第4話 4人が掴んだ「奥野工業事件の真相」
最初に報告を持ってきたのは、防衛庁に勤める久冨だった。
「PW社のジェットエンジン受注は…… 最初から “奥野工業を取り込んで潰す”前提で
動いていたらしい」
東和電機産業は、「合同受注」という名目で奥野工業を抱え込み、その後、実質的に切り捨てる。
航空部内では、それが半ば“常識”として理解されていたという。
さらに、百里基地の偵察機墜落事故についても、公式発表とは異なる“現場の見方”が存在していた。
「燃料パイプの1本が、人為的に捻じ曲げられていたという噂がある」
その事故を機に、PW社は奥野工業を指名から外し、東和電機産業一社に絞った。
次に口を開いたのは、経産省の近藤だった。
「PW社が最終的に東和との取引を続けたのは、米国防総省からの要請があったからだ」
そして――その裏で動いていたのが、当時の総理、そして民自党幹事長・山曽根康路。
最後に、大蔵省の田川が、決定的な情報を差し出した。
「国税と金融庁の内部資料では、 山曽根・西村・天野の3人は、 現在価値で数千億円規模の
資産を保有しているが、出どころは不明。」
戦時中の軍需物資横領の疑いは濃厚だが、証拠は、すでに徹底的に消されていた。
さらに――奥野工業が帝都銀行に申し込んだ50億円の融資。
「担保も実績も十分だったのに、 本店判断で半額に抑えられた。 その理由は―― “山曽根からの圧力”だという証言がある」
4人は、もはや疑いようのない事実を前に、言葉を失った。
奥野工業事件は、単なる経営判断の失敗ではない。
それは――国家権力と巨大資本による、計画的な切り捨てだった。
――――――――――――― 次回予告―――――――――――――
真相に辿り着いた若者たち。だが――彼らはまだ知らない。
その裏側で、別の人間が、まったく異なる方法で復讐を準備していることを。
若者の「正義」と、老いた者の「復讐」。
二つの線は、まだ交わらないまま、静かに同じ終着点へ向かっていた。




