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青い霧  作者: 田中元一


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第3話 「特別便」の報せ

誕生日から、4日後。

娘・千鶴は仕事でバンコク線へ向かい、早苗と二人、静かな夕食を終えた直後だった。

電話が鳴った。奥野静江からだった。

受話器の向こうで、静江は興奮を抑えきれない様子で語り出す。

――来年の秋、厚生省主導で アメリカとカナダの老人ホーム・介護施設を

 視察する団体訪問があるという。

――全国から随行施設を募集中だが、 緑風会の理事長は、 「なごみ老人ホーム」と          「櫻老人ホーム」はほぼ内定だと話しているらしい。

――移動には、JNL航空の特別チャーター便が使われる。

そして――静江は、言葉を選ぶように、声を落として続けた。

「その便に…… 緑風会の橘昭一理事長のほかに、 山曽根厚生大臣、 西村総業の西村会長、     それから、東和電機産業の天野会長も乗るらしいの」

その瞬間。宇野の心臓が、はっきりと音を立てて跳ね上がった。

――天祐だ。

偶然ではない。重なりすぎている。

戦争、事故、裏切り、奪われた人生。すべての元凶が、「特別便」に集まる。

これほどの舞台は、二度と訪れない。

この機を逃せば、真実を暴くことも、決着をつけることもできない。

宇野は、静かに確信した。――復讐の扉が、 いま、開かれたのだと。

――――――――――次回予告―――――――――――

長い沈黙の末に練られる、復讐計画。

それは、偶然を装い、運命を利用し、誰にも気づかれぬ形で                           進められていく。

――――――――――――――――――――――――――


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