カステル都市群:アルテア:カステル都市群総合原子研究所:外縁
都市を抜けると景色は徐々に変わっていった。建物は少なくなり、やがて高く連なったビル群は完全に途切れた。代わりに現れたのは、都市と都市の間を結んでいた巨大な交通インフラだった。それらは、光ファイバーのように都市同士を高速で結んでいたのだろう。
頭上には朽ちた高架道路があり、複数個所が崩壊している中、なんとかその形状を保っていた。その脇には何本もの高速鉄道の軌道が伸びているかつては数分おきに高速で列車が駆け抜け、人々を別の都市へ運んでいたはずの場所だ。
今では風だけが吹き抜けている。俺はそばの駅のホームから線路へ降りた。レールには赤茶けた錆が浮き、ところどころ枕木は腐食し朽ちていた。
それでも線路は真っ直ぐ前へ伸びている。それはまるで今もなお、どこかへ続こうとしているかのように。
しばらく歩くと、遠くの地平線に新たな都市の輪郭が見え始めた。だが、その都市もまたどこか歪だった。高層ビル街の中央。
…そこだけが不自然に欠けていた。
「Alpha……」
「はい」
「次の都市も、やっぱりか」
数秒の沈黙の後、Alphaは静かに答えた。
「はい。峡谷は次の都市も貫通しています」
この先、研究所まであとどれだけの都市が残っているのか。その答えはまだ分からない。だが、そのすべてがきっと同じ運命を辿っているのだろう。ここで起きた何かを知るためにも俺は進み続けた。
数日をかけて、ようやく視界の先に研究所を捉えた。十数もの都市群を抜けた先、研究所は峡谷の始まりに佇むようにしてあった。研究所の下部は半壊していて加速器らしきものが露出していた。
「やっぱり……ここから始まっていたのか」
思わず声が漏れる。
「Alpha。この中に、この事故に関する資料が残っている可能性は?」
「十分にあり得ます」
少し間を置いて、Alphaは話し続けた。
「特にこれが実験関連である場合、全記録が内部に保存されている可能性は高いです」
そして俺は研究所内部へと足を踏み入れた…
研究所内部も荒れ果てていた。入り口のドアはドアとして機能していなく、付近には複数の穴が開いていた。
相手いた隙間から中に入ると、散乱した書類が視界に入った。研究データ、解析ログ、手書きのメモ。それらが床や壁際にまで積み重なり、足を踏み入れるたびに乾いた紙の音が鳴る。
「本当にぎりぎりだったんだな。ここまで慌てて出て行ってるってことは……」
言葉は途中で途切れたまま、空気に沈んだ。俺は独り言のように呟きながら、さらに奥へと足を進める。
足を進めながら俺は視界の端で、バッテリーの状態を確認した。どれも100%付近まで充電されていた。
「これでしばらくは持ちそうだな」
短く息を吐き、タブを閉じた。そして俺は視線を上げた。
「情報センター……まずはそこだな」
そう言って、探索を続行する。散乱した書類の山を左右に寄せながら、研究所の奥へと進んでいった。




