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やり直しの神子は長生きしたい  作者: kozzy


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一人戦略会議

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


真っ先に取り組むべきこと。それは神官長経由でやってくる正規の依頼をどうにかすることだ。だってこればかりは避けられない。


ナンナー家の責務もリンデン家の名誉も僕にはどうでもいい。

僕の寿命的な問題を考えたら全てぶん投げたいのが本音だが…


この国で王と教会を同時に敵にはまわせない。それこそ自殺行為、真っ暗な裏路地で人目を避けて生きてかなきゃならなくなる。

そうなったら自己再生によって野垂れ死にも出来ないこの身体では、むしろ長生きイコール苦行…


そこで僕は正規依頼を無くすのではなく減らす方向で考えることにした。


日記帳と未来の記憶で吟味に吟味を重ね「あ、これは必要なやつ」と思えたものに絞ったのだ。


当然神官長からは苦言の嵐。


「神子よ。彼らは王の寵愛厚き者共。不興を買いましょう」

「ふーん」ホジホジ


耳だよ?


それはさておき、ある意味これはいい機会だ。

神子の威を借る不届きものめ!

ウルリッヒ様の後ろで思ってたこと全部ぶちまけてやる!


「神の奇跡を誰に与えるか…それを決めていいのは僕だけです」

「神子様!」


ギロリ「僕の目は節穴ではありませんよ」

「…なんの話でしょう…」

「神官長。神殿はいつから人の命に値札をつけるようになったんですか?ここは競り市ですか?」


「そ、それは…」


これは何も神官長が賄賂を貰ってるとか横抜きしているとか、そう言う事ではない。けれど、ここ数代少々利益(おふせ)主義に偏っていっていることは否めない。


現に神子の平均寿命は宮廷周りの腐敗が進み始めた頃から格段に短くなっている。

神子の寿命を平均十数年と言ったが、五代前の神子様までは中年期まで存命の方も少なくなかった。


豪華な神殿、滋養のある食事。

神官長はこれを「短命な神子様になに不自由なくお暮らし頂くため」、というが飼い殺しておきながらお笑い種だ。


ハー…「死ぬも生きるも神の与えた運命。それを歪めるなんて…むしろ神の意思に唾かける行為とは思いませんか?」

「し、しかし〝再生の力”は…」


キリ「その通りです。神が神子にこの力を与えているのには何か理由があるんでしょう。だから必要だと思われる方には今後も救いを与えます」

ホッ…「では…」

ハー…「けど神の慈悲がいつまでもあると思わないことですね」


「神子よ…、まさか神はお怒りなのか…」

「まあわりと」


神の代理人が神子、と考えれば今お怒りなのは僕、だから間違ってない。


「だ、だが…」

「神官長の頭頂部」

「…」ピタ

「それは神の警告ですよ」

「な、何の話かさっぱり…」

「頭頂部の光輪…三年前…前神子マルレーン様が亡くなってから…ですよね?」

バッ!「!」


僕は知っている。神官長は誰にもバレないようにコッソリ、コォォォッソリ、海のある領から特別に取り寄せた、『濃密ワカメ粉末』を毎朝頭にふりかけているということを!


「何をやってももう無駄ですよ。罰は下されました」


ふっ、併設棟にいる吃音のゴミ集め人夫から聞いてネタはあがってんだよ!


ビビった神官長は救われるべき人物基準をもっと厳しく引き上げることにしたようだ。


「はっきり言っておくけど…神子の力を安売りするのは止めてください。罰当たりな!」

「おお…けっしてそのような…」

「神子の力は神からの授かりもの。お金で買えるようなものじゃない!わかってますか!」

「もちろんですとも!」

「お布施と貢ぎ物も信仰心を見定める側面はありますから今後も受け取っていいです」


というか受け取れ!僕のために!


「けどそれだけを指標にしちゃダメです。あくまで国のためになる人物に。国に貢献した人物に。わかりますね?」

「心得ましてございます」

「神は全て見ていますよ」


「猛省し自戒いたします…」


よし!

今までのペースで枯渇までが十数年、これが三分の一に減れば、単純に枯渇までの期間も三倍にならないかな?


とにかく、正規依頼に最低限の手は打った。

あとは裏ルート…


今のところ偽色男、第一王子アルトゥールからの面会希望は「ほっぺのニキビが治らないので」と丁寧にお断りしているが…いつまでもはもたないだろう。


ウルリッヒ様には僕が居た。でも僕には誰も居ない。

いくら神子が何でもありの絶対領域でも単独行動では出来ることに限界がある。

ここを出るためには味方が…僕には味方が必要だ!


依頼してある小間使いなんかじゃだめだ。だって王宮から派遣される小間使いなんて王宮寄りに決まってる。


もっと僕の長生きと解放の役に立ちそうな…そこそこ頭が回ってそこそこ力があって、そして志を同じく出来る人物。


つまり…王家を嫌ってる人物。


実を言うとその人物に僕は心当たりがある。


たとえ三年分とはいえ未来を知ってるのは最大の強みだ。もっともそれを生かす頭脳あればこそだが、僕は養育棟のキッチンメイド、ステラおばあさんからも「このずるがしこいクソガキ!」とほうきを持って追いかけられた、《《賢い》》男だ。


「日記でも読み返すか…」


僕の日記はゴシップの宝庫だ。


何故なら…偽色男アルトゥールとのバッタリを期待したウルリッヒ様に付き従って、僕は王宮と神殿を頻繁に行き来していた。

そして平民の僕が立ち入れない宝物庫などに行かれているときは、使用人が集まる厨房や洗濯室で手伝いをしながらいろんな噂話を聞き込んでいたんだから。


「今度の神子様はずいぶんワガママだって話じゃないか。あんた大丈夫かい?」

「はぁ!? 誤解もはなはだしい!

「違うのかい?」

「違います。死ぬまで神殿で飼い殺しのウルリッヒ様には日々に変化も刺激もありません。だからワガママで気を紛らわしているんです」

「そりゃあ確かにねぇ…考えてみりゃ気の毒だねぇ…」

「でしょ?なので城内の面白おかしい話があったら聞かせてください。日々の娯楽にしますから」

「任せときな!」


とまあこのように、城内の、少なくとも下級使用人レベルではすでにウルリッヒ様の評判は回復している。むしろ彼らはウルリッヒ様に同情的だ。


え?その中に味方が居るのかって?

チッチッチッ!…彼らは気持ちの上では味方だが、如何せん、何の力もない有象無象。


ド本命がいるんだよねぇ~…


教えてあげよう。僕の日記(ゴシップ)帳、最大にして最悪の王宮醜聞、居ないものとされた幻の第一王子…


その名もオズヴァルト。










毎日更新を目指しています。

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