紫苑の想いと呪いに踊る
ということで!
アテナ&卑弥呼&アフロディーテ回は終了です!
たどり着いたそこには、ボロボロになりきった親友の姿があった。
今にも砕けそうな、そんな優しい眼差しで、ずっと待っていたかのように感じられた。…本当に申し訳ないことをした。…遅くなってすまない。
「すまない、アフロディーテ…。帰るぞ」
「貴様、弱い癖に何をほざくのよ。私には勝てないって言ってるでしょうが。」
札を取り出す巫女に、前回学んだ知識で挑む。必ず同じ技には乗らない。喋る時に、瞬時に来るナイフ。
「…勝てる。私は。」
ヒュン、そう聞こえた矢先に攻撃をしかけた。ナイフが飛んでくることがわかっていたからこそ、だ。
卑弥呼の腹にキックを入れる。神社の奥地まで吹き飛んだ巫女は、ブツブツと言いながらこちらに向かってきた。
「…ぁ、」
「なんだ、蹴られただけで怖気付いたのか。」
ハッ、と軽く口で笑うと、巫女がその場の床に座り込み札を咥え、血で魔法陣を書いた。
「呪い返し!」
そう言うと空気波のチカラで私は吹き飛ばされた。戦闘が不利な状態で、卑弥呼はこちらに先制攻撃を仕掛けてくる。そう、痛々しいまでに。
酷い激痛と、張り裂けそうな痛みが左右して、目眩が来そうになるほどの力だった。
そう、昔の考えのままの私じゃ勝てない相手だったのかもしれない。
強いだけじゃ叶わない、そう思った。…それにしても、それにしても、だ。
こんなに酷い事を、アフロディーテにやっていたのか。…許せない。
しかも、あんなんになるまで、治癒の神が。…あいつの綺麗な髪が。…あんなにボロボロになるまで、どこまで虐めたんだ…?!
「許さない…!!!絶対許さない!」
私の勇気。お願い。助けて。
私は思いっきし回し蹴りをし、吐血をさせ、槍で卑弥呼を追い詰め、手で口を封じて壁上に貼り付けた。
「…言った、私は、勝てるんだ。」
「わ、私を倒した所で…あの麗しい神は死ぬに同然ですのに。屈伏させるのは愉しかったですわ、とても」
キリキリという静かなこの場所で、容赦なく相手を握り殺すような私を…、アフロディーテは私にきっと怖がって近づかないようになるかもしれない。
でも、それでもいい。
辛い思いをした、アフロディーテに比べれば痛くも痒くもない。…ちょっと、心残りはあるけれど。ね。
「ツクヨミといた頃は、…もっと素敵でしたのにね。残念な人、っ…、ぁ」
意識が消えていった卑弥呼を、槍でとどめを刺す。
「…あなたの強さ、美しさ…、まるでランスロットさんみたいね…。」
「自慢の兄だ。」
突き刺さる、聖なる槍を抜く。幸せそうな顔をして花びらになっていく。
シオンの花が、そこら中に散った。
きっと本当に、兄を愛していたのだろう。アフロディーテと同じように。こちらを見るアフロディーテは、どこか寂しげだった。
「…っ!アテナぁ!」
「っ!!アフロディーテ…大丈夫なのか?動けるのか?」
動けないけど、維持で走っちゃった。なんて、言葉を残して、安心したかのように眠る。
卑弥呼の呪い返しは、きっと、きっとアフロディーテの寿命も縮めたはずだ。だからこそ、秘湯にでも連れて行って完治させたいところだ。
…ギリシアに、呪いを祓う所はあっただろうか…?まぁいい、一件落着だ。そろそろ兄が合流してくれるだろう。
すると、茶髪で長髪の一本縛りの、尊敬する兄が来た。
「兄、頼む。…私も疲れていてな。すまない。」
ボロボロでヘトヘトになった私は、1人でフラフラになっていた。
「おつかれ。…でも、あまり無理をするな。…まぁ、一応女なんだからな。」
「そういうの、関係ないし。」
アフロディーテを背負うと、ただ、その言葉と優しい微笑みを見せ、兄とふたりで笑っていた。
アフロディーテは、どこか懐かしいような気分で、深い眠りに落ちた。
次回は金曜日ーお楽しみに〜




