第二章雨水大災害編にて 幻治郎が来なかったifルート
「ああっ、雪崩が起きる!!!!!」
まなちゃんを救えなかった絶望に打ちひしがれていると、奥の方で波の塊が流れ込んでくる。その場にいる全員が、水に巻き込まれる。
「…ごぼっ…っ!」
口の中に入る水に、息ができなくなる。神様たちが、自身の守護者やそれ以外の子達を助けて拾って、救助しているのが目に入る。
風伯が風を起こした。
「は、あっ…!」
『大丈夫か蓮!』
「はぁ、っはぁ、大丈夫、ありがとう」
顔の周りにだけ風を吹かせてくれたから、ギリギリ泳げているが、波が雨水の壁を超えてしまった。
振り返ると白刄全体にまで雨の水が及んでいる。
まるで、海だ。
「…なんだ、よこれ……」
ふと、見覚えのある黄緑の髪を見かける。うつ伏せにただ浮かんでいるだけでピクリともしていない。
まさか…
まさかまさかまさか!
嫌な予感と想像にざぶざぶと海の中を泳いでそこまでいく。
「島崎さん!!」
突き刺さった木に、絶命してることがわかる。
自身の守護者が死んでいるのに、神様が現れていないことに疑問が浮かぶが、それよりも、もう、助からないその姿に、現実を受け止めたくなくて、首を振ってしまう。
「…やだ、」
『…大地…っ』
「、なんで…っ、なんでこんな!!!」
誰も、止められない雨は雨水の先にある街を飲み込んでいく。
後ろから聞こえてくる阿鼻叫喚、悲鳴に救えなかった絶望と知り合いの死に心が疲弊していく。
守護者とは、ここまで過酷なのか。ここまで…っ。
「俺、俺、どうしたら…もうやだ、無理だ…ッ無理だよ…」
屋根に引っかかる、紫の髪の、白い服を着た人が目に入り今度こそ声をあげてしまう。
「あぁぁぁああぁぁぁぁあああああ!!!!!!」
誰だ、誰だ誰だ誰だ!!!???こんな世界にしたのは!こんな残酷なものを作ったのは!!
俺がッ、
溢れる涙が止まらない、身体の奥から溢れるこの感情に名前をつけるなら、怒りだ。
「俺が、壊してやる!!!!!」
『蓮、待って、待って!』
『蓮!!!!!』
光る身体に、頭が冴える。
"神になれば救えるぞ"
心の底から出てくる、誰かの声に、頷く。
なろう、なろうじゃないか。
なれば救えるなら、俺はそれを選ぶよ。
火雷と風伯の声が聞こえない、身体が軽い。
────ああ、今なら何でもできそうだ。
目に入った、男の人。長い白髪を一つに縛った、この世界の最強。
赤い目が俺を射抜く。
『幻治郎っ…蓮が!』
「…ああ」
"海を、消す"
雨水の水が消える。
どこに?さあ、わからない。
ボトボトと落ちていく人。ぐちゃりとぶつかる音。
足元が赤い。
ああ、ほら。
これで。
────世界を救える。
雨水で、幻治郎が封じなかったif。
別名幻治郎が居なかった世界線。
大地、竜胆だけじゃなくて白刄全体で死者がえげつない量出る。
仲良くさせてもらった二人の死、助けれなかったまなちゃん。いろんなことが重なって限界を迎えた蓮くんは神様になる権利を得ます。
どうする?と天帝に問われたので、救える力があるならそれを選ぶ、と答えた。
この後神無蓮は討伐対象となり、幻治郎に討伐されます。
海を消したことで浮かんでた死体だけじゃなく、生きてる人たちも10メートルはある水の上から落とされるのでみんな死にます。
大量殺人の罪を犯した神として討伐される。
文化祭編で幻治郎より守護者は感情が爆発すると神になるぞと言ってる通り、こうなります。
まあ、仕方ないですねこればっかりは。
だって神様は全体しか見れないのでね。




