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アニミ物語  作者: カボバ
入学編
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69







翌日、緊急のクラスミーティング。


みんな時間よりだいぶ早い時間に部屋に来ていた。



挨拶以外ほとんど無言の時間がしばらく続いたが、その静寂を破ったのはリンカが盛大に筆箱をひっくり返した時だった。




静かな空気に突然の大きな音、拾おうにも慌てふためくリンカに最初に吹き出したのはユウガだった。



「ごめん、珍しくみんな深刻な顔してるのに笑ったらいけないと思ってたけど耐えられなかった。」


そう言ったユウガにつられてみんなで笑った。




とにかくまだ時間があると言うことで1度1212室に行きいつものようにみんなで火のついていない暖炉の前で円形に座った。


まずは自己紹介ということで順番に名前とティーを紹介した。


リンカがティーを懐から取り出した時には流石にみんな驚いた顔をしていた。



しかし意外にもミチカやテルマのティーがリンカのティーに興味を示し、座った輪の中央で2匹と1本の腕が遊び出した。



それを見てまたみんなで笑った。





そうして約束の時間が迫り再び1223室に行くとすでにノオギが来ていた。


それぞれが座り慣れた席に、リンカは昨日と同じく1番奥の席に座ってからノオギが話し始めた。



「吸血鬼にされてしまい自分である時間がだんだんと減っていく、薄れゆく自我の狭間に見えた一筋の光を逃すまいと手を伸ばす。意識はなくとも苦しく辛い時間を飽きるほど過ごした後、やっとの思いで太陽の下に出ることができた。」


ノオギは淡々と暗唱していく。



「これが遠い昔に私たちの先輩が残してくれた吸血鬼に関する文章の抜粋です。もっとわかりやすく言うと、何かしらかの原因でティーや人が傷ついてしまった場合の治療場所です。」



続いてノオギはティーが歪むということについても説明した。


少し難しくはあったが、昨日聞いた話と違いはない。




「リンカさん、いいかしら?」


タイミングを見計らったかのようにやってきたのは、昨日治療してくれた2人の先生のうちの1人だった。


リンカが退室する。






「ここからはリンカ本人の話をしなければならないのですが、本人には思い出すのも酷な内容なので外してもらいました。」



やはり事前にノオギが連れ出すように頼んでいたようだ。





リンカの生まれは11。


少し裕福で少しすれ違いの多い両親のもとに生まれた。


彼女の栗色の髪と碧色の目は両親どちらのものとも似つかず、両親どちらかの遺伝子が突然顔を出したかとも考えられたが両親の親族とは何かしらかの事情によって交流がなく確認しようもない。



すれ違いの多い両親にとって起爆剤になるには十分だった。




「リンカの記憶の中では両親の顔を一度も見たことがない。」


家の1番奥にある部屋に閉じ込められて最低限の食事と少ない世話を受けながら育った。


情をかける使用人はすぐに辞めさせられ次の人員がやってくる。



それすらもやがて代えがきかなくなると、誰かのティーが操る布人形が行っていた。




痛いと声を上げても泣き喚いても反応を返さない人形にリンカは段々と感情を表に出すことがなくなり、日々をただ日の当たる窓際で無気力に過ごしていた。



「だから彼女は読み書きもできなければ、会話も簡単なものしか成立しない。」


まだ使用人がお世話をしてくれていた頃に挨拶や要望を伝える言葉を学んだが、それ以上は与えられなかった。



それでも学園に来てからの数週間でだいぶ会話ができるようになったとノオギは言う。





11歳になればティーを預かるために街の決まった場所に子供たちは集められる。


しかしそれまで蔑ろにしていた両親がリンカを連れ出すはずもなく、リンカにとって変わらぬその日は過ぎていった。



「11歳の子供が理由もなくティーを預かりに来ない場合、兵士を率いて直接家まで尋ねる決まりになっている。」


それはどんな事情があれど大事な日に子供を連れてこなかった、いわゆる虐待を強く疑っての措置だ。



しかし、訪ねた家には惨たらしく殺された両親の死体があった。




昨日や今日の話ではなく、夏が来る前には確実に殺されていたと結論付けられるほどその現場は悲惨な状態だった。



「それって6月頃にあった連続夫婦殺害事件ですか?」


ノオギの話に割って入ったのはユウガだった。



「その事件との関連性が高いと言われている。」


その事件とは壁の中で同じ日に別々の場所で夫婦が自宅で殺害されたというものだった。




ある夫婦は物盗りに襲われたように部屋の中を荒らされ刺殺。


ある夫婦は家の出入り口を厳重に封鎖された状態での放火。


またある夫婦は眠るように1つのベッドの上で毒物を飲んだ状態で発見された。



そのほかにも関連があるのではないかと言われている事件があるのだが、全ての夫婦に共通するのは子供が行方不明だということだった。


上は15歳、下は4歳まで死んだ夫婦の子供たちは誰1人として両親と一緒の場所に居なかった。




「もしこの事件に関係があるのだとしたら、リンカは唯一の生き残りになる。」


犯人が見落としたのか、それとも意図的に残したのか。



「それを踏まえて、みんなはどうしたい?」


1通り話し終えたノオギがみんなに問う。



「そのどうしたいはどこまで叶えられる希望ですか?」


「理由があって可能なことなら叶えよう。」


しばらく話し合う時間が欲しいと言うと30分後に戻ってくると言いノオギは退室した。




「みんなはどうしたい?」


静まり返った部屋の中でひと声あげれば変に響いたように感じた。


各々が言いたい事を言い、意見をまとめる。




その拙い意見にノオギがいくつか条件を付けて即日試行されることになった。



 

この章ももうすぐ終わりですね…

活動報告の方でもいいので感想やコメントなどお待ちしております。(2024.10.15)

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