表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青い霧  作者: 田中元一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/51

第1話―④ 水底へ沈める津田の覚悟 第1話―⑤ 実現させる覚悟

第1話―④ 水底へ沈める津田の覚悟

西村は、札束を置いたまま、念を押すように言った。

「貴様は村長だが、県庁や県議連中には、まだ顔が知られていない。それが、最大の武器だ」

津田は黙って聞く。その言葉が、甘い誘いではないことを理解していた。

西村は続ける。「義弟の西村土木社長と組め。裏工作は、お前達2人でやるのだ」

“裏工作”――その響きに、津田の背中が冷える。

だが、目の前の札束は温かい。人を現実に引き戻す、重さがある。


第1話―⑤ 実現させる覚悟

県議トップ当選。ダム位置変更。そして――101部隊痕跡の永遠の水没。

すべてを同時に実現する覚悟を、この瞬間、津田は固めた。

鬼火谷の道路拡張で、軍の金を握り、村を動かし、村長の椅子を手に入れたあの日。

あのとき掴んだ糸が、今、さらに太い縄になって首に回ってくる。

津田は、静かにうなずいた。「……分かりました。“位置変更”の件。動きます」

西村は、表情ひとつ変えない。勝利の笑みも、安堵の息もない。

ただ、淡々と告げた。「よし。これで――沈む」

その言葉が、津田の耳の奥に、冷たい鉛のように残った。

沈むのは、101部隊の痕跡だけではない。自分の過去、村の記憶。そして、罪を知る者の沈黙。

すべてが、水底に押し込められていく。


次回予告

ダム計画は“公共事業”の顔をして進み、水没は“未来のため”と称賛される。

だがその裏で、西村はさらに深い保険を打つ。

「沈めても終わらない。万一に備えろ」――密約は、第二段階へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ