第6話 群馬のバンガロー
問題は、どこで準備するかだった。
万が一のことがあれば、関係のない人間を巻き込んでしまう。
それだけは、絶対に避けなければならない。
沈黙が続いたあと、早苗が、ふと口を開いた。
「それなら…… 昔、2人で行った 群馬のバンガローはどう?」
宇野は、はっとして顔を上げた。
山の奥。人の出入りは少なく、観光シーズンを外せば、ほとんど無人に近い。
確かに、あの場所なら――余計な詮索も、人目もない。
計画は、ここで初めて“具体的な場所”を得た。
だが、宇野は浮き足立たなかった。必要なものは、一度に揃えない。購入先も、時期も、
すべて分散させる。
記録を残さない。疑われない。それは、復讐者の衝動ではなく、長年、銀行で生きてきた男の
慎重すぎるほどの段取りだった。
感情に任せれば、必ず破綻する。1つの綻びが、すべてを崩す。
だからこそ、宇野は急がなかった。
だが――最大の問題は、まだ何ひとつ解決していなかった。
「肝心な“それ”を、 どうやって手に入れるか……そして、どのような方法で特別便の3人を 青酸ガスで毒殺できるか」
宇野の脳裏に、新たな壁が立ちはだかる。
――――――――――――次回予告―――――――――
偶然が、突破口を開く。思いもよらぬ出来事が、宇野たちを
次の段階へ押し出す。
「手に入らないはずのもの」が、向こうから近づいてくる。
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