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崩れた世界で君と踊る  作者: 物好 林檎
異世界への誘い
11/16

花弁の散る世界

ナイチンゲール…初登場!

アテナ…元気出せょ。

「アテナ〜、どこ〜?」

 

 片目が薔薇で覆われている美しい、まさに天使みたいな女性。私のことを小さい頃からお母さんがわりとして育ててきてくれた。今は世話役。洋服とか回復とか、色んなことをしてくれるから、助かる。

 

 「な、ナイチンゲール…」

 

 私はナイチンゲールのことは普通に好きだが、見つかると煌びやかな服を着せられる。…それだけが、難。

 

 「アテナぁ、そろそろ顔色気にしたらァ?…目、光ないわよ?あと、可愛い服着ましょうよ〜。可愛いんだから。」

 

 「う…気にしてるんだが。…あとフリフリは絶対に着ないからな。…いいな。いいな! …」

 

 私は鏡を見る。

 

 私はあの日以来から、目の色を失ってしまっている。そう、あの日から…。

 

 

 「アテナ、今日は何処へ行きたい?」

 

 私の小さな手を引く、 大きな手。大好きだった。大きな手。

 

 「私は何処でもいいけれど、…ツクヨミは?」

 

 「海へ行こう。見せたい景色があるんだ。」

 

 ツクヨミは、私にとって本当に大切で、かっこよくて、素敵な情人だった。…それは昔の話だけれど。

 

 「凄い…綺麗…」

 

 地平線まで青く、美しく染まる青空はまさに海と同化してるようにも見えた。それは、儚げだけれど、どこか不思議な…。

 

 「…俺、アテナと…この先もずっとそばで笑っていたいんだ」

 

 遠くを見つめていた目が、私の方に向く。

 

 「…私も。」

 

 にこりと少し微笑み、透き通るような青を背に、再度遠くを見る。

 

 「…え?、他、…なんにも思わなかった?」

 

 残念そうにこちらを向けば、とんとん、と叩いてきた。

 

 「…う、うん?」

 

 私は何が?という心境でずっと彼を見つめていた。何処が鈍感なところがあったからだろうか。全く気づかなかった。…言われるまで。

 

 「い、一応…プロポーズ…だったんだけど。」

 

 照れながら、少し躊躇いながら、ツクヨミは私の方を向き、俯いてしまう。

 

 「…へ?」

 

 …言われた時、何が起こったのか?と。ふと思ってしまうくらい…嬉しかった。

 

 「だ、だから、プロポーズ…って。」

 

 私の手を包む。優しく、暖かく。…空の青で光るダイヤモンドが可愛く付いていて、真夏の暑さに比べ、ひんやりとする指輪を私の指に入れる。

 

 「…俺と、結婚して下さい…」

 

 嬉しかった。私は。大好きな彼が、素直じゃないし可愛くもない。それに、鈍感でどこか抜けてる、私になんて…。

 

 完璧で、優しくて、いつも笑ってくれて、何よりも私のことを優先してくれた。そんな彼と。

 

 「はい。勿論…。…大好き。」

 

 結ばれると、…

 

 思ってた。

 

 

 

 「ツクヨミ。前に出よ。」

 

 怒りに満ち満ち溢れた、俺の姉を前にする。

 

 「はい。」

 

 「私の国に、ギリシアの者達が入ってきていると連絡が入った…。それに、お前の姿もな。…心当たりあるだろう?…アテナ、ともうする女だな?…その指輪も。」

 

 「アテナは何もしていないはずだ。今、戦争の話をするのはおかしいだろ、それに、俺がアテナと縁があったりしても姉さんには関係ない!」

 

 「関係ある…それに、お前…ギリシアの仲間だと、…な。裏切るのか。儂を。…儂を裏切るならば、…あの小娘は生かさん。…必ずな。」

 

 許せない。許さない。…俺は、決して。自分だけ幸せになることなど、願ってなんかいないから。…すべてはアテナのため。

 

 「それだけは、やめろ、…姉さん」

 

 「ならば、分かってるよな?…」

 

 「…っ、はい、分かりました。」

 

 「よい。それで良いのだ。お前は創造神の弟じゃぞ?よかったな!」

 

 俺は、決して離れないと誓った。…プロポーズもした、なのに。…なのに。

 

 なぜ俺らは、この世界に生まれてきてしまったんだ…。

 

 『つ、ツクヨミ。』

 

 初めて名前呼んでもらった時、この子が好きだと…きづいた。強くて強情で、本当は寂しがりやで。

 

 泣き顔なんか見せなくて。寂しそうな顔なんて見せることはなくて。いつも笑ってたなぁ。……。

 

 ごめんな、アテナ。…でも、やっぱりこれは捨てれないよ。…お前だと思ってしまってさ…。

 

 光る指輪を見て、俺は決して外さないと誓い、指輪を隠すため、それからは…手袋をはめるようにした。

 

 『大好き』

 

 二度と聞けない言葉かもしれないけれど。…それでも俺は、信じていたい。

 

 

 「…父上…ど、どうゆうこと」

 

 「そのまんまだ。…ギリシア王国はイジーニア王国との貿易を切った。イジーニアの連中が、この世界を昼に染めてしまったんだ。」

 

 「でも!…っ。でも、恋人とは___…」

 

 私は身を投げ出して振り切る。

 

 「ツクヨミは、イジーニアについた。」

 

 …その言葉で、私は真っ黒に染まった。大好きな、大好きだった彼に、…私は…憎しみが湧いてきたのだった。

 

 

 アテナ、真相を知らせなくてごめん。…出来れば、君のことだけをずっと愛してるって言いたかったな。…

 

 ツクヨミ、あなたからもらった言葉、愛、指輪。あれは嘘だったのね。幸せだったあの頃は、もう戻ってこない。

 

 「「絶対に許さない」」

 

 俺は、姉さんを。

 

 私は、ツクヨミを。

 

 

 「アテナ!やっぱり服着ましょう。可愛い顔がもったいないわよ!」

 

 「うっ、な、ナイチンゲール、やめ」

 

 ポコポコとナイチンゲールを叩く。もういい加減にお人形さんごっこはやめて欲しい。

 

 すると、遠くから兄が走ってきた。

 

 「妹、大変だ。すぐに遠征に向かってくれ。」

 

 「どうしたんだ、兄。何事があって…」

 

 「アフロディーテが、下町に散歩に行った時、イジーニアの兵士と…謎の巫女に囲まれたんだ…頼む、俺は助けに行けない。…アテナ、お願い出来ないか。」

 

 勿論、そう答えると、私は先ほどの昔話をかき消し、現場へと向かった。

どうでしたか??

次の更新は今週にします!

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