表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青い霧  作者: 田中元一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
63/69

第8話 清の決断

「経済的なこと……?」奥野が、思わず聞き返した。


清は、少し間を置いてから、静かに言葉を選びながら説明を始めた。

「東大は国立で授業料は安くても、 東京での下宿代、食費、教材費、通学費がかかります。       

祖父母も高齢ですし、母も、いつまでも若くはありません。 茶園だけでの家計は、正直、楽ではないと思うのです」

「防衛大だって、 似たようなものじゃないのか?」

奥野の問いに、清は首を横に振った。

「いいえ。 防衛大学校は全寮制で、 制服や寝具は貸与、食事も支給されます。そのうえ、毎月“学生手当”が支給され、

6月と12月には、期末手当まで出るんです。 仕送りはいりません。 貯金もできるくらいです」

その“夢のような待遇”に、奥野も、宇野も、思わず目を丸くした。                        

清はさらに、卒業後の任官の流れ、パイロットへの道、そして――自分の成績なら、推薦入学の可能性が高いことを、

丁寧に説明した。


2人は顔を見合わせ、しばらく無言のまま、ゆっくりとうなずき合った。

こうして清は、翌年9月、防衛大学校のわずか8名しかない推薦枠に挑戦し、10月中旬――合格通知を手にした。

仲間たちが進路に悩む中、清は、最も早く自分の道を決めた受験生となった。

やがて防大生となった清は、月に一度、真新しい制服姿で、奥野家と宇野家を訪ねてくるようになった。

言動は落ち着き、立ち居振る舞いも、どこか凛々しく堂々としてきた。

千鶴は、そんな清に、ますます憧れを募らせていった。

そして宇野夫婦は、心の内で、そっと願うようになっていた。

――いつか、千鶴と清が、一緒になってくれたらと。

――――――――― 次回予告―――――――――――

やがて訪れる、「夢を追う者」と「それを支える者」の試練。

静かに張られた伏線が、少しずつ、動き始める。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ