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7/11

覚悟のラブソング

数日後、いつも練習に使ってるレンタルスタジオの扉を開けるとユメとナギが待っていた。


「あれ?カレン、この前よりいい顔してる♡」


ユメが自分の髪を指に巻き付けながらあたしの顔を覗き込む。その後ろでナギも何も言わないけど心配そうな顔をしてだけどどこか面白そうな顔をして壁にもたれかかりながらあたしを見た。


「うーん。リュウセイとバイバイしたからかも。あいつとはもう終わり。それより今なら激アツな曲作れる気がする」


「へぇ、いいね。確かに今のカレンならいい曲作れそうだね」


「確かに!なんかカレン雰囲気出たよ、やっぱ恋って人を変えるね〜素敵っ♡」


ナギは相変わらずローテンションだけどいつもより力強く、ユメは黄色い声をあげてハートを散らしながら頷いた。


「今回の曲は今までと違う客だけじゃない、今のSNSの意見もあたしたちのことよく知らない人の心もぶち抜く最高な曲にする」


そう。あたしは今回の炎上も初めての恋も何もかも利用して地上へ出てやるんだ。そして証明してやる。あたしとリュウセイの音楽の潔白を。


「いいね、私にできることあったら言って。」


「もちろん、ユメもできることあったら協力するよ♡世の中全部ぶん回してやろうね」


本当に最高なメンバーたちだ。早く曲作りたい。アイディア止まらない。


今、世間はリュウセイの話題で持ちきりだ。スタジオの隅のテレビに黒いスーツを着て髪をまとめたリュウセイとハヤテが映っていた。テレビで見たリュウセイの姿はどこかスッキリした感じで目もギラギラはしてないが付き物が取れた様なまっすぐした目をしていた。リュウセイは世間を騒がせた事の謝罪とバンドと全てのSNSの無期限での活動休止を発表した。

画面をみてあたしは鼻を鳴らした。


「…ふっなんだアイツ。前より元気そうじゃん。あたしも負けてらんねー」


活動休止してる間にあたしはもっともっと大きくなってポジションから何まで全部喰らってやるそんな気持ちで1人譜面に向き合った。


寝る間も惜しんで楽譜に音符を繋げていきギターをかき鳴らす。あの夜のリュウセイとの出会いからZでの炎上、路地裏でリュウセイと決別した時全てを音に込めていく。あたしが叩き込んだメロディと歌詞にユメが「ここもっと迫力出しちゃおうよ♡」と軽やかにだけど体全体にずっしり響くドラムを重ね、ナギが「ここは低音で怒りを表そう」と重厚なベースラインを合わせていく。この曲はあたしたちが世界をひっくり返すための曲であたしからのリュウセイへの宣戦布告の曲だ。



ライブ当日。舞台袖にも伝わる客席からの熱気。いつもと変わらないはずなのに何故か今日は緊張した。


「カレン!準備できてるよね!!」


「私たちに負けない様にがんばりなよ。」


「勿論、ぶちかます!!」


あたしは、カレン(舞)。もうリュウセイ(恭平先輩)の後を追いかけるのは終わり。今度はあたしが誰かの憧れになってやる。


息を大きく吸い込みマイクに噛み付く。


「ーーこのラブソングで!喰らいついてやるから!!」

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