ジュナ待望の惚れ薬! (7) 【こい。来い。コイ。恋とはなんでしょう?】
「一喜一憂?」
「はい。未来可様とジュナ様は、タカハルという少年にお熱なのです」
大変遺憾ながら、と付け加えるアンブレラは、パタパタと舞いながら三人の様子を伺いました。
タカハルを中心に、未来可、そしてジュナがせわしなく取り巻いています。一方がタカハルと接すれば一方が悔しがり、タカハルと触れた方は笑顔満面と言った具合で。
「お熱……。気になるということか?」
「まぁ、そんなところです。恋というものでしょう」
「恋……」
腕を組むルラァ―は、アンブレラから目を離すと、しげしげと三人を見つめました。
「ルラァ―殿は、誰かを好きになったことがないのですか?」
そんな様子を見たアンブレラは、ポツリと一言。
ルラァ―はアンブレラを一瞥しました。少しバツの悪い表情を共にして。
「僕は……。父様は好きだ」
「それはご家族だからでしょう?」
「そう。そうだ。好きというより、尊敬と言ったほうがいいかもしれない」
「イタク殿やクトア殿でもなく、全くの他人ではいかがですか?」
「そうだな……」
眉間に皺を寄せたルラァ―は、少し考えると小さく頭を振りました。
「ない、かもしれない。僕は今までの殆どを、家族と一緒に過ごしてきたからな」
ふぅむ、とアンブレラが呟きました。
「そもそも僕は人の子でもあるが神の子でもある。正直、彼女たちの感情にはピンとこない」
「だからここで観察を?」
「そうだ。父様は人を理解しろと言った。僕もヒトには興味がある」
ルラァ―はそこまで言うと、一度口をつぐみました。
すっかり暗くなり、星が散らばり始めたにもかかわらず、未来可とジュナは周りなど気にせず盛り上がっています。もちろん表向きは淡々としていますが、タカハルの知らない心の中ではバチバチ火花の嵐。
「だから観察しているわけだが……。どうも理解し得ない」
「なるほど。それで見ていたわけですね」
「そうだ。別にジュナや未来可へどうこうしようなんて思っていない」
とりあえずの理由を聞き出したアンブレラですが、もう一つ気になることが。
「その制服はどうされたのですか? 見たところ、タカハル殿と同じようですが……」
「これか?」
ルラァ―は腕組みと解くと、両腕を軽く広げました。
銀色に近い白髪。そして、空気を切り流すように流麗な瞳。
身長もそれほど高くない中性的な少年は、白い肌を際立たせるように黒い制服を、これ以上なくしっくりと着こなしていました。
「未来可をこの世界へ定着させるときに、合わせて僕も一緒に組み込んだんだ」
「ははぁ。それで、タカハル殿と同じ学校の中学生と……」
「理解が早いな。えっと……。アンバサダー」
「アンブレラです。ルラァ―殿」
~『ジュナの愉快な次回予告!?』 ~
ジュナ:「あー! 足が滑ったぁー!」
タカハル:「おい! 危ねぇな」
未来可:(ぐぬぬ……。今度はお姫様抱っことは……。やるなジュナちゃん……!)
ジュナ:(えへへーん。タカハルは渡さないぞ!)




