表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fu◯k up my tongue, or just kill me."  作者: 虹の箸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/35

噛ませ犬

Z-DOG凱旋ライブ当日。『ROOTS』は、今まで時雨が経験したことのない異常な熱気に包まれていた。

フロアは満員御礼。誰も無名の高校生になんて期待していない。早くメインアクトを出せという焦燥感が、重い空気となってステージを圧迫していた。

その重圧の中、時雨はゆっくりとステージの中央に進み出た。

DJに軽く頷く。静かに、しかし力強いBoom Bapのビートが流れ始めた。

時雨はマイクを両手で握り、目を閉じて、自分自身の内側から溢れ出す「最初の言葉」を放った。

次から次へと流れるリリック、もともとヒップホップを聞いていたわけでないのが、逆にオリジナリティを持って、オーディエンスにしみていく。確かにメインアクトのZ-DOGのファンばかりだが、まあ聞けるじゃんくらいのリアクションだ。


時雨のリリックは終盤に差し掛かった。

…ハァ、ハァ……息が切れる、だけど胸の奥が妙に熱くて、カンケーねえ金髪のギャルが俺に言う「楽しいかもよ?」って言葉 正直、賞味意味不明、俺の辞書にそんな症状は載ってねえ、傷をえぐって、過去と向き合う、そうして言葉を吐き出して……気づいちまった、これ、めちゃ『楽しい』な

誰かに届くかもしれぬ 俺の痛みが誰かのビートに乗る奇跡

マスカキ部屋の孤独なベッド、夢にも見ないステージ中央大抜擢

Z-DOG前座? そうだ前座だ前座のキング今は俺がこの場のキング

笑え笑いたければ好きにしろ俺は俺の言葉で、今この瞬間を笑ってる!

見えねえ壁、カースト、このFuc◯ingマイクでぶち壊してやる!

これが俺のアンサー最高の『Fun』だ!!

ビートが止まり、最後の言葉がライブハウスに響き渡る。

数秒の静寂。観客たちは、ただのオタクだと思っていた少年の口から放たれた、魂を削るような剥き出しの言葉。

やがて、フロアの後方から「ヤバ……」という声が漏れ、まばらな歓声と拍手が巻き起こった。

時雨は肩で息をしながら、汗だくの顔を上げた。

最前列では、未蘭が誰よりも高く手を挙げ、「シグれん! サイッコー!!」と叫んで飛び跳ねている。

その景色を見た時雨の口角は、自然と、そして確かに引き上がっていた。

お読みいただきありがとうございました。

もし「面白かった!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、ページ下部にある【ブックマークに追加】や、【☆☆☆☆☆】の評価を押して応援していただけると、今後の執筆の何よりの励みになります!

次回もどうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ