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アニミ物語  作者: カボバ
入学編
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68








集合場所はこの教室、各自遅れないように。


そう言い本日は解散と言ってノオギは部屋を出た。




ノオギが部屋を出た後扉を閉めなかったと思ったら、開きっぱなしの扉の向こうからタモンが声をかけてきた。



「ミリア、話をいいか。」


その声から伝わってくるのは、いつも通りのクラブへ行くためのお迎えとは訳が違うようだ。



「コウヤもおいで。」


そう言ったのはタモンの後ろから出てきたオベロだった。




「わかりました。」


なんの躊躇もなくコウヤが答え席を立つ。


どうやら関係改善はうまく行っているようだ。



「まぁ、解決策としては悪くなかったと思うよ。」


専用車両に4人で乗り、動き出してしばらくしてからオベロが言った。





「怪我した本人が自分の不注意ですって言ったら、先生的にはそれ以上の追求できないだろうしね。」


「追求しなかったがこの場合は正解でしょう。」


タモンが指摘する。


手当てされているのは頬だけではない。



どんな状態になっているかわからないが、首にも包帯が巻かれている。



さすがにこれは自分でやりましたというには無理がある。




「今回はそれで収まったからいいの。でも、収まらなかった場合も知ってて欲しくてね…。」


いつもよりも随分早く車両が傾き、大きな建物の前で停まった。


大きな建物は何かの施設のようだが外見からはわからない。



中に入りオベロが何か受付をしている間に微かな匂いを感じた。



「ここは病院ですか?」


「そうだな。機能的には病院だ。」


タモンがそう答えた直後にオベロが戻ってきて、そのまま建物の奥に向かった。





「ティーって言うのはさ、いつも身近に居て人のほんの少しの変化にも敏感に反応する。姿形は違ってもみんなそういうものなんだよ。」


歩きながらオベロが話し始めた。




「でも何かのきっかけで人の悪意がティーに向いた時、目に見えない信頼関係はあっという間に崩れる。お互いの声が聞こえなくなるほど心の中が真っ黒になって、やがてその身を醜く変える。」


窓のない廊下を進み1つの扉の前に立ったオベロがゆっくりと扉を開ける。





「そうなってしまった状態を大人たちは『ティーが歪む』っていう。」


何もない部屋。


入った瞬間、壁と床以外に目に入るものがない部屋。


右手側に大きなガラス窓があって、そこにポツンと太い木の枝が立てかけられていた。




「あぁ、また羽を毟ってたのかい?ダメだよ。」


立てかけられた木にとまり、それでもまだなおその身をできる限りガラスにくっつけている1羽の鳥にオベロが話しかける。


見れば木の周辺にはたくさんの羽が散っている。




「…兄さんのティー。」


コウヤが口から息を漏らすような音量でそう言った。


その顔は信じられないものを見たような驚きの顔をしていた。




そこにいたタカのティーは痩せ細り、ところどころ見える地肌には血のにじむ箇所も見られた。



「コウヤを傷つけた日から今日まで、まだなんとか鳥の姿を維持できてる。」


ガラスの向こうにはもう1つ部屋。


ベッドだけが置かれたその部屋には男子生徒が1人虚空を見ながら座っている。





「ティーが歪むと言うのは大きく2つに分けられる。ミリアたちのクラスメイトは先天性、つまり受け取った瞬間から何かしらの異常があって歪んでいた。」


ぼろぼろのタカを気づかうオベロにかわってタモンが話出す。




「先天性の場合は精神面の改善や環境の変化で歪みが整う場合もあれば、多くの場合は折り合いが付くことが多い。少し不恰好でも折り合いをつけることができる。」



確かにリンカはティーが言うことを聞いてくれないとは言っていたが、いざという時はリンカの言葉に反応する素振りを見せていた。




「でも後天性、ティーとの信頼関係を築いた後に何かしらかのきっかけでティーが歪んだ場合はそうはいかない。」


人同士でも複雑になり解決の難しい事を、一生を共にするはずの相手とやることになる。



「最悪の場合、ティーが預かり主を殺めて帰ってしまうこともありうる。」


「兄さんのティーは兄さんを襲ったんですか?」


コウヤが尋ねる。




「あくまでその可能性があったから、離れてもギリギリ大丈夫な距離で隔離しているんだよ。」


質問に答えたのはオベロだった。



「この状況、2人はどう見える?」


「…ティーはまだ主の方向を向いている。」


でも、と言いかけて言葉を詰まらせる。



「兄さんはもう…。」


そう言いかけたコウヤの口をオベロの手が塞いだ。




「これが、僕たちが収められなかった結果だ。」


「こうなる前になんとかするべきだった。正直めったに起こる事ではないけど、絶対にないとは言い切れない。」



「明日か明後日にはご両親が来る。でも、こうなってしまったらもう家に帰してあげることもできない。」



いつ何が起こってもおかしくない今の状況では、静養という名の監視をしておくことが唯一できることでそれ以外にできることがなかった。





「当事者のコウヤと巻き込んだミリアには伝えておきたかった。」


オベロはタカのティーをひと撫でしてから深呼吸する。



「10月1日、飛行士を除籍。同人は吸血鬼に移籍し治療に専念する。」








「クラブの名前は吸血鬼に噛まれた人物が吸血鬼になってしまうと言うことから来ている。」





 

この章ももうすぐ終わりですね…

活動報告の方でもいいので感想やコメントなどお待ちしております。(2024.10.15)

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