第307話 ニャーぷるの実力
ニャーぷるは強い。
「連絡したのよね?」
「そうだよ。一応連絡はしてみたけど」
「来ないわね、ニャーぷる」
「そうだね。でももう少し待ってみようか」
グリム達はニャーぷるを待っていた。
待ち合わせをしていたのだが、なかなかニャーぷるが来ない。
とりあえずフォンスで一番目立つ噴水広場で待ち合わせをしている。
けれどあれから三十分近くが経っているが、全く来る気配がない。
「やっぱりズボラな先輩は、信用できないわね」
「失礼だよ、ミュージュ」
とは言え、ミュージュの言うことも残念ながら否定は出来ない。
ニャーぷるは駐車場でネコと戯れて寝るような性格だ。
そのせいか、ニャーぷるのルーズさを信用出来ない。
「ねぇ、まだ来ないのかなー?」
「うーん、来ないかもしれないよ?」
「それじゃあこれからどうするの?」
「そうだね。私達だけで、何処かダンジョンに……」
仮にニャーぷるが来なくても、今日することは決まっている。
何処かダンジョンに行って、経験値を積もうと思った。
そんな予定を立てて説明すると、眩い光が薄っすらとだが走る。
「ふはぁ、お待たせぇ」
急に人影が現れた。
グリム達の真横に出現すると、眠気に魘されている。
目の下に隈があり、ユラユラと左右に揺れていた。
「遅いわよ、ニャーぷる!」
「ごめんねぇ~」
ミュージュはニャーぷるを叱った。
だけどニャーぷるは全く気にしないらしい。
怒られてもなんてことはない。いつも通りの態度を取る。
「遅かったですね、ニャーぷるさん。なにか事情があったんですか?」
「うぅ~ん、ゲームぅ?」
「ゲームって、夜更かしで遅刻ってこと?」
「大学生らしいでしょぉ?」
ミュージュは腹が立っていた。
だけど仕方がないことで、実に大学生らしい。
自由な時間の使い方をしていて、不健康ではあるものの、ニャーぷるらしかった。
「まあ、それは仕方がないよ。それよりニャーぷる、今日の予定は覚えてる?」
「うぅ~ん、確かぁ、ダンジョンに行くんだっけぇ?」
「そうだよ。パーティーとして、どれだけの連携が取れるか確認したいんだよ」
今回のダンジョン探索は、あくまでも連携の確認だ。
今回から五人になる。イベントに参加することも決まった。
結果的に如何転ぶのか、あらかじめ確認を取っておきたい。
少なくとも五人中四人は呪いの装備だ。
その結果、装備面において汎用性が低い。
だからこそ、ニャーぷるのゲームセンスが、引っ張ってくれることを期待していた。
「そっかぁ。それでぇ、何処に行くのぉ?」
「そうだね。予定通り、コモレビの森かな?」
「コモレビの森ぃ? ふぅーん、いいよぉ」
木洩れ日の森はフォンスから近い場所にあるダンジョンだ。
始めていくダンジョンって訳ではない。実はレベルアップのために何度か訪れている。
かなり広大なダンジョンで、木々が生い茂っている。
所々に開けた場所があり、木漏れ日が射し込んでいた。
おかげか、かなり過ごしやすく気持ちがいい場所だった。
「それじゃあ早速行こうか」
グリムの号令を受け、一同はコモレビの森へと向かう。
近くの転移装置に触れると、登録しているので一瞬で飛ぶ。
果たしてどんな形を見せてくれるのか、グリムは楽しみにしていた。
「そっちいったよ!」
フェスタが叫んだ。
大剣を振り回し、モンスターを追い詰める。
まさか凶暴とされているハンタータイガーと出遭うとは思わなかった。
「ドラッ!」
「こ、こっちに来ましたよ!」
フェスタが追い詰めると、ハンタータイガーはDに飛び掛かる。
並木を曲がると、鋭い爪を立てた。
Dの体を切り裂こうとするも、ここまでは予定調和だ。
「〈運命の腕輪〉、モード:防御」
Dはバリアを展開した。
自分の体をバリアで覆うと、ハンタータイガーは攻撃出来ない。
爪がガリガリとバリアを削るものの、ダメージは一切無い。
「今です、グリムさん、ミュージュさん!」
Dが囮役を買ってくれている。
合図を待ってグリムとミュージュが仕掛ける。
「行くわよ、グリム。Fortissimo」
「ありがとうミュージュ、助かるよ」
〈女教皇の奏剣〉を振ったミュージュ。
能力を解放すると、グリムの身体能力が上がる……訳ではない。
呪いの装備の弊害もあり、グリムにはバフもデバフも効かなかった。
それなら何のために能力を使ったのか。
もちろん意味がある。
グリム自身には影響が無い。以前から変わらないものの、それなら武器に掛ければいいのだ。
「私は強くなれない。でも、武器の攻撃力にはなるよ」
大鎌を振り上げ、斬撃を繰り出す。
ハンタータイガーの首を早速落としに掛かる。
角度は完璧。だがしかし、ハンタータイガーは間合いを読む。
「ドララァッ!」
ハンタータイガーは首を捻った。
首を守り、牙を使って大鎌を受け止めた。
まさか止められるなんて。さて、如何するかな? グリムは少し考える。
「そうだね。このまま捻って、牙を折って」
「そんな必要は無いよぉ」
バシュン!
姿がいつの間にか見えなくなっていたニャーぷるの声がした。
顔を上げるや否や、ボウガンの矢が、ハンタータイガーの首に刺さる。
目を見開いたのは一瞬だけ。眠るようにして倒れてしまった。
「ニャーぷる?」
「今だよぉ、グリムぅ」
「今って……もしかして、眠り状態?」
状態異常と呼ばれるものが存在する。
とても有名なデバフ効果で、その中の一つに眠り状態がある。
確か強烈な睡魔により一瞬にして意識を失ってしまう。
毒や麻痺以上に陥り難いのであまり好んでは使われないので、グリムも初めての経験だった。
「グリムさん!」
「ほら、やっちゃいなさい」
「そうだね。……姿を消したニャーぷる。おまけに一発で眠り状態にしてしまうなんて、もしかして?」
グリムは色々と気掛かりが生まれた。
何故か突然姿を消し、今も視界に収まらないニャーぷる。
あり得ない睡眠作用に恐れつつも、あくまでも可能性の話を抱く。
手にした大鎌を振り上げると、横になって動かないハンタータイガーに振り下ろす。
どんなモンスターもましてやプレイヤーも即死する。
あまりにも都合のよすぎるお膳立てに助けられると、グリムはハンタータイガーを即殺した。
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