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危険度Sの街中 01


「この魔物の量、反乱者共が飼っていた生き残りかと思ったが、どうやら完全に別物だな」


 今、このヴァーリアの街は、危険度Sランクの奥地にある深い森と、同等の状況だろう。


 街中を走り回る魔物は、小型のものから大型の危険な種まで様々である。

 

 明らかに、反乱者達が飼っていたとは思えない規模の、魔物の量であった。 



「ところで、あっちで2人が襲われてるんだが」


 コハクと同じ班員の男女2人組が、魔物と交戦している。


 丁度、ビーストという大型の魔物の手足を長くしてスマートにしたような、4足歩行の魔物だ。



「よし、コハク。俺たちも向かうぞ」 


「いや、あれはあの二人に任せよう。・・・そうしないか?」

 


 魔物が長い腕を振るう。


 班員の少女はそれを魔法壁で防ぎ、

その隙に、もう一人の少年が剣を振るい、魔物の脚を斬り裂く。


 今のところ班員の二人は、優勢に戦っているが、

しかし魔物の皮膚が固いのか、決定打を与える事は出来ていない。



 更に、戦闘の音に誘われて集まってきたのだろう。

 

 ムカデの様な造形の魔物が、建物の壁を伝って少女の真上から迫っている。


   

「・・・コハク。これは命令だ」


「分かった。お助けに行くか」


 コハクは片腕に"竜の槍尾"を生成すると、二人の近くまで一気に駆け抜け、

そして、少女の真上に迫る、ムカデ型の魔物に狙いを定めた。


 放たれた"竜の槍尾"が、ムカデ型の身体を貫き、壁に釘づけにする。


 更にもう一本、コハクの腕から伸びる"竜の槍尾"が、

ムカデ型の頭部を突き刺し、そして引きちぎり、トドメを刺す。



 頭部を亡くしたムカデ型の魔物が、壁から剥がれ、少女の真横に落下する。


「っ!? ちょっと何!? びっくりした、なんなの!?」


 それに驚いた少女が怒鳴る。



「おっと、危うくムカデに頭から噛みつかれて、毒で死ぬところだったな。礼は要らんぞ」


「こんな雑魚にやられたりしないわよ」 


 少女はコハクへ冷たい返事を返し、魔物へ虹色の炎を浴びせながらそう呟く。



「おいおい、僕の周りはツンデレしかいないのかよ」


「いや、誰もデレないと思うぞ」


 兵士の少年はツッコミを入れながら、魔物が振り下ろす腕を避けて、少女の隣に並ぶ。

 

「それと、俺の"妹"にちょっかい出すんじゃない」


「あぁ~どいつもこいつも冷たいねぇ。

 おいシスコン兄貴、早くあの魔物の脚、一本くらい斬り落としてくれないか?」


「さっきからやってるんだよ」


 少年は再び魔物へ接近し、魔法を纏う刃を振るう。


 コハクも"竜の槍尾"を操り、魔物の身体へ槍を突き刺すが。


 しかし、魔物の皮膚は相当厚く、硬いのだろう。

 少年の剣も、コハクの"竜の槍尾"も、切り傷を付ける事は出来ても、致命傷を与えるには至らない。



「全然効いてないけど、どうすんのよコイツ!」

 

 少女は、魔物へ虹色の炎を浴びせながらそう呟く。

 

 魔物は炎に怯んでいる様だが、身体は不燃性が強いのか、燃え上がる事はない。


 身体はタフだが、大きく長いせいか、一つ一つの挙動が大振りで対処しやすい事は幸いだろう。


 

「あぁ・・・こういう硬い奴は、班長の出番だな」


 コハクは両腕から"竜の槍尾"を伸ばし、魔物の頭部に巻き付ける。


 魔物は甲高い声で威嚇しながら、コハクに狙いを付けて腕を振り下ろすが。


 魔物の注意がコハクの方へ向いた瞬間。


 デルバードが大剣を軽々しく振った。


 高速で振るわれた大剣は、斬ると言うより、叩き折る要領で魔物の脚を切り落とし、

片足を失いバランスを崩した魔物が、地面に落ちる。


 魔物は長い腕を動かし、立ち上がろうとするが、コハクは"竜の槍尾"でその片腕を絡め取る。


 そして、デルバードが大剣を振り下ろし、魔物の頭部を叩き割った。


 それが止めとなり、魔物は一度甲高い声を上げ、息絶えた。


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