第三章七不思議編にてアルバートと桃梛がいなかったifルート
ふらりと廊下を歩いていた時に、蓮と朝梨は七不思議に巻き込まれる。
マガツヒの核である、透明なガラスにヒビが入る音。
パキッ、
【──ああ、やめろ!やめ】
強く、押し込むようにさらに突き刺した。
ガラスが今度こそ砕け散り、少年が跳ねるようにのけぞった。
【……ぁぁあ…っ………クソ!僕はここで────】
車椅子の少年の戦意は喪失しているが、マガツヒを壊したのに記憶が戻った様子が見られない。
反転したマガツヒを壊したら、仮契約の時に救った、女子高生は記憶が戻っていたのに。
「…あの時の子は、記憶を思い出してたのに…っ」
『何か条件があるのかもな…』
「…条件?」
パキンっ…
完全に割れて、サラサラと少年の身体が消えていく。
ハッとした時にはもう、少年の緑の目が俺を見ていた。
【お前を────許さない】
低く、恨むような声にぞっとする。自然と張り詰めていた息を吐く。
「…は、……ふぅ…」
消えていく体育館を見上げる。幻だったのか、この世界…と。
とりあえず、歩くことにしようかな、と体育館から歩く。
「…どこ行けばいいんだろ、保健室とか?」
『いいんじゃない?』
行ってみるか、保健室。
保健室に向けて足を進める。
偶然出会えた朝梨と一緒に、歩いていると目の前に扉が出てくる。
「…図書館イベントが先かぁ」
「図書室の番人…って一体」
【ここは人生の墓場!!!!!】
突然の大きな声にびくりと肩を揺らす。
何やら彼の琴線に響いたようでウキウキとした声を上げた。
いや、目も顔もないけど。
【君たちの人生も、ミセテ貰おうか!!】
バラバラバラバラ音を立てて自分たちの背後にあった本棚から二冊の本が浮かび上がる。
────質問をぶつけられるたびに、首を絞められる、足を折られる。
鼻血が止まらない、頭が鈍い。痛い。身体がだんだんと、疲れてくる。
「ごぽ、ぉ」
ぼたぼたと落ちる赤い液体に、膝をつく。
ああ、くそ。どうしたら。
どうもできない。
霞む視界に見える朝梨は血の海に倒れ込んで崩れ落ちていた。
だめだ。
まだ、死ぬわけにはいかない。
死ねない。
まだ。
『朝梨!!』
玉さんと風伯たちの声が聞こえる。
神様に起こされるような気配を感じる。
血の鉄の匂いを感じながら、遠くから番人の声が聞こえてくる。
【それでは、第六問、君たちの因縁相手は────すぐ近くにいる】
なにかを、言っている。
わからない。
何を、言っているんだ。
聞こえない。
『蓮、れん…っ、やだ、私に命令して!早く!!』
めいれい…?
『やっつけてって、言って』
「…ゃ、…け、て……」
霞む視界の中、口に出した言葉は血の味がした。
涙を流せない神様は苦しそうに笑った。
『我が名は火雷────黄泉の番人、惟神を守る者』
黒い雷が、番人を貫いた。
マガツヒを、壊さなければ…。
朝梨が出していた刀を手に取った玉が番人の背後を取り、マガツヒを壊す。
守護者が作ったものであれば神様が扱ってもマガツヒを壊せる。
故に、壊した。壊せた。
二人の守護者は瀕死で意識を完全に失い、番人は叫ぶ。
【あーはははははっ!!!!!またの機会をお待ちしているよ!!守護者たち!】
笑いながら消えていく番人に、神様たちだけが苦い顔をしていた。
そうして消えた図書館とは別に、廊下に倒れ込む守護者たちを抱えて、玉と火雷と風伯は一旦帰還を目指すとする。
未熟な守護者に、与えられるものではなかった。
なかったのだ。
別名、幻治郎が七不思議の任務の命令を出していない世界線。
幻治郎直々に命令を下していた場合アルバートがついてくるが、今回は蓮と朝梨が巻き込まれただけ。
この場合桃梛もアルバートもいない。任務の時間じゃないから。
また、ここで目が覚めても待ってるのはガイコツ先生と屋上の女子高生、鏡という中ボス3連。
また、ガイコツ先生はアルバートと眠花がいたことで止まってくれたがアルバートがいない、桃梛もいない場合眠花と蓮が出会うこともないため、蓮と朝梨でガイコツ先生とぶつかることとなる。
ガイコツ先生の能力、思っていることとは違うことを口に出し、自ら死に追い込ませる、言語支配、行動支配系能力のため、最悪飛んでいる。
女子高生は目が合えば発狂、および捕食のため、初見殺し。
初見で当たると95%の確率で発狂する。
鏡は広範囲系の能力。ガイコツ先生、女子高生を乗り越えた先なのでかなり体力が消耗されているはず。
したがって鏡の広範囲に対抗するための体力は温存されていないと考えるとほぼ99%の確率で七不思議は失敗となるルート。
作者としては、元々七不思議自体のルールとか結構緻密に考えてたので分岐するなら、この3人は消えないとなぁとなりましたね。
実は七不思議結構ゲーム的なルール性のある怪異で、内容としては7体全員が初見殺し即死トラップしかないハードモードゲーです。つまりこうなるのも必然だった。




