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MRL  作者: 化琉壮一
第三章:荒野地帯

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荒野地帯:元C-1:高圧蓄電キャパシタ

「何とか撒く方法は無いのか?Alpha、何かあいつらを妨害できるようなものは?」

 Alphaは少し沈黙した後こういった、

「橋梁の基部、右側面に電源用の高圧蓄電キャパシタを発見しました……外部の損傷はありますが、現在も電力を蓄えてると思われます」

「キャパシタ…アーク放電か。どれくらいの規模のキャパシタだ?」

「このキャパシタは都市と都市を結ぶ電力網のポンプとして設計されているようです。なので、産業用と遜色ないと思われます」

 俺はライフルに十分な数の残弾があることを確認し、Alphaの示す方角を見た。そこには大きなバッテリーのようなものがあった。外装はアルミニウム合金だろうか?金属特有の鈍い輝きが見えた。そして、歳月による劣化も感じられた。

「これだけ劣化していたら…ギリ行けるか?」

 試みを棒に振る可能性だってあった。だが確証がないままでも、一か八かかけるしか俺には残されていなかった。

「現在敵が橋手前まで来ています。実行するなら今です」

 俺はライフルを構え、残っている通常弾をすべてキャパシタへ叩き込んだ。乾いた銃声が連続して響く。だが、結果は変わらない。弾丸は鈍い金属音を残して弾かれ、無残にも峡谷の底へと吸い込まれていった。

 キャパシタの外装に残ったのは、わずかなへこみだけだった。

「くそっ……やっぱり火力が足りないか……!」

 そう言い、唇を噛んだ。その時Alphaが言った。

「徹甲弾のマガジンがあるはずです」

 少しノイズのかかったAlphaの声が耳に届く。

「一マガジン分、徹甲弾があります。徹甲弾であれば合金の装甲を貫通させることができるはずです」

「……こんなところで使うことになるなんてな」

 思わず苦笑が漏れる。徹甲弾…それはセストレアへ向かうために温存していた最後の切り札だった。

 この先、何が待っているかも分からない。本来ならこんな早くに使うべきではない。だが――。

 ここで死ねば、その先も何もない。俺は空になったマガジンを叩き落とした。マガジンが金属音を立てて地面へ転がる。

 代わりに徹甲弾入りのマガジンを差し込み、薬室へ銃弾を送り込んだ。

 俺はスコープ越しにキャパシタを捉える。一度深く息を吸い…そして引き金を引いた。大きな音と共にこれまでとは明らかに違う手応えが肩へ返ってきた。弾丸は1直線に外装へ突き刺さり――合金を貫いた。

 火花と共に装甲板の一部が吹き飛ぶ。さらに二発、三発。外装は徹甲弾に耐えきれず穴が開き、内部の導電層が露出した。

 それと同時に橋の向こう側では敵が一斉に前進を始めていた。崩落する橋を渡り切るつもりだ。

「……これで最後だ」

 残る一発を薬室へ送り込む。照準を露出した内部構造へ合わせる。その照準に迷いはなかった。俺はためらわずに引き金を引く。

 徹甲弾は一直線に飛んで行き導電層を貫いた。次の瞬間、バチッと言う小さな放電音が聞こえ、世界が青白く染まった。

 視界を焼き尽くすほどの閃光が峡谷全体を飲み込んだ。

 轟音と共に、青白いアーク放電が雷撃のように橋全体へ走り、空気そのものを引き裂きながら進んでいく。

 そして、中央から衝撃波が爆発的に広がる。辺りの砂塵が吹き飛び、岩壁が震えた。橋の各所で金属が悲鳴を上げるように歪み始めた。取り付けられていたボルトが弾け飛び、鋼材が歪み始める。そしてついに支柱が限界を迎えた。

 そして地鳴りのような音が響いた。橋が確実にゆっくりと崩れていっていた。

 何十年もの風雨に耐え続けてきた巨大構造物が、その寿命を終えるように崩壊を始めた。

 敵の様子など確認してる暇などなかった。俺は、峡谷沿いを走って逃げていった。

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