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青い霧  作者: 田中元一


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第1話―③ 「櫻老人ホーム」から浮かび上がった男

ある日、第3班の捜査員から班長の原槙警部のもとに、1本の報告が入った。

「櫻老人ホームから、興味深い情報を入手しました」

原槙の脳裏に浮かんだのは、特別便の生存者──宇野清二の名前だった。

彼は、事件の半年前から、老人ホームのリハビリ室で毎日2時間に及ぶ訓練を続けて           いたという。

平行棒での懸垂。下半身強化。ランニングマシンでの筋力トレーニング。

それまで、ほとんど使われていなかった器具を彼1人で独占するような状態だった。

「74歳の老人が、そこまでやるか……?」

さらに奇妙なのは、その“変化”だった。

半年で体重は64キロから 55キロまで減少、。事件直後から、リハビリ室に一切姿を            見せなくなった。現在は63キロまで回復している

「君は、宇野が“天井裏に上がるための体力作り”をしていた可能性を疑っているのか?」

原槙の問いに、部下は慎重に言葉を選ぶ。

「可能性は低いかもしれません。ただ……気になります」

戦争で片肺を失った74歳の老人。本当に、そんなことが可能なのか。

だが原槙は言った。「可能性が1%でも、調べる価値はある」

まずは、櫻老人ホームに提出された履歴書と採用経緯。

──この時点では、まだ五十嵐主任にも報告されていないが、第3班は、静かに動き始めた。

――――――――――――――― 次回予告――――――――――――

だがその頃、第1班が掘り起こしていたのは、個人ではなかった。

そこにあったのは、国家の中枢に食い込んだ“巨悪”の実像。

―――――――――――――――――――――――――――――――ー


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