ジュナのお母さん、タダモノではない吸血鬼!
「ジュ~ナ~?」
「うわわわわ!」
怒りのオーラを滲ませたジュリアが、コツコツと足を鳴らしながら迫ります。
ジュナは口をパクパクさせて大ピンチ。他の三人も吸血鬼を前にして、ただならぬ気配を察しています。
「お、おかあさん! どうしてここにっ!?」
「どうしてもこうしてもなにも、ちょっと寄りかかっただけよ」
(ウソです……。絶対門限が過ぎることに気づいて……はっ!?)
(アンブレラ~? 聞こえているわよ?)
(ももももも、申し訳ございませんジュリア様ぁ!)
堂々と四人の前に立ったジュリアは、視線の一瞥だけでアンブレラを黙らせてしまいます。
アンブレラは思わずすくみ上がり、ジュナの髪へ隠れるよう、肩に止まってしまいました。
「ジュナ。お空は?」
ジュリアの長い人差し指が、天空を差します。
ジュナは背筋をビシっ! と伸ばしながら答えました。
「よよよよよ、夜ですっ!」
「時計は?」
「ろろろろろ、六時十分ですっ!」
「門限は?」
「ききききき、きっかり六時ジャストですぅ!」
「まったく。早く帰ってきなさい!」
「ごごごごご、ごめんなさ~~~~~い!!!」
(ジュナのお母さん、激こわ……)
未来可は心の中で思わず呟き、タカハルは息を飲んだまま動かず。
しかしルラァ―だけは少し違うようです。
「な、なんだ。ジュナの母親だからといって、別に怖くなんか……」
「あら」
「っ!?」
両肩を持ち上げ、やれやれといった体で手のひらを上向かせます。
しかし全ての言葉を言い終わらないうちに絶句したのは、ジュリアがあっという間にルラァ―の背後へ回ったためでした。
「ダメよ? 夜はこわ~いモノ達でいっぱいなんだから」
(邪神の僕を差し置いて……っ! いつの間に背後に……!)
ルラァ―は尖った目をいっぱいに広げて背後へ振り返りますが、ジュリアは余裕の笑みひとつのみ。
「魔女、幽霊、吸血鬼ハンター……。さぁ、狙われないうちに帰りましょう?」
「や、やだなぁおばさ……ッ!?」
「ん? 未来可?」
「やだなぁジュリアさん魔女なんて今時いるわけないじゃん魔法なんてナンセンスだし夜に紛れて空を飛んだり怪しい薬作って誰かを惚れさせたりなんておとぎ話もいいところだよアハハねジュナちゃん!?」
「う、うん……」
(すご……。一息で全部言い切っちゃった……)
(うおーーーーーービックリしたぁ!!! 死ぬかと思った……)
ぜーはーぜーはーと未来可が荒く息を吐く傍で、ジュリアは空を見上げました。
流れる雲が、月を半分隠します。ジュリアはなにかを見届けるよう、しばらく見てから視線を外しました。
~『ジュナの愉快な次回予告!?』 ~
ジュリア:「アンブレラは今日青汁ジュース! ジュナは食後のデザート抜きよ」
ジュナ:「ひぇぇぇぇぇぇぇ!」
アンブレラ:「堪忍でございます、ジュリア様ぁ~~~~!」




