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青い霧  作者: 田中元一


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第1話―② 大岩警部の登場

そんな折――

半年前に3階の「特別便事故調査室」に配属された男が、

2階フロアへと降りてきた。

大柄な体躯。鋭い眼差し。

K大空手部で、桜井の同期だった男――大岩 元である。

警視庁特捜部から出向してきた警部。学生時代から情に厚く、正義感の塊のような男だった。

警察官になったとは聞いていた。だが、特捜部の警部にまで昇進しているとは、知らなかった。

再会の挨拶もそこそこに、大岩は言った。

「押す!今夜、一杯やろう」

意気投合した2人は、JNL空手部を通じて親しくなった国際線チーフパーサーで千鶴の上司でもある

雨宮春樹も誘うことにした。

3人が集まったのは、新橋の小料理屋「屋森」。

全員30歳の同い年だが、妻子持ちは大岩だけだった。

「空手バカ」という共通項だけで、すぐに打ち解け、昔からの友人のように言葉が弾む。

桜井は場を和ませるように、雨宮の“武勇伝”を披露した。

「雨宮はS大空手部4年のとき、 地元・博多のチンピラと何度も喧嘩になってさ。

 相手を骨折させたり、全治2週間の怪我を負わせたりで、過剰防衛で2度も逮捕されてるんだ」

その取り調べを担当した刑事と、雨宮は7年後、台北の日本領事館パーティで再会したという。

その刑事の名を聞いた瞬間、大岩が思わず声を上げた。

「久間さんか! 俺が警視庁に配属されたときの上司だ。公安部外事課で、随分世話になった」

杯を重ねるうちに、3人の距離は一気に縮まっていった。

この夜をきっかけに、桜井と大岩は羽田の事務所で、日常的に情報交換するようになる。

桜井の胸には、強い危機感があった。犯人が捕まらない限り、「JNLの安全管理責任」が         問われ続け、会社の経営そのものが揺らぎかねない――。

一方、大岩は、事件捜査本部の主任捜査官五十嵐を元上司・久間外事課長から紹介されていた。

以降、大岩は定期的に五十嵐を訪ね、水面下で情報を共有していく。

―――――――――――次回予告―――――――――――――――

大岩警部と五十嵐捜査主任がつかんだ情報は正しかったのか。

「JNL内部犯行説」へと迷走していく。


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