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危険度Sの街中 02


「・・・こんなテンポで、魔物共は殲滅出来るのかね」


 戦闘は四方八方で起きている。


 向こうの道では逃げ遅れた住民がその場で魔物に喰われており、

その近くの民家では、別の大型の魔物と、兵士達の班が交戦している。


 そして、地下の基地がある方角からは、次々と魔物が雪崩れ込んできていた。



「ギリギリここに押し留めているという状況だな。だがこれ以上数が増えれば、限界だ」


 デルバードは、押し寄せる魔物の群れを睨む。



 魔物の数は時間と共に増えている。


 この調子で魔物の数が増え続ければ、南の街は終わりだろう。  



「ん、ちょっと・・・あれ、何?」


 班員の少女が、空を指さす。


「ねぇ、あれも、魔物・・・!?」


 少女が指を刺す方角、そこには―――。


 巨大な影が、飛行しているのが見えた。



「あれは、竜か!?」


 大きな翼を広げるその姿は、まさしく竜である。



 突如現れた巨大な影に、コハク達4人に緊張が走る。


 しかしコハクはその竜に見覚えがあった。



「・・・でもちょっと待て、あれは魔物じゃない」

 

 コハクは手のひらを開くと、魔力で結晶を生成する。


 結晶は変形し、そしてそれは、簡単な望遠鏡を形作った。



「あの竜は・・・」


 コハクはその望遠鏡で、空を飛行する竜を覗き込むと。


 予想通り、竜の背には人影が見えた。


 小柄なその姿は、アルスフォードだ。



「あれはアルスフォードだ。彼女が召喚した竜だ!」


「あぁ、あのSランクの魔術師か」

  

 デルバードが理解して答える。


 

 コハク達がアルスフォードの竜に目を奪われていると。

 

 コハクの背後へと、小型の人型魔物が接近した、が―――。


 "竜の槍尾"が蛇の様に唸り、人型の魔物を串刺しにした。


 そして、何事も無かった様に話を続ける。


    

「アルスフォード・・・。あいつ、こっちへ向かっているのか?」

  

 竜に乗ったアルスフォードは、戦闘は行わずに真っすぐこちらへ向かい飛行している。

  

「・・・それとも、何かを追っている様にも見えるな」


 デルバードが呟く。



 その時。


 離れた場所にある建物が、轟音を立てて吹き飛ぶ光景が見えた。

 

「・・・ッ!?」


 店は跡形もなく消し飛び、近くにいた兵士達は巻き込まれ、一瞬で肉塊となる。 


 コハク達からはまだ距離があるが、しかしその衝撃は、コハク達も感じれる程であった。



「クソ。今度は何事だ?」


 吹き飛んだ店の跡には、土埃とは別の、黒い霧の様なものが漂っている。

  

 その霧を見て、コハクは何か嫌な予感を感じた。 



「今、指令室からデバイスで連絡が入った」


 デバイスを片手に、デルバードが呟く


「なんて連絡がきたの?」


 少女が問う。


「新手の魔物が現れたとの連絡だ」



 やがて、漂う黒い霧の中から、何か影が見えてくる。


 それは、霧と同じ黒色の肌で、十メートル程の人型をしており、

 頭部には3対の歪な形の角が生え、目や鼻はなくのっぺりとしている。


 背中からは翼と思わしき骨格が見えるが、皮膜は無く、右側だけに5本程生えている。


 その姿は、例えるなら悪魔であった。



「・・・危険度SSSランク。"デーモン"が現れたと」

 

「何? 危険度・・・SSSランク?」


 

 魔物の危険度のランクは、SSSが最高である。


 それはコハクも知っていた。

 だが実物は、相手にしたことも、目にしたことすら無い。


 もし仮に、壁外でそんな魔物と出会ったとしても、

 コハク達では、まず手に負えない相手だ。 

  

 森で出会えば、間違いなく撤退する事だろう。 


 

「・・・最悪だな。多分ソイツ、今、目に見えるところにいるぞ」  


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