【BOX_11】死線上の激闘
フロア1。
東南地方をひた走るトレーラー。
万丈はガレージ内の窓からのんびり空を見つめる。
「バン、何をしている」
「あぁ、おっちゃんか。いや、兄貴と友人がさ、今何してんのかなぁって」
万丈の表情は戦っている時とは違い、どこか物悲しげな雰囲気を漂わせていた。
「最初の地点で別れたと言っていたな」
「あぁ、おっちゃんにこっちに飛ばされるまでは一緒にいたんだ。兄貴強いし、大丈夫だとは思うけど。まぁ、カズキはわかんねぇな…無事でいてくれ」
「兄の順位はいくつだったんだ?」
「なんだよ藪から棒に。そうだな、ギリギリ100位以内に入ってたんじゃないか」
「…お前とは随分順位が離れているな。それで強いと言えるのか?」
「何言ってんだよ!!兄貴は社会人だからさ、プレイできる時間が限られてたんだ。強さで言えば俺より強い、それは間違いない。頭も切れる。俺と兄貴が同じ条件だったら確実に兄貴が勝ってるよ。それに、」
万丈は再び空を見る。
「ここ一番の集中力は半端ねぇんだ。超反応って思うくらい。それで俺も何回も助けられたんだ。きっと今頃、誰かを助けてんじゃないかな」
「信頼しているんだな」
「自慢の兄貴だからな!」
万丈はそう言って快活に笑った。
◇
フロア3。
死の境界線。
クラッシャー襲撃まで残り5分を切っていた。
12時間、その間、大和は竜崎の乗るアーム爆弾のそばで監視を続けた。
エネルギー値は80%、省エネルギーに切り替えたとはいえジリジリと減らされつつある。
敵側ブラントから妨害がなかったのが不幸中の幸いだ。
「…おい、まだいるのか?」
「いる。どうした、不安になったのか?」
「んなわけあるか!…お前は本当に頭がおかしいと思ってな」
「…まぁな、違いない」
少しの間の沈黙。
「…本当に俺を助けられると思っているのか?」
「あぁ、必ず助ける」
「……その自信はどこから出る?」
「自信ではない。これは俺の決意だ。過去を繰り返さないための」
「それは前も言っていたな、どういうことなんだ」
「……僕の過去が気になるのか?」
「茶化すな、聞かせろ」
ひとつ間をおいて、大和は喋り出す。
「僕は高校の時に親を交通事故で失ったんだ。目の前で。その日は、父親が母親を車で迎えに行った後に、自分も乗せてもらえることになっていた。そして、俺を迎えに来た車が見えた時…両親を乗せた車は横から来たトレーラーと衝突した。車は燃えさかる車の中にいる両親を助けることも出来ず、俺は助けを呼ぶことしかできなかった…己の無力さを痛感した。今でもあの光景は夢に出る、忘れられない……。だから俺は、もう目の前で誰かが死ぬのは見たくないんだ…」
「………」
「これは僕自身のためなんだ。僕が生きるために、これは避けて通れない」
大和はコンソールに手やり、ブラントのモードを通常に戻す。
「さぁ、時間だ……」
キュィィィイイイン。
ブラントの起動音が、けたたましく鳴り始める。
水平線の向こうから、徐々にクラッシャーの軍団が姿を現す。
「万丈との約束もある、俺はここで終わるわけにはいかない……」
大和は心の叫びと共に、
ブラントに戦闘態勢を取らせた。
◇
フロア3。
川近くに留まり様子を伺っているヒョロ、桂子、の2人。
アイデスには大和と竜崎の監視をしてもらっていた。
源五郎は交代で仮眠をとっている。
「これって、絶対おかしいっすよね…。なんで兄貴と竜崎がずっと同じところで固まってるんすか」
「わからない…。でも、こうしてから12時間が経ってる。周りの敵の反応はもうなくなってるのに」
「ヤバいっすよ!この位置はクラッシャーと真正面からぶつかり合うところじゃないっすか!!」
「ええ、もしかしたら大和さんも、竜崎さんもそこから動けない理由があるのかもしれない…」
桂子は慌てて支度を始める。
「どこ行くんすか!俺らが行っても足手纏いになるだけっすよ!!」
「でも!!このままだとクラッシャーが襲ってくる。囮にくらいなら…」
「ダメっす!!ダメっすよ…それは兄貴が悲しむっす、なんも意味はないっす。考える、考えるんすよ。兄貴も助かって、俺らも助かる方法を…」
ヒョロは様々な方法を考える。
しかし、そんな都合の良い方法が簡単に見つかるはずもない。
なにか、なにか方法はないのか…。
考えに考えた末、ヒョロはあるひとつの方法にたどり着いたのだった。
「桂子ちゃん、爺さんを起こしてくれっす。それとひとつ、頼みがあるっす…」
◇
フロア3。
死の境界線。
クラッシャーの襲撃が再び始まった。
予想通り、敵の数は歩兵150、騎兵50の編成で列を成してやってくる。
大和はイマジネーションドライブの【ウィークコンセントレート】【バックウォッチ】を起動させる。
それぞれ弱点を瞬時に割り出す機能と、360度視点で攻撃が可能になる機能だ。
これで死角はなくなる。
あとはエネルギーが尽きる前に無駄弾を減らしながら勝負を決めるしかない。
射程内に入ったクラッシャーに向けて
右手に持ったマシンガンを撃つ。
ダダダダダダダ!!!
弾は横並行に斉射され、歩兵のコアを次々に潰して行く。
大和の装備しているマシンガンはブラントの初期装備のものではない。
速射性と弾数を上げた特注のものだ。
大和の労力と資金の賜物である。
クラッシャーの列を注視しながら、
後方から迫ってくるブラントにはそのままの体勢からマシンガンを後ろにやり敵に当てる。
バックウォッチのおかげで反転する必要はない。
射程内にいれば正確な位置がわかる。
大和の乗るブラントは最小限の運動で爆弾の周りに近付く敵を排除していく。
「あ、あいつ…背中向けながらこっちを的確に狙ってやがる…!!」
「どうなってんだよ!!?背中に目でもついてんのかよ!!」
クラッシャーに近付きたいジョナサンの部隊だが、射程内に入った途端撃たれるため迂闊に近付くことができない。大和の反応速度が敵を圧倒していた。
「嘘だろ…同じブラントじゃねぇのかよ!!」
1、2機と敵ブラントの肩を立て続けに壊していく。
ジョナサンは事態を把握すると、部隊のメンバー15人に通信を流した。
「部隊に告げる!赤いブラントから距離をとり、回り込む形でクラッシャーを撃破しろ!!赤いブラントは無視していい!!カジマとキタムラは俺に付いて来い!あいつを黙らせる!!」
「はい!!」
「わかりました!!」
少年の元気な声が2人分響き、ノーマルのブラント2機がジョナサンの後に付いていく。
「このタイミングで1機だけ出てくるとはどういうことだ…。気でも狂ったのか」
ジョナサンは大和の目的がわからず、疑心暗鬼に陥っていた。
これは何かの罠なのか?
その思考が彼の決断を少し鈍らせていた。
実際、竜崎を乗せたアーム爆弾のことをジョナサン達は知らなかった。
その首謀者である無場という男はジョナサン達から離反を目論んでいる男であり、
ジョナサン達を巻き添えにして葬り去るためにアーム爆弾をつくり出していたのだった。
ジョナサン含め16人中、離反を目論む輩は8人と半分を数えていた。
これも、ジョナサンのワンマンぶりに嫌気がさした同年代の反発からくるものであった。
大和はジョナサンの部隊、それに離反する部隊に加えてクラッシャーの相手をしなければいけなかった。
全神経を、アーム爆弾とその周囲に集中する。
まるで鳥が空から下を眺めるように、大和の意識も空の上にあった。
全ての位置を把握し、最適な行動を己に課す。
「こちらJ02(ジェイオーツー)、両腕やられました!!」
「同じくJ03(ジェイオースリー)、やられました!!」
大和のブラントに狙いを定める間もなく、機能を停止させられていく敵のアーム達。
「クラッシャー残り160、ジョナサンの方は……残り12か」
大和はエネルギー、残弾に気を配りながら最適な手を選択し、敵を排除していく。
守る物は1つしかない、それは大和にとって好都合だった。
普段ならもっと多くの仲間に気を配り援護をしなければならない。
それに比べたら、1人を守るというのはとてもシンプルなものだった。
自分と相手が最後まで残っていればいい。
そこにジョナサンが、ブラント2機を引き連れてやってくる。
大和は3機に向けてマシンガンを斉射。
2機には軽く被弾したものの、ジョナサンには簡単に避けられてしまった。
「それ以上近寄るな!!近付けば撃つ!!」
「急にスコア稼ぎか!!本性を現したようだな!!」
「近寄るなと言っている!!離れてクラッシャーと戦う分には何もしない!!」
互いに一歩も譲らない、激しく言葉の応酬。
「そんな嘘が通用するか!!なんだその隣にあるアームは!!何を企んでいる!!?」
「これは爆弾だ。あんたの仲間が人を中に入れて爆弾をつくったんだよ!!これに衝撃を与えれば、この辺一帯は爆発に巻き込まれる!!時間を稼いでエネルギー切れになるのを待つしかないんだ!!」
「言うに事欠いて、今度は仲間の侮辱か…。そんな非道なことをする奴は俺の部隊にはいない!!嘘を流して俺達のスコアを上げさせないための作戦だろうがそうは行くか!!お前諸共消し飛ばしてくれる!!」
ジョナサンの機体から放たれるビームガン。
その矛先は竜崎の乗ったアーム爆弾…。
「くっそぉぉぉぉ!!」
大和は叫びながら爆弾の前に飛び出し、左腕を犠牲にビームの威力を弱める。
ボォォォォン!!
赤いブラントの左腕から肩までが熱で溶け、音を立てて弾け飛ぶ。
「ぐっ……」
焼け焦げた臭いと激しい振動が大和を襲った。
意識が飛ばないように必死にこらえ、周囲に目をこらす。
目がチカチカし、頭もクラクラしている。
だが、それが治るまでの時間は与えられない。
「そのだるまがそんなに大事か!!なら好都合だ!!一緒に仲良く死んでいけ!!」
「させないと言っている!!」
続けざまに放たれたジョナサンのビームを、もう片方の腕を犠牲にすることで回避する。
両腕をもがれた赤いブラントは、満身創痍なその身をジョナサンの前にさらす。
「無様な格好だな!!そこまで頑なに守ろうとするか!!」
「おい!!外はどうなってる!?何が起きてるんだ!!」
竜崎の叫び声が聞こえる。だが、大和には答えている余裕などない。
「まだそれを庇い続けるか?次はどこだ!頭か、それとも腹で庇うのか?」
「何を言っている?ジョナサンは何を言っているんだ!!おい、神名!!答えろ!!」
大和は額から流れる血を拭い、エネルギー残量に目をやる。
残量は44%、残弾もまだあるが、腕がない。
あとはタックルぐらいしか残されていないが……。
クラッシャーの方はジョナサンの部隊が戦っている今、そこまでの驚異ではない。
むしろ、この目の前にいる敵をどうにかしなければ竜崎は助からない。
話し合いを聞き入れてくれる様子でもなさそうだ。
「こいつを爆破するとお前も吹き飛ぶぞ」
「くどいと言っている。どうしてそうまでして時間稼ぎをしようとする」
「聞く耳を持たないか…」
大和は最後のイマジネーションドライブに手を伸ばす。
今やれる手段はこれしかない。
【オーバーブースト《限界起動》】
モニターに映し出されるCAUTIONの文字と、残り稼働時間を表す3分40秒という数字。
大和はジョナサンが銃を構え直すより早く機体を滑らせ、速度を増したタックルを喰らわせる。
「ぐおぉぉっ!!」
直撃を喰らい、横に吹き飛ぶジョナサンの黒い機体。
「隊長!!?よくも!!」
ノーマルブラント2機はマシンガンを大和に向けて撃つ。
ダダダダダダダ!!
「クソッ………」
機動力を上げたブラントで避けようとするが全て避けることは出来ず、いくつか被弾してしまう。
2体の護衛ブラントに阻まれ、ジョナサンの機体を完全に停止させることが出来ない。
【限界起動】のスイッチを切るが、残り残量は10%を切っていた。
それを静観する奴らが3人、アーム爆弾から距離をとりバズーカで狙いを定めている。
「今ならどちらも巻き添えにできます」
「よし!これで俺達がトップだ!!くたばれダブルスコアラー!!」
無場の合図とともに、バズーカから砲弾が飛び出していく。
砲弾は一直線にアーム爆弾に向かって飛んでいく。
「やった!!直撃コースだ!!」
当たるのを確信する無場。
それにようやく気が付いた大和が動き出すが距離が追い付かない。
ボガァァァアアアン!!!
激しい爆炎とともに、アームの破片が飛び散る。
「よしっ!!やったか!!」
歓声を上げる無場。
「全員やったか?」
「無場さん、ちょっと待ってください!!あれ!!」
モニターで周辺を拡大する。
立ち込める煙でよく見えないが、
地面に飛び散っているアームの破片はグレーではなくどれもピンク色だった。
煙の中から現れたのは、両腕でガードをしたシルトクレーテだった。
◇
ピンク色のシルトクレーテが、両腕でバズーカによる砲撃を阻止していた。
手は吹き飛び、腕の外装は完全に削がれてしまっている。
ガシャン!!
シルトクレーテはそのまま膝から落ち、ヘッドのアイパーツから光が消えていく。
ピンク色のシルトクレーテに乗っているのは“桂子”だ。
「桂子君!!」
大和は桂子の名前を叫びながらシルトクレーテに近付く。
バズーカのダメージで煙を上げている機体。
「桂子君!!無事か!!?」
「…大和さん、良かった…無事で…」
壊れた外部スピーカーから、彼女の声が聞こえる。
意識があることにホッとする大和。
「そこから脱出できるか?」
「大丈夫です…タイミングを見て脱出します。ごめんなさい、この機体はしばらくはダメそうです…」
「謝ることはない…無事で良かった……」
「大和さん…早くヒョロくんのところへ…」
桂子が言葉を発したと同時に、ヒョロの機体が大和の機体の隣に取り付ける。
「……ったく、人の心配してる場合じゃないっすよ………桂子ちゃんいなかったらどうするつもりだったんすか」
「…すまない、君達を危険な目に遭わせてしまって…」
「そういうことじゃないっすよ…!!ひとりでいくのは……ぐすっ……ナシっすよ!!そりゃ……俺ら足手まといかもしんないっすけど!!!」
ヒョロの言葉に、少しずつ鼻をすする声が混ざり始める。
「あにぎがいなきゃ、ダメだって、言ったじゃないっすか…ぐずっ…だいじょうぶじゃないんすよ、俺ら…あにぎが必要なんす……うぅっ…」
ヒョロは機体を動かすと、赤いブラントの機体を手で掴む。
すると、ブラントのモニターに異変が起きる。
エネルギーを示す値が10%、11%、12%……
……1%ずつ増えていく。
「……これは…………」
イマジネーションドライブ【無線エネルギー補給】。
桂子が保有しているドライブだ。
ドライブは保有者が許可すれば、他者に譲渡、または回数限定の複製をする事が出来る。
だが、ヒョロの機体には1枠しかドライブを入れられない。
桂子のドライブを使えるようにするには、元のドライブを“削除するしか”方法はない。
「ヒョロ……お前のロケットパンチは……」
大和は、導き出された結論がひとつしかないことに動揺する。
「だって……お前の魂だって言ってたろ……あれは……」
ヒョロは、鼻水まじりの声で、叫ぶ。
「魂だったっすよ…!!俺の!!…でも!!それで兄貴が助けられないんなら、捨てますよ!!そんなの!!!」
心の叫びが、魂の叫びが、大和の心に深く突き刺さる。
「俺、兄貴に助けられて本当救われたと思ったんす……この世界に来て、最悪だと思ったけど、でもたった数週間で、憧れる人に会えた…。こっから先、この人の近くで!この人の活躍を見てみたいと思える人に!出会えたんす!!だから、託します……俺の拳を、魂を!!だから、こんな奴らに、卑怯な奴らに負けないでくださいよ!!」
Enough Gauge 100%
機械音が告げる。
大和のブラントのエネルギーが100%になったのを。
「腕なしじゃ、ロクに戦えないっすよ」
ヒョロはコンソールを開き、譲渡ボタンを選択する。
【Right arm】【Left arm】
自分の乗っているブラントの腕を、大和に譲渡するボタン。
「受け取ってくださいっす、俺の拳を…」
「ありがとう……宇宙太」
大和は涙ながらに譲渡承諾のボタンを押す。
右腕、左腕と初期型通常装備のグレーの腕が赤いブラントに取り付けられていく。
「お前の魂の拳、確かに受け取った……」
「俺の名前、ちゃんと覚えてたんすね…」
ヒョロは眼鏡を取り、涙と鼻水でグシャグシャになった顔をシャツで拭き取る。
「下がっててくれ、終わらせる」
大和は目尻に溜まった涙を弾き飛ばすと、操縦桿を握り直した。
「ジョナサン、下がれ。警告は一度だ。まだやるのなら、機体の保障はしない」
「なんだと!ノーマルパーツを付け替えたくらいで何を調子に!!お前は邪魔だ、ここで潰す」
ジョナサンは大和のブラントと向き合うように距離をとる。
「お前ら下がってろ、ここは俺ひとりで片を付ける」
「しかし……」
「下がってろ!!やられてぇのか!!」
「は、はいっ!!」
ジョナサンの怒気にたじろぐ少年2人。
後方にブラントを下がらせる。
ヒョロもブラントから下り、怪我をしている桂子をシルトクレーテから下ろして
源五郎が乗っているブラントの近くまで肩を担いでいく。
「勝負はどうする?」
「僕はこれで十分だ」
両脚側面から取り出したエッジダガーを構える。
そしてイマジネーションドライブのコンソールに手を伸ばし、3つ全て起動させる。
激しい唸りを上げる大和の赤とグレーのブラント。
「…舐めてんのか?」
「本気だ……」
「あぁそうか……なら死ねや!!」
言い終わる寸前にジョナサンはビームガンを放った。
大和はそれをかわし、一気に懐へと入り込む。
「さっきより速い、だとぉ!!?」
「もう遠慮はしない」
ザシュンッ!!
機体の右腕をエッジダガーで吹き飛ばす。
宙を舞うビームガンと右腕。
「クッソォォォオ!!」
背中からもう一丁のビームガンを取り出したジョナサンは、
今度は大和ではなくヒョロ達に向けて撃とうとする。
「そういうことだけはしない奴だと思っていたが……」
大和は既に右腕のエッジダガーを投げた後だった。
ジョナサンが取り出したビームガンにエッジダガーが突き刺さり、
爆発音とともにビームガンがオシャカになる。
「なんだとぉぉ!!」
「1対1の戦いも放棄した…お前は最悪だ。これは俺とヒョロの魂のワンパンチだ……」
大和は右腕を取り外すと、ジョナサン目掛けて大きく振りかぶる。
「お前、な、なにをする気だ……やめ、やめろぉぉぉ!!!」
「これが俺の魂のロケットパンチだぁぁぁあ!!」
限界起動の動きから放たれた右腕は機体のガードをものともせず、胸部へクリーンヒットする。
「ぐぅぉぉお……」
呻き声をあげ、完全に機能を停止するジョナサンの機体。
「連れて帰れ」
「ひぃぃ……」
大和の指示に、脅えながらジョナサンの機体を運んで退散する少年2人。
「さて、あとはクラッシャーと、桂子君を撃った奴らだが…」
大和は辺りを見渡すが、そこにはもう他の機体の姿は見えなかった。
「逃げられたか……」
「おーい!!!」
こちらに向かって手を振るヒョロと桂子に気付き、視線を向ける。
「随分荒っぽいロケットパンチっすね!」
グシャグシャの顔を更にグシャグシャにしながら大笑いするヒョロ。
「だろ?」
大和はそれを見て、満面のみ笑顔を返した。




