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吸血鬼は小学生!  作者: zig
第五章 戦いの場所は夜空ノムコウ!
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ジュナがテレビを見ている一方…!

 「むむむ……」

 大きな窯の中を木の棒でかき混ぜながら、詩惟花は眉根を寄せました。

 紫色の濁った液体が、なみなみと容器を満たしています。こぽこぽと小さく泡立つのは、真下に火を起こしているから。広い地下空間のなか、魔女修行に励む詩惟花は、汗をかきかき重い液体をかき混ぜていました。

 「やっほー。シィ」

 「お姉ちゃん」

 「調子はどう? もう出来そう?」

 詩惟花の後ろへ、片手を上げた未来可が近づいてきました。

 「あとちょっと……。たぶん」

 「ほほー。うわっ。すごい匂い」

 レンガを積み上げた壁に囲まれた中央。窯へ近づいた未来可は、思わず鼻を覆いました。

 「これはなかなか強烈だね……」

 「もう一時間も嗅いでるんだよ。頭クラクラしてきちゃったよ……」

 「ご愁傷様。シィ……」

 魔女になるためには、魔法が使えるだけではまだまだ足りません。

 動植物を媒体に、特別な効果を生み出す薬を作り出すことも魔女の仕事。

 詩惟花はなんとか成功させようと、真っ黒な正装姿で頑張っていたのでした。

 「で、どうしたのお姉ちゃん」

 「そうそう。もう夕飯だって。呼んできてってお母さんが」

 「うぅ。ちょっと待ってよぉ。あと少しで出来るはずだから……」

 もう出来上がってもいい時間でしたが、液体はなかなか変化を見せません。

 詩惟花はかき混ぜる腕を止めないまま、こっそりため息をつきました。

 「おかしいなぁ。本に書いてあった通りにやったのに」

 「どっか、間違ったんじゃないの?」

 「そんなことないもん。絶対教科書通りだよ。一昨日一回、昨日もう一回。さっきだって取りかかる前に二回は説明を読んだんだよ?」

 「読むね~。さすが真面目っ子」

 未来可がおどけて返しますが、疲れてきた詩惟花はノってこない様子。

 「一回始めると止められないのが欠点だよね」

 「うん……。あっ。ちょっと鼻が……」

 「えっ? えっ? シィ、それはヤバい――」

 「は……は……。はっくしょーん!」

 「あっ」

 「あっ」

 かき混ぜは、一定が基本。

 正しい速度、正しい周回。動き一つとっても、それは無言の魔法文なのです。

 それを乱すとどうなるか。

 いうまでもなく顔を見合わせた紆異智姉妹は、

 「ちょっとぉぉぉ! シィったらぁ!!

 「ごめーん! お姉ちゃーん!」

 ぼむっ!

 秘術失敗を怒るように、発光したのち爆ぜるように発生した煙幕の中へ、仲良く溶け込んでしまいました。

~『ジュナの愉快な次回予告!?』 ~


ジュナ:「あれ? 地震?」

アンブレラ:「震度1。当たりましたね、ジュナ様」

ジュナ:「ふっふっふ。これも吸血鬼のなせる業なのだよ。アンブレラくん」

アンブレラ:「ははー。ジュナ様ー」

ジュナ:「次回、吸血鬼は小学生! タイトルは何かね? アンサー! アンブレラくん」

アンブレラ:「『ジュナ待望の惚れ薬!』でございます。ジュナ様」

ジュナ:「ほ、惚れ薬~!? ドキドキっ!」

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