アナナスとカトレアの花
アテナちゃんは頭がいいはずなので気づくはずだと思います。(ネタバレ)
…ここどこ…?…ギリシアとは少し匂いが違うなぁ…
「起きたか、麗しき愛の女神よ。」
私が目覚めると、其処には忌々しい巫女がこちらを見て座っていた。
「ちょっ、貴女誰なんですかっ?此処は何処ですか!誘拐犯ですよ?!ゼウス様に訴えますよ!」
「変わった娘ですわね。」
変わっている。…そう、私は変わっている。
私は、小さい頃からギリシアの城に住んでた。母と父は昔、戦争でなくなっていて、イトコのゼウス様に引き取ってもらったんだ。
私は、周りのこと比べると、なかなか注目を集める子だった。
それは、美貌の点で。…最近は気にかけてはないけれど、私は愛の神ヴィーナスと並ぶほどの力を持っている、愛の女神、アフロディーテ。
引き取られた時は、なかなか城から出してもらうことが出来なくて、ずっと独りぼっちで本を読んでた。…その時、仲良くなったのがアテナだった。
「お前、何してるんだ?いつも、ここに来てるよな。好きなのか?本。」
今はショートカットだけど、この時アテナはロングだった。
サラサラで、綺麗で、でも何処か男の子っぽいところとかがあって、最初は絶対に仲良くなれないなぁ、って思ってた。
だけど、私が毎日図書館に行くと、必ず私が好きそうな本を探してくれて、一緒に読もう。といつも言ってくれた。
アテナとは同年代で、初めての女の子の友達ができたと思ったの。…それからは、毎日毎日遊ぶようになった。
アテナが付いていれば外に出てもいい、と言われるようになったし、海に出かけるのも自由になった。
ところがある日、アテナとお散歩していた時、私がチョウチョを探してフラフラしてたら、迷子になっちゃって。
森の中で泣いている時に、海賊団に狙われたの。その時ちょうど夜で、真っ暗闇の中、一人で泣いてた。
誰か助けて…、そう叫んだ時に来てくれたのが、二歳上の、アテナのお兄さん、ランスロットさんだった。
「おい、大丈夫か。怪我とか、してないか。」
海賊団を倒したと思われる彼は、顔に血がついていて、その時に変な感情が生まれてまたまた泣いちゃったっけ。
怪我してない?、そう聴いた時に、
「大丈夫、怪我してない。…ほら、後ろ乗れ。」
肩を差し出した時、其処には傷跡があって。どうしても治したくて、禁じられていた治癒の力を使った。…その時、私の心が揺らいだ。ゆらゆら、ゆらゆら、まるで新しい風が吹いているかのように。
『アフロディーテ、この力を使うと、君は運命に逆らえなくなる。辿りたくない道に行くかもしれない。強力な治癒魔法なんだ。』
最初はよくわからなかった。でも、後々から自分が不老不死、そう気づいてしまった。
「お前、顔とか綺麗なんだから迷子にはなるなよ。妹と違って泣き虫だし。…馬鹿か。」
強く言ってくれてありがとう、それは、私を強くしてくれるの。誰も私を叱ってくれる人なんていなかったから。…好き、大好き。あなたの事が、好き。…暫く片思いになっちゃうけど…それでもいいの。
『アフロディーテ、君は本当に美しいよ、これを受け取ってくれるかな。』
毎回求婚されるときは、アナナスを渡されていた。…私のこと、あくまでも〝美しい〟としか思ってないのに。
美貌がなんだっていうの?…大切なのは、そんなんじゃない。
『あなた変わり者ね、あんなに美男子を振るなんて。』
『変わり者すぎ。意見とか合わないしさぁ。…友達やめよっか?』
私は変わり者。…私のこと、もっと笑ってもいいんだよ。それでも、私自身が誇りに思えてくるから。個性だって。…大切なことがわかるなら、もっと笑ってもらって構わない。
「は?、私はそんなことじゃ変わり者だとは思わないけど。…てか好きじゃないやつと結婚しなきゃいけないんだ?私でも嫌だ。かっこよくてもな。自分の選択に自信もった方がいいんじゃない?」
なぜかイライラしているアテナにクスッと笑う私。なんだか意思疎通できて嬉しいなぁ。…自信かぁ。
「ありがとうアテナ、大好き。」
「あ、ああ。」
少し照れ気味なアテナだけど、やっぱり友達だなぁ、親友だなぁ、って思えた。
「アテナって、カトレアの花みたいだよね!」
「ありがとう、そう言ってもらえると…嬉しい」
でも、今思うと、〝完璧〟だよね。なんて言ってたんだなぁって。アテナも、『こいつもこういうこと言ってくる奴なんだなぁ』って思ってたのかなぁ。
ごめんね。私はあなたの強さが羨ましかっただけなの。大好きだから。
私なんて、生きていくだけで精一杯なのに。…愛されたいなんて思うの、勿体無いことなの。でも、ありがとうって言いたいの。
でも、結局言えなかったんだね、私。
助かるはずがない。此処に連れてこられて、絶対に裏切りたくないの。貴女も、仲間も、そして…ランスロットさんも。
「変わったやつです、私は。」
「じゃあ、私たちの仲間になってくれるでしょう?変わり者なんだから。」
「…ならない。殺されても構わない。誰より治癒力は高いから。…負けないから。」
私は負けないの。絶対。戦えないからって見くびらないでほしいの。…回復薬なら、ナイチンゲールさんもいる。私がいなくても大丈夫。
「本当に変わった子。選択を間違えたことを後悔することね。」
「自分の選択に自信を持つの。何が何でもね。」
アテナに言われたこと思い出して、クスッと笑う。
「生意気な小娘。二度と見れない顔にしてあげる。…ランスロット様といるのは私よ。何が何でもね。」
それは私が決めることじゃないわ。ランスロットさんが決めることだから。…美貌がなんだっていうの。
人の心が、強ければ強いほど、頑張れるんだから。
「ふんっ!」
私のことを殴る卑弥呼は、何処か悲しそうな顔をして、こちらを見つめていた。
「…っ!」
痛いけど、痛みは増すけど、何度でもアテナと、みんなの事を考えれば大丈夫。
「命がある限り、私は倒れないわ!」
致命傷でも死なない、そんな治癒力。
不老不死。不老不死同士では殺しあえる。でも、私がそれだけじゃ死なないのは、何よりも力になれること。
「思う存分、傷を覆ったら良いじゃないの。」
私は負けないからね。…お願い、此処の手がかりを置いてきたの、アテナ、気づいて…!
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