第5話 早苗の母は、どこに眠っているのか
宇野は、ひとつの思いに取り憑かれていた。
――古舘村のどこかに、早苗の母の遺骸が埋められ、村人の手で、
ひっそりと供養されているのではないか。
杉山栄一の白骨が見つかったことで、「消された者たち」は、決して幻想ではないとはっきりした。
ならば――早苗の母も、同じようにこの地に眠っているはずだ。
「早苗のためにも…… 母親の骨を探し出し、きちんと供養してやらなければならない」
その思いは、復讐ではなかった。
罪を暴くためでもない。ただ、生き残った者として果たすべき責任だった。
そう決意した宇野は、翌年の春、再び古舘村を訪れた。
まず、前回知り合いになった村役場の職員・井上に相談する。
「そんな話は…… 私は聞いたことがありませんね……」
井上は首を振りながらも、しばらく考え込み、こう付け加えた。
「ただ、 昔のことなら…… 古老に聞くのが一番です」
そう言って井上は、村で長く生きてきた3人の高齢女性と2人の男性を紹介してくれた。
宇野は、静かに礼を言い、その名を胸に刻んだ。
――ここから先は、記録ではなく、記憶の中にある。
――そして、口を開くかどうかは、彼ら自身の「覚悟」に委ねられている。
―――――――――――― 次回予告―――――――――
老人たちの口から、意外な名前が語られる。
それは、これまで語られてこなかった“もう一人の関係者”。
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