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青い霧  作者: 田中元一


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第2話 4人の「日本論」

清の部屋には、月に一度、必ず3人の親友が集まった。

大蔵省に勤める 田川、経産省の 近藤、防衛庁装備部の 久冨

全員が東大・東工大出身。すでに課長補佐、あるいは課長へと昇進し、それぞれ家庭も持っている。

仕事の愚痴で終わる夜は、一度もなかった。

酒が進むにつれ話題は自然と――“日本の行く末”へ向かっていく。

田川が静かに言う。

「国を動かしているのは、実質的には官僚だ。だが、政治が腐れば、その官僚機構も必ず歪む」

近藤は、苛立ちを隠さない。

「外交も経済も、 いつの間にか“思考停止”に陥っている。 国民は、利益優先のマスコミが作る

 数字と不安に縛られているだけだ」

久冨は、淡々と現実を突きつける。

「防衛とは何か。 それを正面から議論できない国に、 未来はない」

しばし沈黙が流れ、最後に清が口を開いた。

「日本には、技術がある。 人もいる。 足りないのは―― 覚悟と意思だと思っている」

議論は、時に激しくなる。声を荒げることもある。

それでも、4人が決裂したことは一度もなかった。

同じ方向を向いている。ただ、立っている場所が違うだけだと、互いに分かっているからだ。

その様子を、台所からそっと見守る妻の翠は、胸の奥で静かに思っていた。

――この人たちは、 ただ不満を言っているのではない。本気で、 この国の行く末を考えているのだ。

―――――――――――――――― 次回予告――――――――――――

理想を語る、若者たち。

だがその裏側で、現実の世界では――別の歯車が、音もなく回り始めていた。

若者の正義。老いた者の復讐。

まだ交わらぬ二つの意志は、やがて同じ空へと引き寄せられていく。

―――――――――――――――――――――――――――――――――


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