第20話 もう一つの告白
秋山の告白から、数日後。
秋山は「もう一つだけ、話さねばならないことがあります」と、斎藤を療養所の裏山へと連れ出した。
秋山は一度、唾を飲み込み、さらに驚くべき秘密を語り始めた。
秋山によれば——斎藤抹殺計画ののち、崎山上等兵は「共犯」となった秋山に、
自分の昇進を自慢げに語ったという。
そして、西村少佐と天野少尉の会話の「例のお宝の満洲・中国で略奪した金銀宝石は
化学兵器貯蔵庫の奥に隠しており、いずれ俺たちにも回ってくる…」
秋山は、うつむきながらその言葉を繰り返した。語ること自体が、耐えられないように。
秋山の話を聞き終えた、その瞬間。
斎藤の胸の奥から込み上げてきたのは、押さえようのない怒りだった。
私利私欲のための人体実験。畑中少尉の死。略奪された財宝。 前線で死んでいく兵士たちとの対比……
松葉杖で体を支えた斎藤の身体は、怒りと憎悪で、小刻みに震えていた。
「……畑中を、返せ!」
裏山の風が、葉を揺らす。
斎藤は、その音を聞きながら悟っていた。
——自分は、ただ生き残ったのではない。“生かされた”のだ。
この怒りを、この記憶を、この真実を——消させないために。
―――――――――― 次回予告―――――――――――
沈黙は、もはや守りではない。
斎藤は、決意する。
やがて彼は、戦後日本の闇に埋もれた「ある資料」に辿り着く。
そこに記されていた、存在してはならない番号「101」
物語はついに——戦後処理と、国家の隠蔽へ踏み込んでいく。




