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やり直しの神子は長生きしたい  作者: kozzy


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計画発表

オズヴァルトたちの皇国との折衝はまだまだ続いている。


その打開のためにも僕と皇帝の会談はかなり有効な一打となるだろう。


辺境伯と打ち合わせを終えた僕は、まさに戦場のど真ん中、無主地での面会を希望した。


だけど僕は〝二神の奇跡を持つ神子”、唯一無二だ。

今から交渉しようって時に侮られるわけにはいかない、向こうがこちらの陣営まで来い!というのが辺境伯のご意見。


かといってアードラスヘルム陣営へ呼び出すと言えば皇国は恐らく「不敬な!」と怒り散らすだろう。



「あっち側で良いよ」

「ですが神子様!」

「いいって。そのほうが奇跡的にも信用させやすいし」


因みに限られたごく一部、つまりオズヴァルトとエドにしか、粉による爆弾?爆発?のことは話していない。

辺境伯には「奇跡を実演してくる」としか告げてはいない。

ほら、奇術師みたいに思われて神子の神聖さが損なわれてもいけないからね。


「その代わりこう条件を出して」


ここは古くから指定された心置きなく戦える戦場。

だからこそ互いの陣営には拠点として司令塔、兵舎、武器庫、貯蔵庫などの建物がいくつも細かく分散して常設してある。


これらは大昔から使われている古い石造りのものだ。


襲撃に備え頑丈に作られた戦場にそぐわない立派な建物。


それを見ればどれほど長い年月争い続けているかがわかるというものだろう。


僕は会見の場を〝巨神の奇跡を見せる場”として、誰も入り込めない個室を用意するよう指定した。

その上でどんな小さな装飾品であっても一つとして置かないよう、空っぽにして用意するよう付け加えた。


「神子の身の安全を図るため、って言えば通用するでしょ?」

「確かに…、皇国が何一つ企てを隠し持てぬように、そういう事ですな」

「そう思わせる意図もあるけどむしろこちらが「何も仕込んでないよ」って証明するためね」

「なるほど…」


皇国が用意した個室で皇国によって確認された何もない室内。

そこへ僕は神事用の薄布で出向くつもりだ。もちろん手ぶらで。確認ももちろんしていただく。



「それからこれは神子の、それも巨神の奇跡をお見せする神聖な場。皇国の儀式で使う灰は好きなだけお持ち込みくださいって伝えて」

「ふむ」


これはあの後エマニエルに、さらに一年の減刑を与えて聞き出した貴重な追加情報である。


エマニエルは火花の発生源に気付いた僕に「良く出来ました」と、まるで今までの鬱憤を晴らすかのように上からほくそ笑み、「他に有益な情報はないか」と迫る僕に再度減刑交渉を持ちかけたのだ。ホント抜かりない…


それで分かったのはどんな粉でもいいわけではない、ということと〝舞っている”のが重要ということ。


舞う…


だからっていきなり粉をまき散らしたら不審者以外の何者でもない。

そこで目くらましに選んだのが灰だ。


〝灰”

これは古来より〝死と再生”の象徴と言われている。


アードラスヘルムには本物にして生きた〝再生”の象徴が居るので関係無いが、近隣諸国において灰は厄除けとか浄化の場面でつかわれることが多い。


特に皇国。

無事帰還を果たしてる諜報員が言うには、皇国内において灰とは土を意味し、地下世界を統べる巨神を崇めるため、大切な場では必ず灰を四隅に盛るという。


なのでこの「灰」にかこつけ、僕は当日現場で《《ごく自然に灰に見せかけた小麦の粉が空中を舞う》》状況をつくるつもりだ。


え?どこから小麦の粉が出てくるのかって?

ナイショ!


神子と自国の皇帝が入室する室内。

そこで何の変哲もない、それも自分たちが用意したただの白い灰が舞ったところで、よもやそれが爆発物になるとは誰も思わないだろう。



さて、ここからが今回の肝。僕は靴裏に鉄の板を仕込む予定だ。

何故なら戦場の建物は石造りだから。


石と鉄。これは僕の三種の神器の一つ、そう、〝火打石”の仕組みである。


幸い皇国は火山の国。


資源に限りのある皇国では、神の恵みとして建築資材にもよく火山岩が使われる。

その一つがサヌカイト。火打石にも使われる硬い石だ。

特に床材はほとんどこの石が使用されているという。(あ、これも諜報員情報ね)


尚、この計画を立ててから僕はすでに何度も足で火花を起こす実験を済ませているよ。



「最後ね。入室者は皇帝とお付きが二名まで。こちらは僕一人で行く」

「ウーリ!」


ちょっとでも危険そうだとすぐ反応するのがオズヴァルトの欠点でもあり可愛いところでもある。


「オジー。皇帝は話し合いがしたいんじゃなくて僕が本当に巨神の力を持つか品定めに来るんだよ。警戒されたくないし疑惑も抱かせたくない。それに…」

「…わかっている。自己再生だな」


コクリ「…」


室内で爆発を起こせば無傷ってわけにはいかないだろう。


僕には自己再生があるから何も問題ない。けどオズヴァルトはそうじゃない。

仮に手を繋いでいたとして…皇帝の目で昏倒するわけにはいかない。


「お付きをつけるのは盾代わりね。さすがに皇帝をすごく危険な目には合わせられないから」


「すごく…多少は危険であると?」

「まあね。でも見たいって言ったのは向こうなんだからしょうがないじゃん?」


まあ…盾は少々危険な目にあうだろうけど、それこそ〝再生の神子”がついてるし。


「僕がムカツイてないとでも?何が奇跡を見せろだ。偉そうに…」



神の奇跡は安くないんだよ!







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