表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MRL  作者: 化琉壮一
第三章:荒野地帯

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/46

荒野地帯:元C-1:峡谷下部

 数キロ走っただろうか、俺は周囲を警戒しながら走っていたが、もう一度辺りを見渡し、そばの砂岩の壁に背中を預けた。それからやっと警戒を解いた。

「あの集団はいったい何が目的だったんだ?」

 思考を巡らせてみても答えは出なかった。

「EMPでやられた機械を直さないとな…」

俺は、工具箱を取り出しAlphaのポートを開けた。

「こっちでも確認するが、とりあえず自己診断してくれ」

「自己診断を開始します……視覚制御ユニット、IRT-120、NAV-100のシステムに異常が見つかりました」

 その診断内容を聞いて俺は驚いた。

「視覚系統がすべてやられていたのか。サーモグラフィーも、ナビゲーションも使えなかったのはこれが原因か…」

 俺は、バックにしまってあるモジュールケースを取り出す。そして、それらのモジュールを探し始める。

「モジュールなさそうだな…代替モジュールでも機能できるか?」

「どの型かによりますが、基本的には使えるはずです。しかし、規定品以外のモジュールを使用すると一部性能は低下します」

「それでもないよりましだ」

 Alphaのポートから故障したモジュールを取り出した。外殻に異常はないものの、モジュール自体はもう動かなくなっている。そしてモジュールをケースに保管する。それがたとえEMPで死んだとしても、まだ治すことは出来るかもしれない。それに今ではモジュールは超高価な物品だ。到底使い捨て出来るものではなくなっているのだ。

 そして、新たなモジュールを取り出し先ほど取り出した部分へ差し込んだ。スリット、に読まれたモジュールは読み込み完了の旨を伝えるランプを照らした。

「モジュール初期化中…性能チェック、互換性を診断しています」

 しばらくの沈黙がやってくる。聞こえるのはAlphaのモーター音だけだ。そして気づけば、日も傾きだしていた。荷物の在庫を確認しているとAlphaが

「診断が完了しました。このモジュールは使用可能ですが互換性が不十分でした。こちらの回路で疑似的に互換性をそろえて読み込んでいます。なので想定以上の性能低下が予想されます。新たなモジュールの入手か専門施設での修理を推奨します」

「具体的にはどれくらいの効率低下が見られそうか?」

 俺は交換したばかりのモジュールを見ながら尋ねた。

「今回交換したモジュールの総合性能は、従来のおよそ五十二パーセントです。機能によっては四十パーセント台まで低下する可能性があります」

「半分以下か……」

 思わず眉をしかめる。これまでAlphaの補助は、自分の身体の一部と言っていいほど自然だった。サーモグラフィー、地形解析、ナビゲーション、そして危険予測。その時、その時に必要な情報が常に視界へ重ねて表示されそれらを教えてくれた。

 だが、効率の低下した今、これまで通りには使えない。

「ここからは、これまでみたいには使えないってことだな」

「はい。特に複数システムの同時運用は困難になると思われます」

 不意打ちのEMP一発でここまで機能が持っていかれるとは思わなかった。俺は、コンタクトの再起動を始めた。

 視界の中央に淡い青色の起動画面が浮かび上がり、システム診断のログが次々と流れていく。数十秒ほどたった頃、消えていた表示が徐々に戻り始めた。

 方位や残存電力量のような最低限の情報だけが視界に映し出された。だが、違和感はすぐに分かった。表示がこれまでと比べて明らかに遅かった。視線を動かしてから情報が追従するまで、ほんのわずかな間がある。

 しかしこの僅かでさえ時によっては命取りとなる。

 それから俺は試しにサーモグラフィーを起動した。すると現在表示されていた地形データの表示が消えた。その後、ナビゲーションを起動すると、今度は表示されていたサーモグラフィーが消えた。

「ここまで演算足りないのか…」

「映像処理能力の低下により、これまでのように複数の情報を同時表示させることができません」

 俺は思わず天を仰いだ。

「どれかを使いたかったらどれかを切らなきゃいけないのか…」

「その認識で問題ありません」

 最悪だった。今までは敵を探しながら進行方向も確認できた。だが今後はどれか一つしか選べない。

 戦闘になれば索敵を優先するしかない。探索中なら地図を、地形を優先するしかない。その一瞬一瞬の選択を間違えれば、そのまま死につながってしまう。

 弱化が入った機材を見ながら俺は、小さく息を吐いた。

「……これまでのような無茶はもう出来ないか」

 その後に、アシストシューズの修理を終えた。アシストシューズも使用不可になっていたが、祐がもしもの時を想定して追加してくれていたであろうEMP防護装置のせいもあってか、再起動を行うとこれまでのように動き出した。

「これで機動力だけは、これまで通りに使える」

 ここに留まっている必要は無かった。俺は再度裂け目の続く北部の方へと歩き始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ