ジュナ待望の惚れ薬! (3) 【あっ! タカハルが食べちゃった!】
「はー、はー。す、すごかった……」
サングラスをかける詩惟花の瞳を覗いたジュナは、自分の胸に手を当てながら息も荒く呟きました。
ジュナの小さな心臓がまだドキドキと言っています。顔が火照り、落ち着かない気分のまま、ジュナは惚れ薬の効果をその身で実感しました。
「だ、大丈夫ジュナちゃん? だから言ったじゃない」
「うう。で、でも、この薬あるんだよね!? これならタカハルもびっくり間違いなしだよ!」
「う、うん。まぁ、一応作ってきたけど……」
そう言うと詩惟花は、ポケットの中から銀色の包み紙を取り出しました。
「これ?」
「これだよ。はい。あげる」
「あ、ありがと~」
詩惟花の手から渡された包み紙を、ジュナは両手を揃えて受け取りました。
見た目の通り軽いそれは、まるで小さなお菓子のよう。
「外見はチョコと一緒だから、食べるときに躊躇とかはしないと思うよ」
「これ、食べればいいの?」
「うん。食べた人は、くれた人を好きになる」
……はず。と、心もとなく付け足した言葉を、ジュナは全く聞いていませんでした。
「これが惚れ薬かぁ~」
学校が終わり、夕方。
夕暮れ迫る時間に、ジュナはひとりブランコに腰を降ろしながら、しげしげと包み紙を見つめていました。
「魔力も感じないし……。匂いもふつうだな~」
母親譲りの整った鼻先を近づけて、ふんふんと匂いを嗅いでみます。
が、銀紙に守られているせいか殆どわかりません。微かに甘い香りがするばかり。
「ふしぎ~」
「おい。ジュナ」
「わっ!!」
そんな折、背後から声が掛けられました。
「タカハルっ! おどかさないでよっ!」
「いや、何度も声かけたって」
ブランコからパッと降り立ったジュナは、振り返るとタカハルに大声。
タカハルは三白眼の瞳を瞬くと、鼻筋に貼ったトレードマークの絆創膏を夕陽に照らしながら、ぽりぽりと頬を掻きました。
「で、なんだそれ」
「あ。コレ? 詩惟花ちゃんにもらったの」
「ふーん」
タカハルが指さすものを、ジュナは手のひらに乗せて見せました。
包み紙は、キラキラと輝いています。優しい夕日を受ける包装紙は、さながら宝石のよう。
「もらいっ」
「あっ! タカハルぅ!」
そんな宝石をパッと掴み取ったタカハルは、ぷいっとあらぬ方向を向きながら、パクっと中身を食べてしまいました。
「あー! あー! あー!」
「なんだよ」
「だって!!」
「いいだろべつに。お前もいくつか食べ――」
食べてたんだろ、と言い切る前に、タカハルは口をつぐみました。
「んっ!?」
「あっ!? 大丈夫!?」
そして、顔をしかめたかと思うと。
タカハルの身体から一瞬、オレンジ色の輝きがパッと溢れました。
~『ジュナの愉快な次回予告!?』 ~
アンブレラ:「ジュナ様を待つ間、さすがに退屈ですね……。ウトウト」
アンブレラ:「……はっ!? ジュナ様!? もう学校にいない! いずこへ~!?」




