすると、グリム達に襲い掛かる。
「グラウッ!」
「おっと……これくらい……重っ!?」
フェスタは大剣を使って攻撃を受け止める。
腰を落としたものの、足が重い。
下半身にダメージが入ると、衝撃を受け流しきれない。
「フェスタ、大丈夫!?」
「大丈夫じゃない……かなー?」
フェスタは苦しそうだった。
奥歯を噛むと、何とか耐えて見せるが、それでも限度がある。
足腰に負担がのしかかると、襲い掛かって来たモンスター、キメラがフェスタの大剣を振り解く。
「このっ、私を舐めないでよねっ!」
大剣を使っても振り解けない。
だからなのか、キメラの腹に向かって蹴りを繰り出す。
ドスン! と重い一撃が走ると、キメラも飛び上がった。
「ふぅ。なんとかなったねねー」
「大丈夫、フェスタ? 随分と苦戦していたけど」
「うんうん。あのモンスター、強いよ」
体勢を立て直したフェスタ。
グリム達と合流すると、キメラを讃える。
かなり強い。非常に高い評価を下すのも無理はなく、キメラには種類があるが、この個体はその中でも強い部類に入る。
「キメラ……初めて見たよ」
「な、なんだか怖いですね」
Dの体が小刻みに震え、全身に鳥肌が出ていた。
無理もない話だ。目の前のキメラは不気味だ。
そもそもキメラ自体が、通常のモンスターよりもグロテスクな見た目をしており、能力が強化して肉体をはみ出し肥大化している。
凶暴な個体が多く、現にグリム達が対面しているのは、所謂モンスタータイプのワーウルフ。全身の毛が硬化して棘のようになり、下は真っ赤を通り越し紅色に変わり、鋭い爪と牙はまるで刃だ。触れたら切り刻まれるに違いない。
「なかなかの強敵ね。それで、どうするのよ?」
「そうだね。とりあえず……」
ミュージュに問われたグリム。
作戦なんてものはそこまで考えていない。
とりあえず団子状態で固まっているので手出しは出来ないだろう。
そう思うのが甘く、ワーウルフのキメラは構わずに襲い掛かる。
「距離を取ろうか」
グリムは大鎌を振り抜いた。
震えていたDに襲い掛かって来たので、庇うようにして前に出る。
刃のように鋭い爪。重たく、簡単に弾き飛ばされてしまう。
「弾き飛ばされるなら……」
グリムの体が吹き飛ばされた。
それならば、少し考えがある。
わざとのようにグリムは自分から力を抜き、宙に体を投げだすと、そのまま慣性に身を任せる。
思惑通り、吹き飛ばされてもいい。
そう思われるのは心外で、グリムは力を逃がした。
耐えようとするから全身に無理が生じる。ならば絶えなければいい。吹き飛ばされる瞬間に受け身を取ると、衝撃を受け流した。
スキル【受け流し】
条件:敵の攻撃による衝撃を九十%以上減少する。
説明:攻撃を受け流すことができる。衝撃を三百六十度に散らすことで、ダメージを最小限に抑え、衝撃による硬直を防ぐことも可能になるが、それだけの反射神経を必要とする。
狙い通り、グリムは新しいスキルを手に入れた。
しかもグリムらしい、かなり汎用性の高いスキルだ。
これは使える。そう確信するが、距離を取らされたのは事実だ。
「大丈夫ですか、グリムさん!?」
「うん、大丈夫だよ」
Dは心配してくれる。
グリムも平気な顔をしてみせると、素早くワーウルフのキメラを視界に収めた。
「さっきの動き、なんかよかったねー」
「新しいスキルが手に入ったんだよ。おかげで功を奏したかな」
フェスタに褒められたグリム。新スキル、【受け流し】のおかげだ。
怪我をすることはなく、ある程度衝撃を受け流した。
HPの縁も僅かで、回復ポーションの必要もない。
「スキルー!? いいないいな」
「そう喜んでばかりいられない状況だけどね。どうやらキメラの方は怒っているみたいだ」
フェスタは新スキルを手に入れたグリムを羨ましがる。
ここ最近、と言いよりあれ以来、フェスタは新スキルを手に入れていない。
新しいスキルを手に入れると、その分強くなれる上に、気分も上がるのだ。
とは言え、喜んでばかりもいられなかった。
結局は後ろ向きなスキルで、前には進めていない。
少し、ほんの少しだけ戦いが有利になった程度で、キメラの方は怒りゲージが溜まったのか興奮状態で、地面をドスドス蹴っている。
「本当ね。どうする気よ?」
「さぁ、どうしようか?」
「さぁって、適当ね」
ミュージュに怒られてしまった。
それもその筈、反応が適当だった。
グリム自身も、何が最善かは分からない。とりあえず、距離を取ることが出来ただけマシだ。
「とりあえず、警戒はしようか。必ずなにか仕掛けて来るよ」
ワーウルフのキメラはかなりの強敵だと認識する。
とりあえずは様子を窺うことにしたが、標的に定められている以上、逃げるのは容易ではない。
ならば仕掛けるのはこちらからでなくてもいい。動いた瞬間を叩く、省エネで新しい戦術を取り込むことにしたが、そう上手く行く保証は、キメラ相手には無かった。
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