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第四章春夏秋冬祭り編にて鷺沼広大と赤歳色が会いに来なかったifルート

高校といえば文化祭。

俺──神無蓮は雑貨を見ていた。

その瞬間、脳裏に流れ込む膨大な記憶。

赤い狐、運命の女神、守護者制度、そして死。


「……そうか」


俺は思い出した。


俺は、ハチスだ。

横を見ると、霊体化して心配そうな顔で俺を見る火雷と風伯がいた。


「…風伯、火雷…」

『!?……まさかお前…ッ』

『ハチスなの…?』


蹲っていた体から、ゆっくりと立ち上がる。

「…お騒がせしました、もう大丈夫なので」

蓮水が笑う。

何を呑気に笑ってるんだ、元凶だろうが。

「ちょっと眩暈を起こしただけですのでお気になさらず」

周りにいたギャラリーたちに声をかければ、ホッとしたような顔をして去っていく。

神居にいる人間も、神無にいる人間も等しくお人好ししかいない。

…反吐が出る。


「ハーチス、僕は君を待ってたよ〜!おかえりー!」

「はいはい」


楽しげに肩を叩かれ、嬉しそうな尻尾の揺れに吹き出してしまう。


「ただいま」


俺はこの文化祭で何を得て何を見るのか。

「とにかく眠花に会いに行ってくる!」

「奥さんね、はいはい行ってらっしゃい終わったら僕と今後について話し合いね!」

「了解!」


昔の嫁はきっと屋上だ。昔から考え事があると高いところに行っていたから。


屋上の扉を開ければ青空の下、黒い髪を揺らして佇む世界で一番可愛い嫁がいた。

「──眠花!」

「あなた!」


振り向き、こちらに走ってくる。ギュッと抱きしめれば抱きしめ返してくれる小さなこの身体に安心感さえ覚える。

「好きだ、好きだった。今も好きだ!なあ、俺と結婚してくれないか?」

「ふふ、ええ。もちろん、喜んで」

指輪なんてないがそれでも喜んでくれるのが眠花だ。


「さて、俺はあいつに会いに行かなきゃなぁ」

「…決着を?」

「俺が戻ってきたってことはあいつも戻ってきたってことだろーからさ」



喫茶店に戻ると、蜜柑や柊さんがいた。

「蓮くん」

「朝梨」

「うふふ、服乱れてるよ」

「あちゃー、教えてくれてありがとう」


柊さんがきょとんとした顔をして首を傾げる。

「…?あなた、蓮くん?」

「えっ」

蓮っぽく元気にしてみたけど違ったか??

「…変な感じ」

「朝梨ちゃーん」

「あ、桃梛ちゃんに呼ばれた…ごめんね、行ってくる」


去っていく柊さんを見送り、ふぅ…と息を吐く。

危ない危ない…。バレないようにしないとな…。

何せ、柊朝梨や、篠倉桃梛は俺が巻き込んだ守護者の1人だ。これ以上俺の因縁には巻き込めない。

もう輪廻転生するという形で巻き込んでいるのに、何を言ってるんだと思うだろうが、あいつとの戦いにまで巻き込むわけにはいかないというわけで…。

うーーん!!!


「何唸ってるの蓮くん」

「るん…」

「メイド服のまま唸っても可愛いだけだよ?」

「…そうだった」


俺はメイド服を着ていたんだった…。




────次の日のバトロワ、中継を眺めて立ち上がる。

文化祭を渡り歩く。

たくさんの人、人、人、人………。

………ああ、嫌になるな。


人は、嫌いだ。

すぐに裏切る、すぐに死ぬ。


すぐに、少数派を、排除しようとする。


自分とは違う生き物だというだけで。

自分が、普通なのだと、自身の正義を振り翳す。


嫌いだよ、人間なんて。

消えてしまえばいいとすら、思ってしまうくらいには。


でも、世界は消えてほしくないんだ。

だから、あいつを殺すために俺は戻ってきた。


…幻治郎さんのように、救える力があるなら全員を、人間も世界もみーんな救ってたよ。俺は。


ああ。




居た。


走りそうになる足を早くに歩く。

落ち着け、大丈夫。大丈夫だ。


はは、居た。



居たなぁ。



……七不思議、雨水、懐かしいな、神無蓮。声が小さいから聞こえないな。

?何言ってるかわからない…。


…ああ、そうだな。家族もいた。

そうだな…そうだった…。


悪いなぁ、お前はやりたくないよなぁこんなこと、わかるよ。俺はお前だから。お前の人生を見てきたから。

うん、でも見つけちまったから。



────神無蓮、悪いな。お前の人生とは今からさようならだ。





渡り歩きながら、目的の人物の前まで来る。

「──お前…ッ」

「よぉ、久しぶりだな、元気してたかよ?」

「ふざけんな!!俺の目の前によくもまぁノコノコと来れたな!」

「はは、ははははっ!」




腹を抱えてしまう。よくも来れただと?

当たり前だろ。


「お前を殺すために、俺は生まれ変わったんだよ」


同じ過ちをもう一度繰り返さないために。




目の前の人間に向かって火雷の刀を振り翳す。

バチバチとなる雷。


『…だめだよ、蓮…!』

「違うよ、俺は…蓮じゃないよ」

『──ッ…』

「大丈夫、大丈夫だよ火雷」


蓮の口調で、ハチスのような笑みを浮かべて笑う。

「俺がなんとかするからさ」



「でもごめん、火雷。お前の力で俺は人を殺す」



「さようなら、俺の因縁」





この世界線では、幻治郎に止められる前にハチスが蓮を乗っ取るので、止めた時点で蓮は完全に消えてハチスが前に出るようになる。

鷺沼と色が、来たことでその場に止まり悪魔事件を見るからアルバートに電話をするが、鷺沼と色が来なかった場合は直行で因縁相手を殺しに行く復讐劇になる。

この場合のルートは因縁を殺した後、普通に蓮として過ごしながらハチスの面影を残して眠花と仲良くする。

蓮は完全に消えるので2度と戻ってこない。

どこかぶっ壊れてるハチスとなる。おそらく龍の手悪魔侵攻事件も速攻片付くけど、どこかみんな悲壮感に漂わされる。本人だけがわかってないルートですね。

でもハチスはそういう男ですよ。罪が罪がと言いますが、そうじゃなければ守護者たちを巻き込もうとは思いませんからね。なんて傲慢、なんて強欲。仕方ないですね、英雄とはそういうもの。

作者としては『転生したら前世は最強の男だった!?ならやることは一つっしょ!』くらいのテンションでした。

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