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アニミ物語  作者: カボバ
入学編
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「おはよう。今の気分は?」


目を開けた時、知らない部屋知らないベッドで寝ていた。



「…お腹が空きました。」


顔を少し右に向けると知らない大人が居た。


先ほどの質問をしたのはたぶんその人だろう。



「それなら正常ね。」


反対側からも声がした。


首を動かしそちらを見ると同じ顔をした大人がいる。




(双子というより、兄弟かな?)


一瞬見ただけでは同じ顔と思ってしまったが、よく見れば少しずつ違う。


そんなことがわかる程度には冷静だった。




起きあがろうとすると両側からサポートされて起き上がることができた。



「今動いてみて痛いところはない?」


そう聞かれて最初に頬に手を当てて確認した。


触ればピリッと痛みを感じたが、手当てをされているようだった。



「大丈夫です。」


さわれば確かに痛かったが、今特段痛みを感じるところはない。




「それじゃあ、教室に戻ったほうがいいわ。」


「クラスの子達と先生が待ってるはずよ。」


「明日の朝また様子を見せにきてね。」


ベッドから立ち上がり靴を履き、服装を整えている間に交互に喋りる。



「ありがとうございました。」


2人に向き直り頭を下げた。


ほんの少し身長の差がある事以外にパッと見てわかる違いはその肩に1羽ずつ乗せている鳥の色が白か青かだった。





建物を出ると目の前が12号館。


1211室から反対側の壁にそうようにくっついている1階建の建物が今出てきたところのようだ。



正面玄関まで行きどこを目指すべきかと思ったが、クラスの子と先生が待っているという言葉を思い出して月曜日にクラスミーティングをしている1223室を目指す。



中から声が聞こえるため間違えないだろう。


扉の前で一度立ち止まり短めの深呼吸をしてから扉を開ける。


話し声が止まり、部屋の中にいた全員の視線がこちらへと向く。



「ミリア!!」


最初にそう大きな声を上げたのはミチカだった。


全員がいつもクラスミーティングの時に座っている席に座っているが、1ついつもと違うところを挙げるとすれば1番奥の1番後ろの席にリンカがフードを被った状態で座っている。



ミチカは立ち上がりこちらへ来ようとするが、ノオギがそれを手を向け制する。




部屋の中は緊張で張り詰めた空気が流れていたが、このまま部屋の入り口に立っていても変わることはないだろうと判断し中に入り扉を閉める。



「おおよそ何があったか、あなたたちが何をしていたかは聞きました。それを踏まえてあなたには決定をしてもらわなければいけません。」


何があったかというのは物がなくなる事などで、何をしていたというのは自分たちで犯人探しをしようとしていたというところだろう。




「あなたの怪我の責任、それを誰が負うかということです。本来は皆さんに聞き取りをしたのちしかるべき罰則をかすのですが、被害者側にトランプが居る場合その権利はトランプに一任されます。」


つまり今回怪我をしたことで事態が大事になったため、犯人を差し出せ。それがトランプの役割であるということだった。




(姉さんが言ってた誰かを罰する日、意外と早く来たなぁ。)


「ノオギ先生、何か勘違いしていませんか?」


ここまできたらやることはひとつと覚悟を決めノオギに返答すれば、ノオギだけでなくその場にいた全員が驚いた顔をした。





「確かに先生に黙って犯人探しをしようとしました。このままいけば危ないことはしなくても人として褒められないことをしていたかもしれません。」


実際ユウガは教職員室に忍び込み資料を盗み見て複製した。


しかしその証拠はなく今の状況ではそのことを自白したかわからないため口にはしていない。




「でもまだ誰もそんなことはしていませんよね?」


「…そうだな。」


今のノオギの返答で犯人探しについてはとりあえず片付いた。




「それからこの怪我ですが、誰かが責任を取らなければというならそれは私でしょう。」


その言葉にリンカが立ち上がる。


しかしなんと言っていいかわからないのか短い言葉をほとんど聞こえない音量で途切れ途切れに発している。


そんなリンカに落ち着くように笑顔を向け、すぐにまたノオギの方を向いた。




「私がたまたま会った女子生徒、リンカのティーに興味を持って声をかけた。そのことにびっくりしたリンカとそれを察したティーがとっさにこちらに向かってきた。私の対応が悪くて、結果怪我をした。ただそれだけです。」


あの時の状況を簡単に言う。


いくつかの事実と考えは伏せたがそのことに対して違和感はないはずだ。




「もしこのことで私を怪我させたとリンカをせめるなら、その怪我をさせる行動をさせた私自身が悪いんです。」


「つまり自分自身が悪いと。」


「そうです。犬猫だって突然触ろうとしたら噛んだり引っ掻いたりしますよね?私はクラスのみんなと触れ合ううちにそのあたりの危険に対する危機管理がおろそかになっていたみたいです。ちゃんと距離をとって、リンカとちゃんと会話していたら今回のような怪我はしなかったと思います。」


そこまで言い切ると部屋の中に沈黙が流れた。




「誰か他に意見のある人は居ませんか?」


一度みんなの方を向きノオギがそう問いかける。



顔を動かしお互いに目線を合わせるが、誰も言葉を発しない。





「それでは今回の怪我はミリアの不注意で負った怪我であり、私が厳重注意をし態度改善を求めると言うことで終わりでいいですね。」


その言葉にうなずく。



「わかりました。それから今回このようなことが起こった原因と背景についてプレパートリーの学長からこのクラスに限り話す許可が出たので、急ですが明日10時半から緊急のクラスミーティングを行います。」




 


この章ももうすぐ終わりですね…

活動報告の方でもいいので感想やコメントなどお待ちしております。(2024.10.15)

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