↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青い霧  作者: 田中元一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
110/123

第2話―② 県庁資料室と「焼失」の二文字

熊本県庁旧館。薄暗い資料室で、初老の職員・仲田が分厚い台帳をめくっていた。

背表紙には「昭和20〜30年度 県下土木事業」と記されている。

「下毛ダムは…… 確か昭和21年だったのう……」

横尾が、着工年と完成年を告げると、仲田は目次を何度も行き来し、やがて、眉をひそめた。

「……おかしいのう」仲田は、ページを戻し、もう一度確かめるように指を走らせた。

そして――ぽつりと、こう告げた。「……おかしいのう」一瞬の沈黙のあと、

仲田は紙面を指さした。

そこには、黄ばんだ紙の余白に、赤字で二文字が記されていた。「焼失」

横には、淡々と、こう補足されている。

昭和32年。古舘村役場失火により下毛ダム建設工事関連資料焼失

「偶然にしては、出来すぎている」横尾は、思わず息を呑んだ。

ダム建設の経緯。予定地変更の理由。用地買収の詳細。――それらすべてが、

「役場失火」 という一言で跡形もなく消えている。

偶然にしては、あまりにも出来すぎている。

横尾の背中を、汗とは別の、冷たいものが伝った。

だが――横尾は、ここで引き下がらなかった。

仲田が、資料を閉じながら言った一言が、新たな道を示す。

「工事を請け負った業者なら、 何か残しているかもしれん」

行政の記録が消えても、工事を担った側の記録まで完全に消すことはできない。

横尾の視線が、次の“入口”を捉えた瞬間だった。

―――――――――― 次回予告――――――――――

下毛ダム工事を請け負った企業名。

そこから浮かび上がる、「西村土木」そして――一人の県議の名。

闇は、組織から、個人へ。物語は、さらに核心へ近づいていく。

―――――――――――――――――――――――――――――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。