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第2話―③ 完成式という「祝祭」
第2話―③ 完成式という「祝祭」
昭和26年11月。
下毛ダムは、ついに完成した。
開所式には、県知事、県内市長、県議たちが顔を揃える。
テープカットは――県知事、津田県議、県議会議長、国土省治水管理部長。
厳かな拍手が、山間に響いた。
その最中――西村興業社長は、義弟とともに、人知れずダム管理室へ降りていく。
金山の廃坑跡に築かれていた、第101部隊の地下施設。
それは、設計図どおり――分厚いダムのコンクリートの中へ、完全に塗り込められていた。
場所は、管理室の壁の向こう側。誰の目にも触れず、誰の手も届かない死角。
西村は、その壁をじっと見つめた。かすかな笑みが、口元に浮かぶ。
ここで――あの戦争犯罪の証拠は、静かに、完全に、湖底へ沈められた。
次回予告
沈めても、終わらない。
真実は、人の記憶の中に残る。
物語は――戦後の斎藤中尉の章へ。




